当選から一夜明け、選挙結果を伝える新聞に目を通す真砂充敏氏(和歌山県田辺市新万で)
和歌山県田辺市長選挙の投開票から一夜明けた28日、6選を果たした真砂充敏氏(67)に、今後の抱負や取り組みについて聞いた。初登庁は5月1日の予定。
(聞き手・橋爪明日香)
―選挙結果を受けて、いまの心境は。
これまでの20年間について、市民の皆さんから一定の評価を頂いた。今後の4年間への期待を込めて投票してくださった多くの皆さんに、お礼を言いたい。
―前回はコロナ禍での選挙、前々回は無投票で、市民とじかに接する選挙戦は久しぶりだったのでは。
各地でミニ集会を開くなど、できるだけ細かく活動し、地域の実情や市民の声を直接聞くことができた。そんな中でやはり、人口が減ることによっていろいろな課題が出ているということを、改めて肌で感じた。
―選挙戦では「人口減少に具体策を示したい」と訴えていた。
行政課題はたくさんあるが、その根幹にあるのが人口減少だ。これまでも対策はしてきたが、想定以上に減少が進んでいるのが現状。この4年間、具体的な取り組みを精いっぱい頑張りたい。(市が一般財団法人から提案を受けて検証している)公立大学の設立構想も、そのうちの一つ。実現が可能かどうかということを、より具体的に検討したい。
―大学構想について、今後の取り組みは。
庁内での検証では「実現可能性は十分ある」と結論付けているが、「学生は集まるのか」「運営は大丈夫か」など、専門的見地からのさらなる検証が必要。まずは新しく構成される市議会に経過や現状を説明し、専門家による調査にかかる予算を提案したい。この構想は、市民総合センターの整備や紀南文化会館の大規模改修など他の事業とも関わってくるため、できるだけ早く方向性を決めたい。
―それ以外に、人口減少対策で新たな取り組みは。
一般ドライバーが有料で客を運ぶ「ライドシェア」については、観光客や地域住民の移動手段を確保するため、国のモデル事業として本宮エリアで実施する予定にしている。
また、中心市街地が空洞化すると、市全体の力が衰えてしまう。空き家を資源として活用する対策とも合わせながら、中心市街地に住まいを構えることのできる施策にも取り組みたい。
―市長選の投票率は56・54%で、市町村合併後最低だった。
日頃から、市政を身近に感じてもらえるよう情報提供したり、市民の皆さんの声を直接聞いたりするスタイルを取っているつもり。しかし、この投票率を見ると、もっと説明の仕方を工夫したり、結果を伝えるだけでなくプロセスを丁寧に共有したりして、市政への関心を高めてもらう必要があると考えている。