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【主張】性別変更要件の見直し 相次ぐ司法判断。法改正は急務
生物学的な性と心理的な性の不一致に苦しむ人々に寄り添い、必要な環境整備を進めねばならない。
公明党は3日、性同一性障害特例法の早急な見直しに向けた党の見解を公表した。具体的には、性別不合の人が戸籍上の性別を変更する際、同法で規定する生殖機能をなくす手術を受ける必要があるとする「生殖不能要件」を削除する。
また、変更後の性別に似た性器の外観を備えるとする「外観要件」も見直し、新たな要件の検討などを掲げている。
性別変更の要件を巡っては、最高裁判所大法廷が昨年10月、「生殖不能要件」を違憲と判断した。「外観要件」については審理を広島高裁に差し戻しており、同高裁は10日、「この当事者の場合は手術なしでも外観の要件は満たされる」との考え方を示し、戸籍上の性別を男性から女性に変更することを認めた。
一連の司法の判断は非常に重く、立法府の対応は急務である。今回の党見解は当事者の苦しみを解決するため、問題に正面から向き合う姿勢を示すものと言えよう。
「生殖不能要件」を満たすには卵巣や精巣を摘出しなければならず、合併症のリスクや経済的事情などで手術が受けられない人は性別変更を諦めるしかない。世界保健機関(WHO)も「人権侵害に当たる」と指摘しており、法改正への検討を急ぐべきだ。
一方、代替措置がないまま性別変更が認められれば、悪意をもって性別変更を装う「なりすまし」が生じる懸念も指摘されている。医師による性別不合の診断の正当性を十分に確保し、性別変更への信頼を担保する検討は重要だ。
同法では、性別変更の要件に「未成年の子どもがいない」ことも定めている。この規定を巡っては、男性から女性に性別変更した当事者が変更前に凍結保存した自身の精子で生まれた子の認知を求めた裁判で、最高裁は先月、親子関係を認める判断を示している。この要件のあり方についても早急な議論が求められる。