謎のAIスタートアップ「オルツ」で何があったのか?
結論:「売上がウソだったのでは?」という疑惑がある。
個人の感想:「疑惑」なので確定ではないが、正直怪しすぎる。
AIスタートアップの「オルツ」って何?
会社のホームページには、このような説明があります。
全人類に一人一つのパーソナルAI(P.A.I.)を。
P.A.I.は、個人の記憶の永久保管や意志の代替を可能にし、意識の多元化による人間拡張を実現します。
あなたの知識や経験がデジタル空間で増幅され、個人と社会の新しい進化の可能性が広がります。
全人類を再現する、物理的制約を超えた「World Clone」へようこそ。
各P.A.I.は、高次元ベクトル空間で知識と意識をリアルタイムに相互作用させ、時間と空間を再構成します。
この普及により、過去・現在・未来が統合されたシミュレーション環境が形成され、非線形な知識拡張と無限の生産性が実現します。
P.A.I.の普及は、世界の再構築そのものに貢献します。
ポエムではありません。ホームページにそのまま書いてあります。何をやっているかわからないので、事業内容を確認してみましょう。
やっぱりわかりません。AIですごいことをやってる気はしますが、それ以上はわかりません。専門的に掘り下げれば解説できなくもないですが、大半の人とってはホームページを読んでも謎です。そのため本記事ではオルツを「謎のAIスタートアップ」と呼称しています。
売上の93%は議事録ソフト
オルツの主な業務は「AI GIJIROKU」という議事録ソフトの開発と販売です。実際に売上の93%が本製品が占めています。製品自体は録音された会議の内容を文字起こしして、要約をまとめるよくあるものです。そもそも昔から競合他社が乱立しており、最近ではZoomやMeetsのようなオンライン会議ツールでも標準機能になっています。わざわざ購入する会社があるのか怪しいですが、この手のアプリはITリテラシー皆無な担当者がたまたま展示会で見かけたり、飛び込み営業担当のゴリ押しによって意外と導入されたりします(実体験)。
これが今回の問題になっています。販売業務を委託する代理店において、有料契約が実際には利⽤されておらず、売上が過⼤に計上されている疑いがあるとオルツ社が発表しました。
本当に販売代理店が悪いのか?
実際に商品やサービスを販売する代理店や、営業担当者が問題を起こすことはよくあります。契約前は営業担当者が都合の良い事を言っていたのに、契約後に問題が起こったら塩対応というのはよくあります。販売代理店の株式会社ジークスに依存しており、同社が虚偽の契約をしたのでしょうか?「AI GIJIROKU」は既に9,000社が導入されており、件数が増えて管理が大変だったのでしょうか?9,000件なら面倒ですがEXCELで管理できる気もします。とはいえ、事業内容で独自にAI開発を掲げる企業がこんなミスをするのでしょうか?
組織体制がダメすぎる
原因は単純で純粋にダメな会社でした。インターネットとSNSと文春砲とガーシーと滝川ガレソによって、ダメな会社のタレコミはいくらでも出てきます。元社員によって、告発されたのは衝撃的な内容でした。
・告発者は元社員で営業などを担当していた
・請求書や入金手続きの詳細が確認ができない
・契約者の一覧を出すまで1週間かかる
・続けて契約者について確認の要望を出しても回答が遅すぎて挫折
・売上の95%は虚偽ではないか? ※告発者の体感
・採用の内定が決まっても直前で取り消される(5人10人単位)
・社長とCFO(最高財務責任者)の周りはイエスマンばかり
・社外取締役が「ガバナンス(企業統治)が機能してない」と諦めた
田舎で同族経営している中小企業よりも酷いですが、オルツは株式を上場している企業です。東京証券取引所や監査法人や証券会社が確認をしているはずですが、スルーされています。独自開発したAIで隠蔽したのでしょうか。もっとも匿名の告発なので、元社員を名乗る人物が虚偽の報告をした可能性もゼロではありません。というわけで、タレコミではなく数字を見てみましょう。社員数は20名(上場時の2024年10月)で、スタートアップとはいえ上場企業としては少ないです。それを補うために業務委託者が92名ますが、業務委託は正社員と異なり会社が社会保険料の費用負担がなく、解雇(正確には発注をやめる)のが簡単です。言ってしまえば外注や下請けの人材であり、仕事を請ける側も嫌なら断れる立場です。そのようなどこまで会社に貢献してくれるかは未知数です。
この組織体制で、売上は41億円です。売上の93%を占める。「AI GIJIROKU」の年間利用料は16,500円・3278,00円・2,200,000円の3パターンです。これが9,000ライセンス販売されています。
つまり「社員20名+業務委託90名+販売パートナーで売上41億円!」というウォーズマン理論のような売上構成です。一度契約すれば継続して利用するので売上が積み上がるものの、解約や競合製品への乗り換えを考慮するとムリがあります。さすがに異変に気付いたの(あるいは隠し通せなくなったのか)、今回の発表につながります。
組織ぐるみで工作していた?
