武生看護専門学校(福井県越前市)の卒業生らが教職員によるパワーハラスメント被害を訴えている問題で、学校を運営する武生医師会は4月25日、事実関係を調べるために設置した調査委員会の報告書を公表した。教職員の不適切な言動が5件確認されたと結論づけており、これらの言動や学校側の対応の不備について卒業生らに対し謝罪する機会を設け、再発防止策を説明することを医師会に求めている。
不適切とされた言動について、武生医師会の担当者は「パワハラだったかは、それがなかったとはいえない」との認識を示し、「今後、(卒業生側から)謝罪の要求などがあれば対応していきたい」と話した。言動があった教職員に関しては「何らかの処分が必要かどうか協議する」と述べた。
申出書では10件以上の被害を訴えていたが、報告書に記載された5件以外については調査で事実確認に至らなかった。
パワハラなどの被害を訴えているのは学生(昨年時点)と卒業生の計4人。2021~24年に人格を否定する暴言などを受けたと訴える申出書を、昨年10月に武生医師会に送付した。同医師会は学校カウンセラー、人権啓発と危機管理の専門家に学校事務局長を加えた委員4人で構成する調査委を設け、学生や教職員らに聞き取り調査をした。
報告書によると、「お前あほじゃねえけ。社会人としてよくやってこれたな」との発言を受けたとの訴えについて、男性教員が調査に「普段からあほやなと口癖で言ってしまうことはあった」と答えた。女性教員が着替えている更衣室で指導を受けたとの男子学生の申し出には、教員が事実を認め「もう少し配慮すべきだった」と話した。
また、「教員や副校長が(パワハラの)被害を校長に伝えず、もみ消されている」という訴えには「教員から対策の遅れを認める発言が確認された」とした。その上で「学校全体で内容を十分共有した上で、組織として一貫した対応だったかは疑問が残る」と指摘している。
報告書を受け、校長の林秀樹武生医師会長は「不適切な言動が数件確認された事実を重く受け止め、再発防止はもとより、学生一人一人の人格を尊重した教育、円滑なコミュニケーション形成に誠意をもって努めていく」とするコメントを発表した。