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小金沢ライブラリー

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私的必読ミステリ百選

2017年02月06日 | ミステリ界隈
個人的な好みと歴史的意義っぽいものを交えて必読ミステリ百選を検討した。
意義を考えれば本来なら「獄門島」や「不連続殺人事件」、「ドグラ・マグラ」や「点と線」などが入ってしかるべきだろうが、読了していないので見送った。あくまでも個人的な百選ということであしからず。
なお100作に足りていないが、残りはこれから読む作品の中にある、ということで一つ。


飛鳥部勝則
堕天使拷問刑

作者がやりたいことを全部やった結果、偏愛される悪魔的傑作が爆誕。


我孫子武丸
殺戮にいたる病

それまでスラップスティックばかり書いていた作者が急に出してきた悪魔的作品。グロいシーンもあるが結末の破壊力は今なお光る。


赤川次郎
幽霊列車

国民的作家のデビュー作にして傑作本格ミステリ短編集。ここまで魅力的な謎を備えた短編集はなかなか無い。


芦辺拓
異次元の館の殺人

多重解決ジャンルのある一つの頂点を極めた異色作。個人的にはただそれを成し遂げただけでさほど評価はしていないのだが、マニア必読なのは間違いない。


綾辻行人
十角館の殺人

新本格ミステリはここから始まった! 今やミステリ初心者がまず最初に手に取る入門書でもあるのでは。


時計館の殺人

綾辻の代表作と言えばこれ。たったひとつの大掛かりな館トリックから全ての謎が消え、全ての物語が生まれた。


Another

マンガ化アニメ化実写映画化とメディア展開も見せた作者最大のヒット作。ホラーと本格の融合としては最高レベルに位置するだろう。


鮎川哲也
りら荘事件

いわゆる館ミステリの元祖ながら、このプロットで出来るトリックのだいたいを詰め込んだ古典的傑作。
館ミステリを書かんと志す者はまずこれを読み、そして越えなければならない。


五つの時計
下り“はつかり”

国内最高レベルの極上の短編がずらりのベスト盤。ある程度ミステリを読み慣れて、少し飽きを感じた時にこれを読むべし。
ごくごくシンプルなトリックから構成された密室や不可能状況に驚き、ミステリの面白さを再認識できることだろう。


有栖川有栖
女王国の城

もう有栖川はいいかなと、今の有栖川では学生アリスシリーズの続編と言えど期待は持てないなと思っていたところに現れた最高傑作。
描写の八割くらいは必要ない気もするが、無数の謎がたった3つの手掛かりで砕け散るのはお見事。


泡坂妻夫
亜愛一郎の狼狽
亜愛一郎の転倒
亜愛一郎の逃亡

ミステリ界に燦然と輝く珠玉の短編集。短編ミステリはこの三冊で完成し、以降の作品は全て模倣やアレンジに過ぎないのかもしれない。


しあわせの書

今となっては倉阪鬼一郎がもっとすごいことをやってしまっているが、本自体に仕掛けを施した、マジシャンの顔も持つ作者らしい機知に富んだ先駆け的存在。


伊坂 幸太郎
ゴールデンスランバー

山のような伏線が次々と回収され連鎖爆発していく快感。


石持浅海
扉は閉ざされたまま

個人的には結末が好みでなく評価していないのだが、密室を開くことなくただ扉の前で延々と討議しているだけで全てが解決してしまう異色作。


乾くるみ
イニシエーション・ラブ

「葉桜の季節に君を想うということ」と双璧をなす口コミ最強ミステリ。


歌野晶午
葉桜の季節に君を想うということ

「イニシエーション・ラブ」と双璧をなす口コミ最強ミステリ。


密室殺人ゲーム 王手飛車取り

個人的には同シリーズの第二弾の方が好みだが「ターミネーターあってのターミネーター2(C)宮城」ということ。本格ミステリのゲーム化を突き詰めた意欲作。


江戸川乱歩
江戸川乱歩集

心理試験、屋根裏の散歩者、陰獣、パノラマ島奇談……乱歩の代表的中短編が勢揃い。


北山猛邦
オルゴーリェンヌ

トリックのジャンルを明かすだけで致命的なネタバレになってしまうが、そのジャンルにおける一つの到達点に挙げられる傑作。


京極夏彦
姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏を読んだあの夏の一日を僕は一生忘れないだろう。


魍魎の匣

あの姑獲鳥の夏を超えた大傑作。


狂骨の夢

あの魍魎の匣に匹敵する大傑作。


絡新婦の理

冒頭に解決編、結末シーンを配した異色の構成。「あなたが――蜘蛛だったのですね」


巷説百物語

時代小説にして妖怪小説にして本格ミステリ。


倉阪鬼一郎
波上館の犯罪

もっと出来の良いクラニー作品はいくらでもあるのだが、一番労力が掛かっているのは間違いなくこれ。
あんなに苦労したのに早ければ数ページで看破されてしまうまさしく徒労という言葉がふさわしい、これ以上やったら作者が死ぬ極北のバカミス。