本当に販売パートナーによる売上偽装が原因なのでしょうか。あくまで推測ですが、違和感を挙げてみましょう。まずは売上41億円に対して、広告費が37億7000万円を投じている点です。ここまで広告費をかければ、TVCMやネット広告などで目にする機会があるでしょう。ましてや私はAI関連に興味がある立場なので、表示される可能性が高いです。が、広告を見た記憶がありません。もちろん私の記憶だけでは根拠にならないので、もし見た人がいれば一報ください。
実際には「広告費」という名目で、販売代理店向けに新規契約に応じて販売奨励金(リベート)を払う事例がよくあります。実際に家電量販店やキャリアショップ(ドコモショップなど)では、スマホの新規契約に応じてこのような代金が支払われます。オルツにおいては販売代理店の新規契約を応じて奨励金を払ったものの、すぐに解約されて代理店だけが儲けていた構造も考えられます。それならオルツが被害者とも考えられますが、実際にそうなのでしょうか。前述の元社員よるタレコミに加えて、他の方もオルツの内情について紹介してみます。
中で業務委託してた知人など経由で私が知ってるエピソードはどこまでがファクトかはあれですが下記とかです…
— 周 涵 (@zhouhan0122) April 26, 2025
・独自LLMはGPT-3と同じパラメータ数なのにGPT-4級の性能と主張、本当ならDeepSeek級の快挙だが、いざ私の前職のAI企業のみんなでチャットボット触って、色々問い詰めると最初は否定するが、最後は自分がGPT-4であると白状する(スクショ取っておけばよかった笑)
・エンジニアの大半、事業開発、人事など多くが業務委託でリモート、会社としての実態はだいぶ怪しい →全社の忘年会とかをやると集まるメンバーは多くがお互い知らない初対面
・広告宣伝やら政治家へのロビイングは惜しみない予算を投下。〇〇先生にAIを披露した云々を投資家によく語っていた (それで投資を取ってたのかも)
・ただ、去年頭の時点でIPO前のラウンドで面談した海外投資家に各種KPIの整合性がとれない、つまり売上などが正しくないのでは?という指摘にCFOがうまく答えられない事象があったとのこと →その投資家は投資しないという英断
・(私も22年にエージェントに紹介されて採用面談で役員陣と面談したので体験済みだが) 候補者との面談で圧力面接をして、事業アイデアを聞きまくり、その中で筋がいいと思ったものは、まずはお互いの相性を見るために業務委託から始めましょうといい、委託期間中にアイデアを吸い上げるブレインドレインをやっていて被害者多数 (一昨年以降の新規事業の多くは確かそれが起点)
あくまで「人から聞いた話」なので、ゴシップと言われたらそれまでです。しかし、同様のヤバい話は少し探すだけでゴロゴロ出てきます
・社長が「IT業界の有名人」「ゲームクリエイター」を"自称"
・社長は愛知大学文学部中退でAIを全然わかってない
・業務委託者に自社製品を購入させている
・コンサル費用と称して自社製品の利用契約を締結
・新製品の発表はするがまともに使える品質ではない
・独自開発した製品の中身がChatGPT
・自社製品が世界最高の性能を発揮(ただし詳細は非開示)
・大企業との業務提携や実証実験やメディア出演は積極的にアピール
もちろん真偽は確認できないのでグレーですが、「火のない所に煙は立たぬ」という格言を紹介しておきます。
資金調達額は累計80億円+大企業と提携
怪しい噂はあるものの、あくまで噂です。実績としてオルツの資金調達額は累計80億円です。生成AIブームのおかげか、VC(ベンチャーキャピタル)や投資家の資金が余っていたのでしょうか。
さらにキーエンス、NVIDIA、Databricks、デロイトトーマツ、SambaNovaなど、名だたる企業との戦略的パートナーシップを締結しています。社長のコミュ力(※)が異常に高いのでしょうか?真相は不明です。
※本記事における「コミュ力」は良くも悪くも自分の都合に合わせて、相手の意思を誘導する能力を指します。
謎のAIスタートアップはオルツだけではない
現時点でオルツは不正な売上における疑義を調査しています。決して、粉飾決算や売上の水増しなどの不正行為を行ったわけではありません。まだ問題について調査している段階です。今後の調査結果について、待ちましょう。個人的には期待できませんが……。
