カップルでネットビジネスに誘われてみた話。

よくいろんな人を集めてパーティーを開いている知り合いがいる。

毎回、パーティーの前日までに参加メンバー共通のLINEグループを作って、時間や場所の連絡をくれるんだけど、その中に高校の後輩の名前があった。


すごく仲がいいわけではないけど、私の誕生日にはプレゼントをくれたりもした可愛い後輩だ。


懐かしいと思って連絡をとってみた。

「久しぶりだね、いまどんな仕事してるの?今度ごはんいこうよ」って。


その数週間後、彼女から「会いましょうよ!」と本当に連絡がきた。嬉しかった。

「その日は予定があるけど、2時間くらいなら時間が取れるよ」と返した。

「いいですね、じゃあドライブいきましょうよ!」と、会う前日に連絡がきた。待ち合わせは18時だったので、その時間からドライブ?と思ったけど、まあいいやと思って誘いに乗った。


当日。「ちょっと友達も一緒なんですけどいいですか?」と連絡があった。知らない人と会うのは嫌いじゃないので、快諾した。

ほとんど時間通りに、彼女は私の自宅に迎えにきてくれた。停まっていたのは、少しヴィンテージ感のあるごつくて大きな車だった。イメージとは違う車で驚いたけど、運転席からは高校時代と変わらないあの子が顔をのぞかせていた。


助手席には、知らない人が乗っていた。彼女と同い年の女の子。「ちょっとこの子、駅まで送っていきたくって」らしい。

「待たせちゃかわいそうだし、先に送ってあげたらよかったのに」と思ったけど、まあいいやと何も言わずに車に乗った。


簡単な紹介をお互いして、たわいもない話をして、それから「今どんなお仕事をされてるんですか?」と聞かれたので「学校に通っている」と伝えた。


「あなたこそどんな仕事をしているの?」と聞いた。

彼女は「広告とか、アフィリエイトですね」と答えた。


私「てことはインスタグラムとか、ブログを使って広告収入を得るってこと?」

彼女「うーん、ブログとかなくても、別に広告をする方法ってあるんですよ」

私「じゃあ広告の営業とか?」

彼女「まあ、営業っぽいかもしれないですね~。でも楽しいから、働いてるって感覚は正直あまりないかな。1年前くらいから、助手席の彼女と一緒にやってるんですけど、仕事仲間ってより友達って感じで結構一緒にいますね。ホント楽しいですよ」


……やけにふわっとした回答がきたな。


「ほら、何かを売ってるとか、何かを作ってるとか、何かを企画している、人をつなぐ、サービスを提供している…っていう風に仕事って分類できるでしょう。あなたの仕事は、それで言ったら何になるの?」

これだけ具体的な質問をすれば、答えざるを得ないだろうと思った。


しかし彼女は両手で、空を切るように丸を描きながらこう言った。

「だから、広告、なんですよ!」


それから彼女はこんな風に続けた。

「多分いま私が口頭で言っても伝わらないんだよな~!」

「いや、すごいいろんなことやってるから、今日説明しきれないんですよ」

「仲間は札幌に何人かいるけど、ある時は愛知の人と仕事をしたりとかもあるし」

「案件が変われば関わる会社も変わるし」

「今度がっつり時間作ってもらって、私の上司から話聞いた方がいいですよ!」


助手席の彼女は「うんうん」「わかる」「ホント楽しいよね!」とあいづち打って、会話に潤滑油を差す係のようだ。

「私は今保険の仕事もしてて、彼女とやってる仕事はいまお小遣い稼ぎくらいにしかなってないんですけど、保険ももうやめて1本に絞ろうかと思ってるんです」

と、それなりに稼げるというダメ押しの係でもあった。


明らかに、怪しい。


顔立ちが良くて明るくて、一見毒のなさそうな彼女。

見た目が良くて(ついでに胸が大きい)、人の気を引けそうな人。

これに釣られる人は少なくないんだろう。


久しぶりに会えて、本当に連絡をくれて嬉しかったんだけど。カモだと思われてただけだと気付いてがっかりした。



いいでしょう、そっちがその気ならとことん暴いてやる。


駅について助手席の彼女が降りたので、私が後部座席から助手席に移ると「私も昨日まで大阪いって、研修受けさせてもらったんですよ~」と彼女は再び話し出した。

気になってきいてみると、研修は2日間あるらしい。

1日目はマインドのこと、2日目は実際の行動についての研修。


「すごい勉強になるし、受けてみたらいいのに!」と言うので、

「その研修って、お金とか、他に何か用意するものあるの?」と聞くと

「参加費は1万5000円ですけど(小声・早口)、全然他はなんもいらないですよ!ノートとペンはあった方がいいですかね(笑)来月は東京開催なんですけど、また1月にはこっちで研修開かれるんです!」

と返って来た。


時計を見ると、19時10分。

予定していた20時まではまだ1時間近くある。

お金の話がでてきた。

もうこの人に興味はない。

「暴いてやろう」なんてもうどうでもいい。

帰りたい。


そう思う私をよそに、彼女は矢継ぎ早に続けた。

「研修の講師お願いしている池田さんって人がいて、私が最近一緒にお仕事させてもらってる方なんですけど、すごいお話面白いんですよ!いつも全国各地でセミナーとか開催してて忙しい人なんですけど、今日明日はこっちにいて。今回もセミナー開催予定だったんだけど、コロナで中止になったからゆっくり遊びにきてるんです。あの、ちなみに明日ってなにしてます?」

本当に、こんな感じで、彼女は一気に話した。


もう色々嫌になってきて、「明日?うーんどうだろう」と渋い返事をした。


その瞬間、彼女の私に対する興味が薄れるのが見てとれた。

慌てて「またこのくらいの時間でよければ時間つくれるかも!」と答えた。


「え!ホントですか!いや~紹介したいな池田さん~!マジ面白いんですよ」

と、彼女は再び目を輝かせた。


それを見て、苛立ちながらも私は決めた。

こうなったらしっかり社会見学してやろう、と。


「そんなに言われたら私も気になるなあ。実は学校が終わったらフリーランスで働こうと思っていたのだけど、生計立てられるか不安だし副業系興味あったんだよね。ねえ、連絡とってみてもらえない?その池田さんって人と」


彼女はもちろん、快諾した。

「じゃあまた連絡します!」


気付くと車は私の自宅の前まで戻ってきていた。

時刻は19時半。

「すいません、時間少し早いんですけどお家ついたので」


18時からの1.5時間、私の家の半径5km程をあてもなくまわるだけで、

ドライブなんて全然していなかった。


上の人間との約束を取り付けたらチェックメイト。

用が済んだらさっさと解散するために、ペースを握るために、車という空間がちょうどよかった。それだけ。


「ほんとに連絡してね!」と念を押して車を降りた。

アパートの階段を上がりながら車種を調べると、やっぱりちょっとお高めの車のようだった。


それから、彼氏に連絡した。

「というわけで、ただのネットビジネスの誘いだったんだけど、面白そうだから明日話きいてくることにした。一緒に行く?」


すると彼は意外にも「面白そう。俺もききに行くわ」と答えた。


そういうわけで、タイトルに戻ります。

「カップルでネットビジネスに誘われてみた話。」

本編は次回。(ちゃんと書くのか私…)





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コメント

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カップルでネットビジネスに誘われてみた話。|真琴
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