倉知淳
星降り山荘の殺人

この作品をどう評価するかによってある意味で読者のミステリ観を測れるだろう。


古泉迦十
火蛾

中西和明に並ぶミステリ界二大一発屋の壮大な打ち上げ花火。続編をいつまででも待ち続けている。


古処誠二
フラグメント(少年たちの密室)

これもあまり評価していないのだが、隠れた傑作としてよく名前の上がる作品。


梓崎優
叫びと祈り

驚愕の完成度を誇るデビュー作。「凍れるルーシー」は私的オールタイムベスト3に入る。


島田荘司
占星術殺人事件

御大のデビュー作にして最高傑作の呼び声も高い一作。そのトリックの鋭さは金田一君もお墨付き。


斜め屋敷の犯罪

ただそのためだけに造られた館が「本格ミステリとはこういうものだ、これでいいのだ」と吼える。


奇想、天を動かす

御大の最高傑作にも挙げられる一作。その奇想の凄さは金田一君もお墨付き。


異邦の騎士

御大の私的ベストはこれ。新装版とオリジナル版を並べて読み比べよう。


写楽 閉じた国の幻

ついに御大が写楽の正体を突き止めた! 本業以外でも死ぬほど働く御大に脱帽。


殊能将之
ハサミ男

「イニシエーション・ラブ」と「葉桜の季節に君を想うということ」に並びかけたデビュー作。


黒い仏

賛否両論の禁じ手が放たれた異形の作品。まだまだ面白いことをやってくれそうな作者だったのに早逝は本当に惜しまれる。


清涼院流水
コズミック

いやもう本当にミステリファンを名乗るなら絶対読んでおかなければいけない作品だと思う。
抗議は一切受け付けないのであしからず。


ジョーカー
コズミックを読んだなら当然これも読まなければいけない。
ミステリを一生読まないだろう友人にコズミックとジョーカーのトリックを解説したら爆笑されたことも忘れがたい。


蘇部健一
六枚のとんかつ

これもまたミステリなのだという意味で必読。抗議は一切(ry


動かぬ証拠

ラストに一枚のイラストが付され、それが解決編になっているという破格の短編集。
もっと巧い作者に丸パクリしてやって欲しいと思う好アイデアである。


高野和明
ジェノサイド

もし作者が欧米人ならとっくにハリウッド映画化されている大傑作。


竹本健治
匣の中の失楽

三大(アンチ)ミステリに堂々名を連ねる一作。


辻真先
完全恋愛

御大86歳にして最高傑作。「他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。では他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?」


天藤真
大誘拐

誘拐された人質が誘拐団を率いて警察と大立ち回りを演じる、設定だけで傑作間違い無し。


遠きに目ありて

最強の安楽椅子探偵が謎を解き明かす、だけに留まらない珠玉の短編集。


中井英夫
虚無への供物

個人的には面白さがよくわからないのだが、歴史的意義を考えれば外せまい。
アンチミステリの代名詞にして、多くの追随者を産み出した一作。


中西智明
消失!

タイトル通りに作者も消失!し、そして伝説だけが残った。


二階堂黎人
人狼城の恐怖

レンガ本4冊組で1~2巻が事件、3巻が推理、4巻が解決という重厚さに見合った大長編。
世界最長ミステリ小説に認定(?)されるもあっさりとカーニバル三部作に抜かれたことも忘れてはいけない。あ、あっちは大説だから(震え声)。


西尾維新
クビキリサイクル

瞬く間に時代の寵児となった作者がミステリ書いてた頃のデビュー作。


西澤保彦
七回死んだ男

SFミステリといえば真っ先に名前の上がる傑作。


法月綸太郎
頼子のために

今とはまるで別人のような法月探偵が苦悶の末に下した決断は見過ごせない。
いや本当に今の法月探偵と比べると誰なんだお前は。


法月綸太郎の新冒険

中編小説の最高峰と個人的には思っている傑作揃い。


東野圭吾
容疑者Xの献身

ちょっと出来が良いだけの作品だったが不作の年に書かれたおかげで各種ランキングを総なめにしてしまい「なぜこの程度の作品が!?」とごく一部の反感を買い、見るに堪えない論争を巻き起こした(私見です)。
すげえ普通のミステリなんだけどね。


聖女の救済

全て読んでいないので作者の最高傑作かどうかはわからないが、最高のトリックなのはおそらく間違いない。


深水黎一郎
ミステリー・アリーナ

多重解決ジャンルの頂点をある意味で極めてしまった労作。今後このジャンルでこれよりもっと過激なことはできるのだろうか?


