日雇い労働者が集まる大阪市西成区の「あいりん地区」で18年ぶりに行われた行政代執行法に基づく30日の強制撤去。対象となったテント周辺には、反対する支援者ら100人以上が集まり、大阪府警の警察官も警戒にあたった。反対派は「強制排除反対」と声を上げ太鼓をたたくなどしながら、代執行に抗議した。
午前8時20分ごろ、大阪市職員がテントが置かれた市道を封鎖すると、支援者らが道路に寝転ぶなどして抗議。周辺がブルーシートで覆われると、反対派から「テントは命のとりでだ」「大阪市はやり方がひきょうだ」とやじが飛んだ。
テントに住んでいたという男性(70)は「このような形になり非常に残念だ。今後も抗議を続ける」と訴えた。
市建設局によると、公園は今後整備され、地域住民や市立新今宮小学校・今宮中学校の児童生徒に向けて開放される見込み。同様の「違法テント」は西成区を中心に市内で計約75カ所確認されている。担当者は他のテントなどについて「話し合いで平和的な解決を目指したい」と話した。
あいりん地区での強制撤去は平成10年12月以来。前回は公園周辺の道路で生活していた数十人のテントなどを強制撤去したが、支援団体など約千人が詰め掛けて反発し、家財道具が燃えるなど現場は混乱した。
翌11年から数年間で再び公園や周辺道路にテントなどが増え、一時は最大約30件となったが、個別交渉などで自主退去が進み、今回の撤去対象が残っていた。