「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。
いまの自分が置かれた状況を、他の人のせいにする。思った通りにならない自分の人生へのいら立ちを他の人にぶつける。わたしたちは、ついそんなことをしてしまいがちだ。なぜそんなことが起こるのだろう。
最大の原因は、自分に対する厳しさだと思う。わたしたちは、自分に対して高い理想を突きつけ、自分を厳しく裁いてしまいがちなのだ。
「入れたはずの学校に入れなかった、つけたはずの地位につけなかった、わたしはなんて駄目な人間なんだ」、精いっぱい頑張っている自分に対して、わたしたちは心の中で、ついそんな厳しい言葉を浴びせかけてしまう。
思った通りに生きられない自分自身への怒りは、ときに周りの人に向かって流れ出す。
「あのとき、あの人があんなことを言ったからこんなことになったのだ」と、自分に起こったことを他人のせいにしたり、「わたしはこんな状態なのに、あの人はあんなに恵まれている」と、他人を妬んだりしてしまうのだ。
そもそも、わたしたちは自分に対してそんなに腹を立てる必要があるのだろうか。いま置かれている状況は、そんなに悪いものなのだろうか。確かに自分の期待した通りではなかったかもしれないが、わたしたちはここまで、自分なりに精いっぱい頑張って生きてきた。いま置かれている状況だって「ここまでこれただけでも、わたしにとっては上出来だ」と考えれば、喜んで受け入れることができるはずだ。
「他人にやさしく、自分に厳しく」と言うが、それはなかなか難しい。あるがままの自分を受け入れ、評価できないと、あるがままの他人を受け入れ、評価することもまた困難なのだ。
まずは、いまの自分をゆるし、受け入れることから始めたい。