カナダ総選挙 与党が政権維持 単独過半数には届かない可能性も

支持者の前で勝利演説するカナダのカーニー首相=2025年4月29日、八田浩輔撮影 拡大
支持者の前で勝利演説するカナダのカーニー首相=2025年4月29日、八田浩輔撮影

 カナダ総選挙(下院、定数343議席)が28日、投開票された。カナダメディアは、3月に就任したカーニー首相が率いる中道左派・自由党が第1党となり、政権維持が確実な情勢と伝えた。

 隣国のトランプ米大統領が関税や「併合」に言及して揺さぶりをかける中、自由党は対米強硬路線を明確に打ち出し、リベラルな野党や地域政党の票も取り込んだ。ただ単独過半数には届かない可能性がある。

 カーニー氏は29日未明、支持者を集めた集会で勝利演説し、「トランプ大統領はカナダを所有するため、我々を分断しようとしている。そんなことはさせない」と国民に団結を呼びかけた。カーニー氏は選挙後、関税について本格協議に入ることでトランプ氏と一致している。

 長引く物価高騰の影響などを受け、少数与党の自由党の支持率はこの数年低迷が続いた。今年1月初旬にはカナダ放送協会(CBC)がまとめる各種世論調査の平均で約20%にまで落ち込んだが、トルドー前首相の辞任とトランプ米政権の発足を機に急回復した。最大野党の中道右派・保守党は終盤で追い上げ、自由党が強い都市部でも支持を広げて現有議席を上回った。

 3月の自由党党首選で圧勝したカーニー氏は政権基盤の安定を目指し、10月までに予定されていた総選挙の前倒し実施に踏み切った。カナダの下院選は小選挙区制で第1党の党首が首相に就く。元中央銀行総裁で議席がないまま首相に就いたカーニー氏もオタワの選挙区から出馬し、当選を決めた。【オタワ八田浩輔】

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