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【社説】2馬力選挙 公平欠く行為に歯止めを

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社説

 当選する意思がなく、他候補を後押しするために立候補する「2馬力選挙」は選挙の公正を損なう。歯止めをかける対策を急ぎたい。

 2馬力選挙は昨年11月の兵庫県知事選で表面化した。立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首は斎藤元彦知事の応援に終始し、自身に投票しないよう呼びかけた。斎藤氏は再選を果たした。

 選挙の後、兵庫県選挙管理委員会は2馬力選挙を禁じる法整備を総務省に要望した。選管委員長の「選挙の形がおかしくなってしまった」という言葉は率直な実感だろう。

 候補者1人が配布できるビラの枚数は制限され、ポスター作成費や選挙車の燃料代などは公費で負担している。こうした制度を1人の当選のために複数の候補者が利用する2馬力選挙は、明らかに問題がある。

 公選法に歯止めをかける規定はなく、法律の隙を突かれた格好だ。鳥取県の平井伸治知事ら19人の知事は政府や国会に対応を求めた。

 鳥取県は政府に先んじて、独自の対策に乗り出した。立候補する人に「自らの当選を目的として候補者になる」という趣旨の宣誓書の提出を求めるもので、5月の県議選補欠選挙で初めて導入する。

 提出を拒んだ場合は、立候補の届け出を受理しない可能性があるという。

 島根県と連携し、参院選の鳥取・島根選挙区に導入することも決めている。島根県の丸山達也知事は「国政の怠慢を現場で改善している」と述べ、政府と国会の対応の遅れに不満を表明した。

 今国会では、選挙ポスターが風俗店の広告など目的外に悪用されないように、品位保持規定を新設した改正公選法が成立している。

 一方、2馬力選挙や交流サイト(SNS)での誹謗(ひぼう)中傷と偽情報対策は、施策の在り方を検討して「必要な措置を講じる」と付則に記すにとどまった。表現の自由との兼ね合いもあり、具体策がまとまらなかった。

 候補者の主張を安易に法律で規制してはならない。配慮が必要なのは確かだ。

 とはいえ、今後も2馬力、3馬力の選挙をもくろむ候補者が出る恐れがある。立花氏は別の首長選でも他候補の応援をほのめかした。国会は対策の検討を急ぐべきだ。

 鳥取県は昨今の選挙課題に対し、先駆的な取り組みが目立つ。選挙目的から逸脱したポスターは、県条例で公営掲示板に張ることを禁じた。

 投票所の立会人が不足する地域では、遠隔地からカメラ越しに投票の様子を監視する「オンライン立ち会い」を推進している。法整備を待たなくても、自治体にできることはある。

 民主主義の基盤である選挙を安定して実施することは、政府と自治体の責務である。阻害する行為には、機敏に対応してもらいたい。

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