「異常な高さ」の米価、価格高騰の原因は?…JA福井県五連会長インタビュー
コメの流通円滑化を目的とした政府備蓄米の放出で、入札に参加したJA福井県の上部団体「JA福井県五連」の宮田幸一会長が、読売新聞のインタビューに応じた。JA福井県は初回と2回目に応札し、県産の「ハナエチゼン」など計約4200トンを落札した。宮田氏は現在の米価が異常な高さだとしたうえで、農家と消費者の双方が受け入れられる価格水準を目指す必要性を強調した。
昨年夏からの「令和の米騒動」以前は、米価が長期的には下落傾向にあった。宮田氏は「価格暴落の心配があった」と振り返り、コメ農家の収入減を避けるため、当初は放出そのものに反対だったとした。放出の発表後も価格が下がらなかったため、コメ離れを懸念し入札に参加したという。
農林水産省が公表した2024年産のコメの作柄は「平年並み」だったが、価格は高騰した。宮田氏は原因として、▽高温障害でコメが小粒になり、白米として食べられる量が減った▽訪日外国人客の需要の増加▽南海トラフ地震の「臨時情報」発表に伴う買いだめ――などが複合的に絡んだと指摘。農水省の公表データよりも、実際の生産量が少ないとの見方を示した。
米国との関税交渉で、米国産のコメの輸入拡大案が取りざたされていることについては「日本と海外で生産コストが全く違い、自由化すれば一気に国内農家はつぶれてしまう。輸出する工業製品も重要だが、食糧を作る人を大事にする国にしてほしい」と語った。また、JAのコメの集荷事業について「赤字ぎりぎりで続けており、農協がもうけを蓄えていることはない」と理解を求めた。
政府備蓄米に組み込まれていたコメのほぼすべてを買い戻せたとして、JA福井県は、今月23~25日の3回目の入札には参加しなかった。「コメは(現在の価格が)茶わん1杯約50円とされる。適切な価格形成の議論を国でも進めていく必要がある」と話した。