同性カップル 住民票の続き柄「夫」長崎 大村市長“修正せず”

長崎県大村市が男性どうしのカップルの住民票の続き柄を示す欄に「夫」と記載して交付したことについて、市から問い合わせを受けた総務省が「実務上の支障をきたすおそれがある」などと、回答していたことがわかりました。大村市の園田市長は現時点で住民票の記載を修正する考えはないとしたうえで、再度、総務省に問い合わせることを明らかにしました。

長崎県大村市はことし5月、男性どうしのカップルのうち、1人の続き柄を示す欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付していて、大村市の園田裕史市長は9日の定例会見で、対応が妥当だったかを問い合わせていた総務省から8日、文書で回答が届いたことを明らかにしました。

文書では「夫(未届)」などの続き柄が各種社会保障で法律上の夫婦と同じ取り扱いを受ける事実婚で用いられているとしたうえで、「社会保障の窓口で、住民票の写しの続き柄のみで適用の可否を判断することができなくなり、実務上の支障をきたすおそれがある」などと指摘しています。

一方で「市の判断が妥当だったかどうか」については、明確な言及はありませんでした。

これについて園田市長は「社会保障制度は、続き柄だけで適用するかどうかを判断していないし、窓口や所管機関もそういった手続きや事務処理はしていない」と説明しました。

そのうえで「われわれの問いに明確に答えていないと受け止めている。仮に『妥当ではない』と判断するならば、その根拠となる記載が事務処理の参考資料にないから、総務省はその部分を見直すべきだと思う」と述べ、現時点で住民票の記載を修正する考えはないことを明らかにしました。

大村市は再度、総務省に対して文書で問い合わせることにしています。

当事者「総務省の回答はあまりうれしくない内容」

9日の市長の会見を受けて、住民票を受け取った大村市に住む同性カップルが取材に応じました。

このうち松浦慶太さんは「この1、2か月は住民票の続き柄が取り消されるのではないかという不安を抱えながら過ごしてきて、総務省の回答はあまりうれしくない内容で残念だと感じている。取り消せとは言っていないが、まるで市に対し『取り消すようそんたくしろ』と言っているような文言だ」と話しました。

また、藤山裕太郎さんは「今回の件で他にも続いてきた自治体が萎縮するのではないかと思っている。ただ、大村市が一緒に闘ってくれているのは励みになるし、うれしかった」と話していました。

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