“万博でコスプレ”が炎上、「著作権侵害」の声も 当事者コスプレイヤー「白黒はっきりさせるべき」
批判は大きく分けて「運営に支障をきたす」と「著作者の権利侵害にあたる」の2つ
批判の内容は大きく2つ。「万博の運営に支障をきたす、トラブルを起こしかねない」というものと、「コスプレは二次創作であり、公の場での撮影は著作者の権利侵害にあたる」とするものだ。 このうち、前者については万博の公式ホームページ上で、コスプレや仮装をしての入場に関して「持込禁止物に該当しないものであれば、装着しての入場は可能です。但し、会場内の公序良俗に反する服装や平穏を乱す行為は禁止です」「コスプレ・仮装のための着替え場所はありません。トイレでの着替えは、他の来場者の使用に際して迷惑となる場合がありますので禁止です」「他の来場者の迷惑となるような写真撮影行為は禁止です」などの記載があり、今回の鹿乃さんの来場は規約上特に問題がないように思われる。 「記事のせいでコスプレイヤーが大勢来場して、もっと規制が厳しくなるという意見もありましたが、もし厳しくなるのであれば、それはもとから必要だったこと。実際に私自身、規約の内容がかなり緩く、運営に危うさを感じる部分もありました。たまたま私が最初だったからいいものの、他のコスプレ参加者が何も知らずに問題を起こし、国際問題に発展していた可能性もある。そうなる前に、今回の騒動で対策が練られるのであれば、それに越したことはないと思います」 一方、後者の批判は「主催者が許可しても著作者はコスプレを許可していない」というもの。コスプレや同人誌など、すべての二次創作物は著作権侵害にあたる可能性があるものの、これらは一部を除き親告罪で、現状は著作者が訴えを起こさないことで黙認されているという事情がある。コスプレを巡る著作権の問題について、鹿乃さんは「いい意味で問題提起ができたと思う」と自身の考えを語る。 「もちろん、二次創作がグレーなものであることは分かっていますし、著作者からの訴えがあればその表現はやめるべきだと思っています。ただ、それを制限する権利は著作者にしかない。他人があれこれ言うのはそれこそ表現の自由の侵害です。 コスプレイヤーの間には、コスプレで公の場に出てはいけないという暗黙のルールがあります。『こんなに素晴らしい文化なのに、いまだにアングラの域を出ないのはなぜだろう』『過去の常識やお気持ちを押し付けたり、人の行動を制限するのは変だなぁ』と感じていた。今回のように、コスプレや二次創作の是非が一般の方も巻き込んで議論となるのは、長く曖昧になっていた二次創作の在り方を定義する、またとない機会になると思います」 これまでグレーだった二次創作の在り方が定義されることは、ともすれば二次創作の全面禁止という事態にもつながりかねない。コスプレ文化が消滅する可能性もあることについては、どのように考えているのだろうか。 「実際のところ、著作者の中にも二次創作を愛している人はたくさんいる。白黒はっきりさせるべきで、それによって二次創作が全面禁止になるのであれば、その時はまた必ず議論が起こります。コスプレも同人誌も、こんなに素晴らしい文化なのだから、タブーにするのではなく、今回のようにみんなが話し合ってルールを決めていけば、より良い方向に向かっていくはずです。どんな価値観や視点の裏にも無限の可能性が存在します。現在の常識に当てはめて否定することなく、どうしたら面白い世界になるかみんなで考える。そしてできない理由ではなく、やれる方法を考えられたらクールだなと思います」 思わぬ議論が巻き起こっている、万博コスプレ問題。多様性をテーマとする祭典で、著作権と表現を巡る難問に答えは出るか。
佐藤佑輔