教育界への締め付け強化 トランプ大統領「反ユダヤ主義」と非難 ハーバード大学と対立
ワイド!スクランブル
[2025/04/29 18:00]
アメリカのトランプ大統領は29日、就任100日を迎える。関税政策で世界的な混乱が続くなか、国内ではハーバード大学など教育界への締め付けを強め、分断が広がっている。
■トランプ政権とハーバード大学が対立
トランプ政権は教育界への締め付けを強めていて、トランプ政権とハーバード大学などアメリカ有数の名門大学が真っ向から対立する状況になっている。
ハーバード大学の学生新聞によると、ハーバード大学は教員の80%以上がリベラルを自認していて、去年はイスラエルによるガザ攻撃に対する反対デモが発生している。
トランプ大統領は24日、「(ハーバード大学は)反ユダヤ主義の極左機関」だと非難した。
トランプ政権はハーバード大学に対し、反ユダヤ主義の取り締まりなどを要求した。14日、ハーバード側が拒否すると、約3200億円の助成金を凍結した。ハーバード側は21日、凍結の解除を求めて連邦地裁に提訴した。
ハーバード大学の学生への取り締まりも要求している。
BBCによると、トランプ政権はハーバード大学に対し、「アメリカの価値観に『敵対的』な学生を政府に報告」「『反ユダヤ』を監査する政府公認スタッフを雇用」「抗議行動での『違反行為』への懲罰措置」などを要求したという。
また、ハーバード大学の学生を含め、全米でパレスチナを支持する発言を理由に、学生ビザ1500件が取り消されたという。
ただ、ロイター通信によると、トランプ政権は25日、学生ビザの取り消しを一時的に回復させると発表した。
民間によるデモ参加者の特定も行われている。
AP通信によると、顔認識ツールの開発者がAIを用いた情報収集と大規模監視プロジェクトを実行しているという。
インターネット上の検索可能なデータベースと顔認識ツールを組み合わせ、マスクを着けた人物の特定が可能になる。
マスクとスカーフで顔を覆ったデモ参加者を特定し、通報。顔全体がインターネットでさらされ、勤務先を解雇される事態になっているという。
次のページは
■教育省廃止へ 学生ローン利用者が苦境に?■教育省廃止へ 学生ローン利用者が苦境に?
トランプ大統領は教育省“解体”の大統領令に署名した。組織を大幅に縮小し、廃止を目指すという。“宗教教育”強化の改革案も打ち出している。
トランプ大統領は先月20日、教育省廃止の大統領令に署名した。
アメリカの教育は、教育行政は基本的に州に委ねられていて、教育省は各種補助金事業・奨学金事業などを担当している。
教育省“廃止”で学生ローンの利用者が苦境に陥るという。
アメリカのニュースサイト「アクシオス」によると、学生ローンの利用者は約4000万人。このうち約500万人が債務不履行状態だという。
トランプ大統領は、学生ローンの所管を中小企業庁に移管すると発表していて、来月5日から債権回収のため、給与差し押さえによる強制徴収を開始するという。
アメリカの教育長官は、納税者が学生ローン政策の負担から解放されると主張している。
さらに初等教育にも介入するのではとみられている。
アメリカの公立学校は、学校が宗教行為の祈りを主導するのは違憲とされている。一方で、LGBT関連教育や進化論を授業に導入していて、ガーディアンによると、反発するキリスト教保守派を中心に宗教教育を行う私立学校が広がったという。
さらに、トランプ政権の改革案は、共和党の「政策綱領」によると「私立学校の授業料を払うために公的資金を投入」「学校で祈ること、聖書を読むことを擁護」するというもので、一部の共和党支持者が多い州でキリスト教に基づいた教育を導入するというもの。
トランプ氏の「学校に祈りを取り戻す」「教育省閉鎖」という約束は福音派の願いをかなえるものだ」と報じている。
次のページは
■研究予算削減 頭脳流出の恐れ■研究予算削減 頭脳流出の恐れ
トランプ政権は研究予算に大ナタを振るっていて、この影響で頭脳流出が進む恐れも出てきている。
ロイター通信によると、トランプ政権の予算削減にはワクチン接種に懐疑的なロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官が率いる保健分野も含まれるという。
ワシントンポストによると、傘下のNIH(国立衛生研究所)の予算が約40%削減され、HIVや新型コロナの研究資金が凍結された。
NASA(米航空宇宙局)や気象データを集計分析するNOAA(海洋大気庁)でも人員や予算削減が進んでいる。
先月27日、イギリス科学誌「ネイチャー」が発表した調査では、研究活動への締め付けを強めるトランプ政権を理由に、研究者の75%がアメリカを離れることを検討しているという。
こうしたアメリカの研究者を獲得しようという動きも出ている。
ロイター通信によると、EUの科学技術を資金援助する欧州研究会議は、EUへの移住を希望する研究者への助成を1人あたり3億2400万円に倍増するという。
ドイツでは次期政権の連立協議で、研究者を最大1000人誘致する計画を立てたという。
■“科学大国”中国にチャンス?
一方、今や“科学大国”とも指摘されている中国も人材獲得のチャンスとみている。
アクシオスによると、中国はAI、バイオテクノロジー、宇宙などの分野ですでにアメリカを先行している。
自然科学系の論文数では、2020年から2022年の平均で、中国が約54万でシェアは26.9%、アメリカが約30万でシェアは15%と、中国がアメリカを上回っている。
ロイター通信によると、中国は2008年、海外にいる中国人や外国の専門家を多額の資金援助で集める「千人計画」を立ち上げた。その後、工業情報省が主に管理する「啓明」と呼ばれるプログラムに衣替えした。
啓明は、主に半導体などの人材が招致対象で、大半はマサチューセッツ工科大やハーバード大学で訓練を受けた研究者。対象になると住宅補助や契約金で6000万円から1億円を受け取ることができるという。
中国共産党系の環球時報は、40年近くアメリカに居住した著名な中国系アメリカ人数学者がアメリカを離れ、中国でフルタイムの研究職に就くために帰国したと報じている。
世界の科学者が安定した政策と強力な研究能力を持つ中国を選ぶ傾向が高まっていることを反映しているという。
では、日本はどう動くべきなのか?
朝日新聞によると、先月の科学技術政策を話し合う政府会合で、有識者から「日本としてどれだけ受け入れられるのか迅速に議論する必要がある」「研究者がマーケットに出ている時期。積極的に交流することが必要」との声が相次いだという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年4月29日放送分より)