ここに複数枚の写真がある。スーツ姿の男性が若い清楚系の女性とラブホテルに入るものや、別の茶髪女性と喫茶店で談笑するものだ。ただならぬ写真が撮影された背景には、権威ある大病院の“ドロ沼内紛”があった。
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“日本一として紹介された心臓外科”の理事長
舞台は、国立循環器病研究センター(国循、大阪府吹田市)。病床は550床、職員数は約1300人を誇る。「週刊朝日」ムックの「手術数でわかるいい病院2024」の心臓手術部門で手術件数日本一として紹介された、心臓外科の権威である。
そんな“白い巨塔”で、21年4月から理事長を務めているのが、大津欣也氏(66)だ。
「国循は国立がん研究センターなどと同様に、法律によって設置された国立研究開発法人。理事長(旧総長)は厚労相から任命され、理事長経験者は叙勲の対象となるのが通例です。大津氏は長らくイギリスのキングスカレッジロンドンで教授を務め、国際経験が豊富との理由で理事長に任命されました」(厚労省担当記者)
理事長の不祥事が、立て続けに発覚
だが、大津氏の理事長就任後、国循では混乱が続いているという。
「23年、大津氏が責任著者を務めた7本の論文に、画像の不適切な使用が指摘されたのです。さらに翌年には、大津氏の部下へのパワハラが第三者委員会に認定された。これだけ理事長に不祥事が発覚するのは異例です」(同前)
大津氏は、自身の不祥事が次々と明るみに出ることについて、自身を追い落とそうとする“反大津派”の策謀だと疑っていたようだ。国循幹部が明かす。
「昨年7月には、厚労相経験者でもある加藤勝信氏(現財務相)を講演会に招きました。国循の幹部職員、約100人に出席が義務付けられ、大津氏が“自分が閣議決定で理事長になった時の官房長官が加藤氏だった”とあいさつ。大津氏は自身に近い関係者に『不満分子に対し、自分のバックに加藤氏がいることを示すために、知人を介して呼んだ』と本音を漏らしていた」