国立大学病院、大半が赤字 利幅薄い高度医療に迫る危機
Inside Out
全国各地で高度な医療を提供し、医師の育成も担う国立大学付属病院の経営が危機に直面している。高度医療の多くは利幅が少ない上に、資材費や人件費の増加が続き、大半が赤字となった。老朽化した施設の建て替えを遅らせ、古い医療機器を使い続けてしのぐが、経営努力も限界に近づく。放置すれば、患者に十分な医療サービスを提供できなくなる。
茨城県つくば市にある筑波大学付属病院の外来診療棟に入ると、完成から約50年た...
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(更新)- 津川友介米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 准教授・医師分析・考察
日本の医療政策には一貫したグランドデザインが欠けており、つぎはぎの印象を受けます。医師であれば誰でも自由にどこでも開業できる「自由開業制」をそのまま維持していることもあり(他の理由もありますが)、総医療費のコントロールが困難になり、その結果として診療報酬を一律に引き下げるなど、大雑把な政策が目立っています。今のように既得権益のパワーバランスによって医療政策を決定するのではなく、医療政策学のエビデンスをもとに、国民の健康を守るためのインフラとして、医療提供体制をきちんと整備・維持する必要があります。その一環として、大学病院や高度な機能を持つ病院を維持することが重要であると考えます。
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(更新) - 石原純インペリアルカレッジロンドン 講師ひとこと解説
イギリスの大学も同じく病院は診療業務では赤字のところが多いです。しかし、盛んな寄付や、他の学部と組んで医療系スタートアップを多く出すことで収入を得ています。 本記事の説明では患者が増えたが薬価が物価の高騰に追いついていないということです。これではこれから先は悪化の一途です。私が日本にいた10年前は、国立大学は病院が稼いで、他の学部の赤字を補っていました。今日本の病院経営が苦しいのであれば、イギリスの大学の経営や文化に学ぶこともあるかもしれないです。
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(更新) - 花村遼アーサー・ディ・リトル・ジャパン パートナーひとこと解説
高額な医療がやり玉にあがっていますが、記事にあるCART治療は医療費全体の0.1%程度であり、この手の高額治療が原因で多くの病院が赤字に苦しむというのはややミスリードだと思います。医薬品や医療機器のイノベーションはバイオやロボティクス、AIなどの技術により非連続に進みますが、医師が介在して人の側面が大きく労働集約的な病院の経営はそういうわけにはいきません。薬剤費は毎年下がりますが、診療報酬は大きく下がることはありません。根本的な日本の医療システムな見直し、病院の再編など構造的な打ち手が必要と思いますが、既得権の制約で当面は動きにくい。となると、国民負担の増加と医療の中での価値の再配分が必要です
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現代の日本、世界が直面する構造問題の根っこに一体なにがあるのか。未来志向の「解」を求めて、記者が舞台裏や歴史を徹底的に探ります。