東京在住の女性Ｋ様から「坂爪さんの波動に会いたい」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。仕事もあるし、恋人もいるのだが、人生全般に退屈している。やる気が起きなくて休みは寝てばかりいたのだが、坂爪さんに会えると決まってから自分史上最速で部屋の掃除を済ませて、身支度を整えて、やるべきことを全部済ませて、化粧をして、ここに来た。ここに来ただけで、私はゴールをしている。大事なことを思い出した。気分がアガることなら、私はこんなにも動ける女だったのだ。Ｋ様は、そのようなことを言った。

マッサージの仕事をしているＫ様は、マッサージをしている癖に自分はガチガチに体が凝っていると言った。やむなし。献身的な人ほど、体はボロボロになる。職場の人たちはみんないい人だが、客からクレームが入ると「次からはこうしてくださいね」とバチクソに縛られる。言われたことはやるのだけれど、正直そこまでしてやる必要はあるのかと思う。好きではじめたマッサージの仕事だが、最近なんだか疲れている。疲れる自分を責めてしまう。Ｋ様は、そのようなことを言った。

私は「それは給料が安過ぎるからだと思う」と言った。時給千円で働くなんて奴隷と同じである。丸が一個足りない。時給一万円からはじめよう。それならやる気も漲るはずだし、働き過ぎないで済むし、余暇を花や本や服を買う時間に使える。花を買う余裕がないのではなく、花を買わないから余裕がないのだ。本を読む時間がないのではなく、本を読まないから時間がないのだ。服を買う気力がないのではなく、服を買わないから気力が出ないのだ。服の力をあなどってはいけない。その日一日の気分を決めるパワーが、服にはある。

自分を安売りしてはいけない。金を取るのは強欲ではない。金を貰えば「許してやるか」となる。金は出さないで、口だけ出す人はファックオフ。そんな客は出禁にしよう。我々は我々の体の店主である。店を大事に扱わない客からは、慰謝料を取ろう。金の奴隷になるな。金の主人になれ。お金を貰っているんだからちゃんと働かなくちゃとか思う必要はない。お前はお金を貰っていない。貰っているのかもしれないが、圧倒的に足りていない。時給一万円なんて安い方で、本当は一分一万円貰うくらいがちょうどいい。お前には、その価値がある。その価値を自分で捨てたらダメだ。

自分の価値を捨てた女は太る。あるいは、自然食にはまってガリガリに痩せる。お前の魅力はそこじゃない。玄米が体にいいとか言うな。お前がお前でいることが、体にも地球にも一番いいのだ。どんな本を読むべきですかとか聞くな。読むべき本など一冊もない。読みたい本を読め。続きが気になって夜も眠れなくなったら、それが正解。気分がアガったなら正解。逆に、どれだけ周囲から勧められても、これを知らなければ恥ずかしいと言われても、自分の気分がアガらなければ焚書。燃やせ。基準は気分がアガること。気分が悪くなったなら、それが合図。道を誤った合図だ。気分がアガる花を買おう。気分がアガる本を読もう。気分がアガる服を着よう。それでもダメなら、俺を呼べ。俺で給油しろ。そして荒野へ走り出せ。