「中3息子の部屋からベッドがきしむ音と声が…」14歳の妊娠にシングルマザー動揺。虐待家庭の少女が「妊娠を望んだ理由」
配信
少子化の深刻化が懸念される一方で、この世に生を受けた子供たちが虐げられている報道の数々に、胸を痛めている方も多いのではないだろうか。 厚生労働省は、児童相談所における児童虐待相談対応件数(令和5年)を全体で22万5509件と発表しているが、これはあくまで相談件数であり、実際に虐待を受けた子の数はそれを大きく上回ることが想像される。 虐待には大きく分けて、身体的虐待・ネグレクト・心理的虐待・性的虐待があり、言葉の暴力や育児放棄も虐待に含まれる。虐待が疑われる児童を発見した人は、迷わずこれを児童相談所や関係機関に通報しなければならない。 今回取材に応じてくれたのは、数年前、当時中学3年だった息子の交際相手(同級生)が妊娠してしまい、波乱のひと夏を過ごしたという現在50代の女性である。 「私が過去にお手伝いした中で最も若い出産は中学生でした。ですから、今回取材を受けた方のショックや動揺は非常によく理解できます」 こう話すのは、今回の取材協力者である枡岡里紗子氏。助産師・産科看護師としての現場経験が豊富で、現在は医療記事の監修・執筆などを手がける著述家である。 「最近の中学生は、非情に大人っぽく見える子も多いですが、私たちが医療機関で対応するのは圧倒的に大人の女性が多いので、妊婦さんとして中学生が受診しに来ると、心身ともに、その幼さに驚いてしまいます」 と枡岡氏。 「10代後半になってくると、中には自分の明確な意思を持っている子もいますが、10代半ばまでの子は、いい加減な避妊で妊娠してしまったり、出会い系などで知り合った人に半ば騙されて妊娠したりなど、望まない妊娠が多い印象です。ですが、今回の取材事例では、中学生の少女が自分の家庭が欲しくて妊娠を望んだ、とありますね」 取材に応じた女性は母1人息子1人のシングルマザー。数年前、当時中学3年の息子が夏休み中、以前から交際していた少女を自宅に連れ帰り、泊まらせてあげてほしいと頼まれ、結果的に2か月近く居座られたという。少女はその幼さとは裏腹に、女性の息子と家庭を持つことを強く望み妊娠するに至った。 枡岡氏は少女の妊娠のきっかけは母親のネグレクトだったと説明する。 「息子さんの交際相手の母親も、この女性と同じシングルマザー。少女の母は当時まだ若く、交際相手と自宅で半同棲状態となり、少女はネグレクト状態にあったといいます。 少女は母親の交際相手と居合わせることが気まずく、その場にいることが耐えられなくなったようです」 少女は何度か児童相談所に預けられた過去があり、夏休みが終われば帰るから、児相へ通告することだけはやめてくれ、と男児の母親に懇願した。 「児童相談所とのやりとりの後で母親が機嫌が悪くなることも嫌だが、かといって母親と別れて施設に預けられるのも絶対にイヤだと少女は言い、少しの間だけ泊めてほしいと泣きつかれたそうです」 女性はさすがにそれは無理だと断ったが、少女は自宅に帰らなかった。枡岡氏はこう述べる。 「この女性は、少女がネグレクトされていると知った時点で通告の必要性を感じましたが、息子から本人が嫌がってるのだから絶対にやめろと言われて躊躇したといいます」 女性は2人が大人の関係になることを恐れ、息子が塾の夏期講習を受けたあとで待ち合わせて一緒に帰宅したり、せめて少女が息子の部屋で就寝しないよう注意したりしていたが、それらは全てムダな抵抗だった。あるいは、それ以前にすでに2人は男女の関係になっていたのかもしれない。 ある夜、眠っていると、息子の寝室となっている階上からベッドがきしむ音とかすかな声が聞こえてきたという。女性ははっとして息子の部屋のドアの前に立ち、お願いだから家に帰って、と説得したそうだ。 「女性は、息子が恋愛に溺れて堕落することや、少女の母親から抗議されたり警察に介入されたりすることを恐れ、何度も帰ってほしいと少女に頼んだそうですが、少女は応じなかったようですね」枡岡氏は、「幼さゆえの暴走を軽く見てはいけない」と言う。 夏休みが終わっても少女は自宅に帰らず、登校もしなかった。2学期が始まって数日が経ち困った女性が、たとえ恨まれても児童相談所に相談すべきではないかと考え始めた頃、少女の妊娠が判明。週数を考えると、やはり2人は夏休み前から男女の関係にあったようだった。 「少女は、赤ちゃんを産んでたくさん可愛がりたい、優しい母親になりたいと言ったそうです。性行為=愛だとはき違える若年者は多いのですが、この少女の場合は、好きな人の子を産めば、自分の居場所ができ、また、人生が変えられると思い込んだのかもしれません」 と枡岡氏。 息子が受験の年にとんでもない少女に巻き込まれた、と被害者意識に陥った女性は、悩み抜いた結果、少女の不登校のこともあり、息子たちの中学校に相談したという。 学校から誰にどんな報告があったのか、すぐに相手の親が少女を引き取りに来たという。相手の親が慰謝料をよこせなどと凄んで一時大騒ぎとなったが、少女は自ら妊娠を望んだと証言。最終的に親に連れられ、人工妊娠中絶手術を受けることとなった。 【関連記事】「僕の子供だから」一度は少女と家庭を作ることを決意した14歳の息子。大学生なった現在の驚きの姿とは、では、少女の妊娠前後のいきさつと共に、その後の息子の数奇な恋愛遍歴について詳報している。 【取材協力】助産師・著述家 枡岡里紗子:産科看護師・助産師として現場で多数の妊娠・出産に向き合い、現在はその経験を活かした著述活動を行っている 【取材・文・編集】 小澤みどり PHOTO:Getty Images 【出典】厚生労働省:令和5年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数
- 231
- 441
- 293