一方で、謎のAIスタートアップは多数存在します。私は以前に「生成AIで簡単に稼げる!」という謎のAIセミナーを開催する企業を調査しましたが、実に謎に包まれていました。
オルツや稼げる系セミナーに限らず、謎のAIスタートアップは多数存在します。決して謎のAIスタートアップは、犯罪や悪徳商法や不正行為をしているわけではありません。ただし、なんか怪しいです。
謎のAIスタートアップの特徴として、下記が挙げられます。
・社長がとにかく目立ちたがり
・実績の数字(売上額や契約数など)を過大に発表
・社長や社名で検索すると「怪しい」「訴訟」「詐欺」と表示される
・メンバーの多さをアピール(実際の社員数は異常に少ない)
・レストランやタワマンやワインや外車や時計をSNSに投稿
・過去の失敗から現在の成功ストーリーをドヤ顔で語りがち
・「〇〇(特定の職業)が失業!」「世界に革命!」と煽る
・特定商取引法やクーリングオフの存在を知らない
・SNSで悪口を言われると訴訟と開示請求をチラつかせる
・いるのかいないのかわからない顧問弁護士の存在
・料金を払って広告を掲載したのに「取材されました」と言い張る
・SNSでムダに意識が高い発言をしがち(インプレ数は少ない)
・倫理観やモラルが欠落している(逮捕されなければ合法感覚)
・Twitter(X)でコミュティノート付けられがち
・社員や身内がトラブル起こしがち(それをSNSでネタにする)
・生成AIの前はWeb3やNFTやメタバースを持ち上げてた
・「日本のため」「社会のため」「Giver(ギバー)」と言いがち
・自社製品やサービスの優位性を不自然に強調する(根拠はない)
・業界団体や一般社団法人を作りがち
・優秀なエンジニアや研究者が多数存在すると言い張る
・GPUの保有枚数をアピールしがち(大企業でも確保できないのに)
・企業や団体の顧問になったと言い張る(名前は出さない)
・AIプロジェクトの成功をアピール(詳細は不明)
・独自にAIやLLMを開発する(ただし発表止まり)
・研修内容が他社の研修や市販本を丸パクリ
・「日本一」「世界初」などをアピールするが証拠はない
・実証実験や業務提携やメディア出演のリリースばかり(売上になるの?)
・海外の活動をやたらと強調(ホテルのプールにいるだけでは?)
・やたらとイベント(社長の誕生日パーティーを含む)を開催しがち
・有料のオンラインサロンや有料noteの販売に熱心
・YouTubeとInstagramとTiktokの露出がムダに多い(本業はどうした?)
・芸能人やスポーツ選手や政治家との人脈アピール
このような謎のAIスタートアップが存在します。あくまで個人的に調べた結果として怪しい"気がする"だけで、不正行為の明確な証拠はあまりありません。とはいえ、個人的に関わりたくありませんが。企業としてもこんな社長と取引するのはやめたほうが良いでしょうし、VC(ベンチャーキャピタル)や投資家も関わらない方が良いでしょう。
生成AI界隈では、謎の社長や会社やインフルエンサーが存在しています。そんな謎のスタートアップが好き放題にやらかした結果、「生成AIは怪しい」「生成AIは詐欺」「生成AIは虚業」という印象が社会に定着するのは避けなければいけません。ナメたことしたらバラすぞ、お前。




コメント
6マスクドさんの記事にもありますが、法人プラントいう年間220万円のものがあるので、全てのアカウントが年間24000円ではないので、とるねこさんの売上に関する指摘はあたらないのでは?
私自身は、「この会社やってんな」と疑ってますが。
いや、それが計算合わないんですよ。1アカウント計算が仮にビジネスクライアントとしましょうか?(普通アカウント単位を揃えますが、それを見てない時点ですでに大問題です)1000社ビジネスアカウントが増えて、年間220万です。これで、ようやく22億増加ですよ??
ありえるわけないですよ、断言します。
zoomとかにすでに機能あるし、他社もいくらでもあるのに、ビジネスアカウントクラスを1000社近く引き抜いたならほんとすごいんじゃないんですか?引き抜いたなら、ですが。
あと、詳しくはいえませんが、ai議事録を導入している会社として表示している会社の中に関わっていましたが、ai議事録なんかありませんでしたよ?