福井晴敏
亡国のイージス

映画化もされた大作。全然ミステリではないけど。


終戦のローレライ

アムロ・レイ経由碇シンジの戦争小説の大傑作。全然ミステリではないけど。
無謀にも邦画の枠でどこまで原作を再現できるかに挑み、65点位はなんとか叩き出した映画もまあまあおすすめ。


古川日出男
アラビアの夜の種族

完全無欠のファンタジーなのだが、上記2作と同じくこのミスランクインしたため推薦。
少年誌等で採りづらい内容だが、マンガ化アニメ化その他メディア展開しても良かっただろう、もっと評価されるべき作品。


舞城王太郎
煙か土か食い物

そもそもこれはミステリなのか? それ以前に小説なのか? という未曾有の作品を量産する異端児のデビュー作。


円居挽
丸太町ルヴォワール

要するにダンガンロンパな逆転裁判。
糞みたいな序盤を乗り切れば、どんでん返しの連発に必ずや魅了されるだろう。


麻耶雄嵩
翼ある闇

トリックだけ取り出すと相当にアレなのだが、デビュー作からしてこんなものを書いていた問題作。麻耶を読むならまずこれから。


夏と冬の奏鳴曲

いまだにどういうことなのか全く理解できていない。きっと一生悩み続けるのだろう。


神様ゲーム

麻耶にジュヴナイルなんか書かせるからこういうことになるんだよという、子供はもちろん大人もトラウマ必至の衝撃のラストに震える。


メルカトルかく語りき

本格ミステリの極北にして袋小路。


さよなら神様

一行目で犯人をずばり公開! やっぱり麻耶は最高に頭おかしいな!(満面の笑みで)


道尾秀介
シャドウ
向日葵の咲かない夏
カラスの親指

全盛期の道尾秀介は本当にすごかった。ミステリの未来を担うと、未来はその行く手にあるのだと思っていた。


三津田信三
厭魅の如き憑くもの
首無の如き祟るもの
山魔の如き嗤うもの

どこまでも本格ミステリでありながらどこまでも怪談である驚異のシリーズ。
新作を出すたびにミステリの裾野は広がり続ける。


湊かなえ
告白

中西和明、古泉迦十に並ぶ一発屋だが、上手く立ち回り人気作家に名を連ねた作者のデビュー作にして最高傑作。


宮部みゆき
火車

そこで終わるのかというラストシーンに驚愕。


模倣犯

1ページたりとも飽きさせない大長編。ラスト50ページは全ミステリの中で最も好みである。


ソロモンの偽証

いま日本で最も上手いミステリ作家は宮部みゆきである。


矢野龍王
時限絶命マンション

作者はたぶん大真面目に書いてるのに星の数ほどのツッコミどころが紙面狭しと大暴れする、ミステリ界の彼岸島。
サバイバル(?)ミステリの新作をいつまでも待っています。


山口雅也
生ける屍の死

SFミステリ(?)の金字塔的作品。死者が蘇る世界で本格ミステリは成立するのか? する。するのだ。


奇偶

時代が時代なら「匣の中の失楽」やら「虚無への供物」に肩を並べたかもしれない、アンチミステリや奇書の代表的存在になりそこねた一作。


横溝正史
悪魔の手毬唄

見立て殺人にちょうどいい歌が無いから作ってしまえのフロンティアスピリットでミステリに新たな地平を切り拓いた記念碑的作品。
死ぬほど高いリーダビリティも驚異的。


横山秀夫
動機
第三の時効

どこまでも警察小説でありながらどこまでも本格ミステリ。
ある評論家がここ20年で最高の収穫は横山秀夫と(京極夏彦もいるのに)言ったが心から納得できる。


米澤穂信
折れた竜骨

こんなことを言えるほど読んでいないが、ファンタジーとミステリの融合に成功した代表作の一つに数え上げられるだろう。


満願

この一作をもって米澤穂信は化けた。連城三紀彦や泡坂妻夫にも肩を並べる傑作群。


詠坂雄二
電氣人閒の虞

別作家のある作品と全く同じトリックなのだが、その捌き方は断然こちらの方が上手い。


依井貴裕
夜想曲

伝説的トリックは絶版によりさらに伝説さを増し、神話となった。



連城三紀彦
戻り川心中

戻り川心中は傑作である。とは方々で聞いていたが、それは一片の誇張も交えない真実であった。


変調二人羽織

デビュー作からして混じりっけなし100%の連城三紀彦。
しかも容易に犯人を当てることも出来ないド本格。

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