高齢者の介護施設「こひつじデイサービスわが家」(東京都葛飾区)が、5月31日で閉所する。運営する社会福祉法人は当初、閉所を4月末としていたが、施設長ら職員がつくった労働組合と利用者家族が次の通所先が決まるまで営業の延長を求め、法人側は閉所を1カ月延ばした。施設長の石川美帆さん(46)は「組合をつくって法人側と交渉を重ねてきたから、最後の利用者の行き先が決まるまでを見届けられる」と話した。(畑間香織)
◆「皆さんと過ごした時間、宝物として一生大事にしたい」
「さようならわが家」「最後の方の行き先が決まるまで営業します」と壁に張られた施設の部屋で4月30日、利用者を招いたお別れ会があった。利用者10人のほか、職員ら16人が参加。「職員の皆さんと会えなくなるのはさみしい」「長い間お世話になりました」と利用者が全員発言し、涙を流す人も。石川さんは記念品を手渡し、「皆さんと過ごした時間を宝物として一生大事にしたい」と述べた。
施設を運営する社会福祉法人「葛飾福祉館」から石川さんが閉所の方針を伝えられたのは今回が2回目。1回目は2024年6月で、石川さんは「あまりに一方的」と感じた。法人内に労働組合がなかったため、1人から加入できる「全国一般東京東部労働組合」に相談。石川さんを含む職員計9人で労組を同月に結成した。法人側に閉所方針の撤回などを求める団体交渉を重ねて「2024年度末まで事業継続する」との回答を引き出していた。
労組と法人によると、法人は今年3月14日の理事会で施設の収入が継続条件を満たしていないとして4月末の閉所を決定。3月24日には法人側が利用者と家族に閉所を通知した。労組側は閉所決定の撤回や、理事長らに利用者と家族への説明責任を果たすこと、など8点を求めた。
◆全員の行き先が決まるまで閉所を延期
閉所撤回は認められなかったが、4月に理事長を含む理事3人が、利用者と家族向けの説明会を開催。家族の求めにより「最後の利用者の次のサービスが決まるまで営業を延長する」など6点を記した誓約書に理事長らが署名し、閉所の延期が決まった。大高幹理事長(58)は本紙の取材に「経営的判断から閉所を決めた」と述べた。
利用者20人のうち、次の通所先が決まっていないのは3人(4月30日現在)。石川さんは「地域の高齢者のために施設を残したかった」と述べつつ、労組結成の意義を振り返った。「団交を重ねていなかったら、法人側は通知の紙だけで閉所していたと思う。組合をつくって良かった」
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