ハーバード大学、ユダヤ教徒などに「差別的扱い」 内部調査で学長謝罪
【ニューヨーク=西邨紘子】ハーバード大学が29日公表した内部報告書で、ユダヤ教徒とアラブ人などイスラム教徒への偏見や差別的扱いが多数報告された。アラン・ガーバー学長がこれを受け謝罪した。報告書は大学自治への干渉の理由に「反ユダヤ主義的活動の不十分な取り締まり」を掲げるトランプ米政権を勢いづける可能性がある。
報告書は、ガーバー学長の依頼により、ハーバード大の教員と学生を含む特別委員会が作成した。「反ユダヤ主義と反イスラエル」、「反アラブ・反イスラム教・反パレスチナ」の2つのテーマをそれぞれまとめている。
学内の聞き取り調査では、それぞれのグループが学内で経験した偏見や嫌がらせ、差別的扱いなどの事例が多数報告された。ガーバー学長は声明で、同調査報告の目的が「懸念に耳を傾けることで、報告の検証ではない」と説明した。一方で「(ハーバード大)コミュニティーに寄せられる高い期待に応えられない時があったことをおわびする」と問題を認めた。
2023年10月以降、パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの軍事行動を巡り、ハーバード大でも反イスラエルの抗議活動が活発化した。
ハーバード大の報告書には、学内のソーシャルメディア(SNS)に反ユダヤ主義・反イスラエル的な投稿が多く出回っていた状況や、ユダヤ教徒の学生が嫌がらせメールを受け取った事例などが紹介された。
一方、親パレスチナを表明した生徒を標的とした個人情報漏洩などの嫌がらせも報告された。キャンパス内で対立や孤立を避けるため、学生が自らのアイデンティティーを隠すケースもあったという。
ガーバー学長は報告書が「我々が直面する課題の広範さを浮き彫りした」と問題を認める。今後、学内の中東研究の見直しや、言論の自由の確保と共に、差別への苦情対応や懲戒手続きの有効性や効率性についての見直しを進めると説明した。
トランプ政権は3月以降、「リベラル偏向」と見なす米大学への圧力を強めている。ハーバード大やコロンビア大など、多くの大学に対しては「反ユダヤ主義的活動」の取り締まりが不十分なことを助成金差し止めの理由としていた。
11日には、ハーバード大にDEI(多様性、公平性、包摂性)施策や学生受け入れ基準、研究内容など大学の自治に踏み込む要求を提示。ハーバード大は政権の要求を拒否し、言論の自由など憲法で定められた権利の侵害に当たるとして政権を訴えている。
2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。