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アイヌ民族の遺骨 100年の時を経て故郷へ スコットランドから返還 残る「持ち出し」の謎 研究目的か

イギリス・スコットランドの大学で保管されていたアイヌ民族の遺骨が日本側に返還されました。北海道に眠っていた遺骨を、誰が、どのような目的で持ち出したのでしょうか。

エディンバラ大学 トム・ギリングウォーター教授)
「アイヌの遺骨が保管されている解剖学のコレクションは、エディンバラ大学歴史コレクションの主要な柱の一つです」。

白い布でくるまれた3つの箱。中にはアイヌ民族の遺骨が入っています。北海道から持ち出され、イギリス・スコットランドのエディンバラ大学で保管されていました。

立田祥久記者)
「白い箱に入ったアイヌ民族の遺骨がいまアイヌ協会の大川理事長に渡されました」。

先月30日、遺骨が北海道アイヌ協会の大川勝理事長らに手渡されました。3体の遺骨が20世紀初めに釧路市、えりも町、浦河町から持ち出されたアイヌ民族の遺骨であると特定され、日本政府の要求により返還が実現しました。

北海道アイヌ協会 大川勝理事長)
「長い年月を異国の地で過ごされた先人の思いはいかばかりかと想像するしかございませんが帰郷を喜んでいることと思っています」。

明治の終わりから昭和の初めごろにかけて、アイヌ民族の遺骨は人類学者らによって研究のため墓地から掘り起こされました。遺骨は国内の研究機関だけでなく、少なくとも海外8カ国に渡ったとみられています。そのうちの1カ所が、イギリス北部のスコットランドでした。

立田祥久記者)
「スコットランド国立博物館にはアイヌ民族に関する多くのものが展示、収蔵されています。アイヌ文様が描かれた服や儀式に使う道具など、その数、300点以上。そのほとんどを入手したのが、写真の人物、マンロー氏です」。

かつて、北海道・日高の平取町で暮らし、アイヌ民族を救ったとされるイギリス人の医師、ニール・ゴードン・マンロー。”アイヌ文化の理解者”としてアイヌの生活品などを母国に持ち帰りました。人類学者としての顔も持ちあわせていたマンロー。

今回、返還されたアイヌ民族の遺骨は、1913年にマンローが母校のエディンバラ大学に寄贈したものとされています。なぜ、マンローは遺骨を持ち出したのか。大学側の見解はー。

エディンバラ大学 トム・ギリングウォーター教授)
「大学に寄付されたということしか情報がない。なぜ寄付されたのか、どんな考えの元だったのか、証拠となる文書がないのは残念です」。

そのうえで、研究が目的だった可能性が高いと述べました。ただ、その研究の成果はというと…。

エディンバラ大学 トム・ギリングウォーター教授)
「これら3つの頭蓋骨でどんな研究がなされたのか我々は知り得ていません」。

100年以上、北海道から遠く離れた異国の地に置かれていたアイヌ民族の遺骨。せめてもの先祖供養として、現地では北海道アイヌ協会の関係者が伝統の儀式を執り行いました。遺骨は3日にも白老町のウポポイにある慰霊施設に到着し、安置される予定です。アイヌ民族の遺骨が海外から返還されるのは、ドイツ、オーストラリアに次いで今回が3例目です。

北海道アイヌ協会 大川勝理事)
「世界各国にまだまだあるという話は聞いています。今後、返還に向けて、日本国政府と我々アイヌ協会と協力し合って、少しでも早く返還してもらうことを願っています」。

イギリスにはほかの3体のアイヌ民族の遺骨が、ロンドン自然史博物館に保存されていることが確認されていて、日本政府が返還を求めています。

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