【第39回】補助金の減額や返還命令を受けた人へ:最初に確認すべき7つのチェックポイント
――冷静に、そして法的に対応するために
これまでは、まだまだ本件訴訟の進捗過程であるために報告事がないので、補助金適正化法の条文について解説してきました。
ここからは実際にトラブルになった場合の対処法についてアクションプランと共にご紹介していきます。
「補助金を返してください」
「交付額を減額します」
そんな突然の通知を受け、困惑や怒りを感じている事業者の方は少なくありません。
今回は、実際に返還命令や減額通知を受けたとき、最初に確認すべき7つのチェックポイントをまとめました。
多くの事業者が“言われるがままに支払いに応じてしまっている”現状に、少しでもブレーキをかけられればと思います。
✅ チェック①:「返還命令」または「減額通知」は書面か?口頭か?
→ 補助金適正化法では、返還命令は原則として文書で行う必要があります(第21条の2)。
→ 口頭連絡やメール通知だけで「返してください」と言われていませんか?
📌口頭通知のみの場合は違法または無効の可能性もあります。
✅ チェック②:「確定処分」後の返還か?
→ 補助金の支払い後、確定通知が出ている場合は「確定処分」として法的効果が発生しています(第15条)。
→ この確定を覆すには、重大な違反や詐欺等がない限り非常に厳しい条件が求められます。
📌後出しジャンケンでの返還命令には要注意です。
✅ チェック③:「是正措置」や「指導」はあったか?
→ 補助金適正化法第16条では、取消前に是正措置を講じることが可能です。
→ 突然の取消や返還命令で、事前に改善の指導やチャンスはありましたか?
📌いきなりの返還命令は「段階的行政」の原則に反している可能性があります。
✅ チェック④:「軽微な変更」ではなかったか?
→ 第7条では、事業内容や経費配分について「軽微な変更」であれば承認不要とされています。
→ 単なる表現ミスや一部用途変更が「目的外使用」として返還理由にされていませんか?
📌軽微な変更であれば返還理由にはなりません。
✅ チェック⑤:「理由提示」がなされているか?
→ 第21条の2では、取消や返還命令には理由提示義務が定められています。
→ 「不明確な理由」や「一言で終わる通知」ではありませんでしたか?
📌理由が明記されていない通知は無効の可能性があります。
✅ チェック⑥:通知元は誰か?中小機構名義か、委託業者か?
→ 通知書が「パソナ」や「事務局」など、委託先名義で届いていませんか?
→ 行政処分は、行政機関(中小機構)が発出する必要があります。
📌委託業者名義の通知は、法的な処分として不備がある可能性があります。
✅ チェック⑦:異議申立て・審査請求の手続きは説明されたか?
→ 補助金取消や返還命令は**「行政処分」であり、不服申立てが可能です(行政不服審査法、行政事件訴訟法)**。
→ 返還命令と同時に、「どのように争えるのか」の説明はありましたか?
📌なければ、行政手続法や適正化法に反する運用の可能性があります。
🧭 返還を求められたら、まず「立ち止まること」
補助金は、ただの“恩恵”ではなく、制度と法律に基づいて交付される公的な支援です。
だからこそ、その取消や返還も正当な手続きと根拠が必要です。
本当に納得できる理由が示されているのか?
自社の対応にどんな落ち度があったのか?
その手続きは法的に適正だったのか?
ひとつひとつを冷静にチェックしてみてください。
✍️ 今後のnoteでは…
次回以降のnoteでは、このチェックポイントをもとに、
● 不服申立ての具体的な方法
● 審査請求・行政訴訟の流れ
● 弁護士・行政書士への相談タイミング
など、実務で役立つ情報をお届けしていきます。
どうか「補助金は返すしかない」と思い込まず、一度立ち止まって、法の力と制度の仕組みに立ち返ってください。
私たちは黙らない。
そして、あなたもひとりじゃありません。


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