◇ 粗品 (up時、web拍手に置いていたものです)
「助かるよ」(うわ…)
その笑顔はルックが今まで見た中で一番きれいだった。
男の人のことをきれいだと言うなんて、何だかそぐわないけれど。
でも星の輝きをきれいだと言うのは普通のことなんだから、それならこの人をきれいだと言ったって構わないと思う。頬に熱があがる。
自分ひとりに向けてくれたその笑顔が嬉しくて。
自分の言葉がその笑顔を引き出したことが嬉しくて。
…この人が一日も早く、望むように誰からも認められるリーダーになればいいとルックは思った。「それにしても…遅いな、他の奴ら」
ぽつ、とつぶやいたナギの言葉で、ルックはぼうっと彼に見入っていた自分に気づいてはっとする。
「あ…う、うん」
「時間、もう過ぎてるよな」
ちょっと首をかしげてナギがそう言ったところで、向こうから手を振ってやってくるビクトールとクレオが目に入った。「おーう、もう来てたか」
「遅くなりました、坊ちゃん」
「…リーダーを待たせるなんてどういうつもりなの。馬鹿にしてるの?」軽く笑う二人に唐突に突きつけられたのはバナーの雪嶺もかくやという絶対零度のまなざし。
幼い少女は普段なら歴戦の戦士が怯むはずもない相手だったが、明らかな怒りをにじませたその顔立ちが端正なだけに半端でない凄味を感じさせた。「…え、あ、おう…わ、悪いな、ナギ…」
「…申し訳ありません、坊ちゃん」思わず姿勢を正して頭を下げながらはて、と二人は思う。
…ここに来る前、そのリーダーを馬鹿にするような口を叩いたのは当の亜麻色の髪の少女ではなかったか。
ちなみに問題の軍主は、複雑な表情で頭を下げる二人の部下と、何やら満足げな顔になった小さな魔女とを見比べて、一人必死に笑いをこらえていたとか。
------ルック嬢の考える信頼は恐怖政治もアリらしい(爆)。