pixivは2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
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京都姉妹校交流会なる催しに虎杖が参加すると聞き、興味本位で見学に出向いたら庭でエンカウントした謎のドレッドマッチョに性癖問答を挑まれた。
「さぁ言え!どんな女がタイプだ?男でもいいぞ!」
弁護士になって早10数年、厄介な人間には数多遭遇してきたが、その中でも上位に入る逸材の気配がする。逃げたい。
助けを求めるつもりで周囲を見渡すも、通りがかる誰一人として俺と目を合わせてくれなかった。ただただ遠巻きにこちらの様子を伺われるばかりだ。彼等の気持ちも非常によくわかるだけに切なかった。
「おい、どうした。答えられないのか?お前もつまらん男なのか?俺をがっかりさせてくれるなよ………」
黙りこくっている俺に痺れを切らしたらしいマッチョが、俄に殺意を立ち上らせ始める。勝手に聞いて勝手に失望して勝手に殺意を抱くとは一体どういう思考回路をしているんだ。理不尽の権化かこいつは。
とりあえず護身のためにガベルを出しかけた時、マッチョの肩越しに
何だか色々諦めの気持ちが湧いて、俺はガベルを出す手を止めた。もとより、彼に関わることで下手な誤魔化しはしたくないのだ。本当は。
「男でもいいんだな?」
「無論!男なら女、女なら男……今の世でそんな理屈に囚われるなど馬鹿馬鹿しい!」
「では虎杖だ」
「はっ?」
マッチョが豆鉄砲を食らったような顔をした。
よもや虎杖を知らないのだろうか。元宿儺の器である彼は、この業界ではかなりの有名人だと聞き及んでいたのだが。仕方ないのでもう一度繰り返した。
「虎杖悠仁。知らないか?彼はここの生徒で、」
「なんと!?!?ブラザー!?!?!?」
「なになになに待って待って待って」
死ぬほど馬鹿でかい声が辺り一帯に響き渡り、虎杖が俺とマッチョの間に飛び込んできた。
「お前、ブラザーが好きなのか!?!?」
「知らん。誰だそいつは」
「自分から名を出しておいて知らんとはどういうことだ!……む?おお、噂をすればブラザーじゃないか、元気そうで何よりだ!」
「やあ虎杖。ブラザーとはまさか君のことだったのか?君には脹相以外にも兄弟がいたんだな」
「いや実の兄弟と違うから。こいつのいうブラザーってのは心の友的なアレで大分妄想入ってて、じゃなくて今そういうのはどうでも良いんだわ、何で俺の名前出したん?」
「何でも何も、君が好みのタイプだからだが」
この質問の答えにそれ以外の理由なんかある訳ないだろう、と虎杖を見返せば、彼はみるみる頬を赤らめた。
マッチョの方はといえば男泣きに泣き出して、お前は見る目がある素晴らしい漢だと両肩をバンバン叩いてきた。とても痛い。やめて欲しい。
気がつけば俺達の周りにはギャラリーが集まっており、ヤジめいたものも飛び交い始めた。
「何何?何が始まってんの?公開告白?」
「超青春じゃん、恵と野薔薇も呼んでこいよ」
「ついさっきパシりに行かせちまったんだよ。惜しいことしたな」
「おかかおかか」
「えーじゃあ録画しといてあげよっと」
「ぜんっぜんちげーから!!!録んなよ先生!!!先輩達も集まってくんなって!!!」
虎杖が必死になって反論する。彼に同意を示そうと俺も続けて口を開いた。
「虎杖の言う通り、俺はこの頗る様子がおかしいパイナップルマッチョに好みのタイプを聞かれたから、面倒を避けるために仕方なくありのままを答えただけだ。告白したという事実はない」
「真顔でめちゃくちゃ言うなアイツ」
「こんぶ……」
「好みのタイプに知り合いの名前答えるのってそれもう実質告白じゃね?普通もっとぼやかさね?人間の機微って……難しっ」
「へぇー、ふぅーん、ほほー」
至って真面目に返答したのに、野次馬達は相変わらずかしましく囃し立ててくる。五条などはあからさまに含みのある笑みを浮かべてこちらを見てきて、それがまあまあ癪に障った。俺程度の苛立ちなど、最強にとってはどこ吹く風、そよ風にも満たないレベルではあったのだが。
「日車サンって、悠仁みたいなやんちゃで明るくてカワイイ子が好みだったんだねぇ。知り合いにそれっぽい女の子がいるから紹介してあげよっか?」
「虎杖"が"タイプだと言っただろう。『みたいな』はいらん。紹介なんぞ不要な手間だ」
本当にろくでもないことばかり言う男だな、と呆れの色を隠さず断れば、ギャラリーからキャー!と黄色い悲鳴が上がった。青いロングヘアの女子がはしゃいでいるのが見える。見覚えがないのでもしかしたら京都校の関係者なのかもしれない。
視界の端に写った虎杖の顔は、ますます真っ赤に染まり上がっていた。
「じゃあ日車センセーにボクからも質問なんですけどぉ、好みど真ん中の悠仁が付き合って!って言ってきたらOKする?」
「パンダ先輩もうその辺で勘弁してホントマジで」
「双方の合意があれば、青少年保護育成条例や児童福祉法等に照らしても未成年との交際および性交が必ずしも違反になるとは断言できないが、まぁ一般的な倫理道徳・社会的立場・年齢差その他諸々を考慮すれば交際開始は最低でも18歳になってからが妥当だろうな」
「つまり悠仁が成人したらオッケーと」
「合意ありきで2年きっちり待つつもりとか、ガッチガチのガチだねコレ。悠仁おめでとー、ご祝儀は弾んであげるねー」
「性交って言った!あの人性交って言った!!!」
「これもう潔く好きですって言われた方がまだマシじゃねえか?」
「しゃけしゃけ」
俺と虎杖(と向かいで号泣しているマッチョ男)の周囲に何とも言えない生温かい空気が広がっていく。さてどう収拾をつけたものかと思考を巡らせながら虎杖の方を振り向きざま、どん、と身体に衝撃が走った。視線を下に落とせば、首から上を林檎にした彼が、俺の胸に顔を埋めて抱きついているのが見えた。いよいよもって花が咲きそうなムードが漂う。流石にいたたまれなくなってきた。
彼を引き剥がすべきか逡巡すること暫し、「そろそろ僕等は校舎に戻るよ」と五条が声を上げた。そうだな、早く散ってくれ。
「十分良い画が撮れたし、これ以上悠仁をいじめるのも可哀想だから僕達はここらで退散してあげよう。後は若いお二人さん同士で仲良く……でもないか、片方37のおっさんだし」
「俺をいじめるのも止めてくれ、事実だからしっかり傷つく」
「ちゃんとカタつけてから戻って来いよー、色ボケして京都校の奴等に負けるとかありえねぇかんな」
「結局脈アリだったジャン。当人ほどわからないもんなのかぁ?」
「ツナマヨ〜」
「リアル少女漫画だった…!やっぱ東京ってヤバ…!」
「ウゥ、良かったな超親友……!!!幸せになれよ……!!!」
「葵はそもそも何で居んの?4年だろお前」
そうして五条含む野次馬共とマッチョはめいめい勝手なことを言いながら、連れ立って校舎のある方角へと去っていった。
残されたのは俺と虎杖のふたりだけ。抱きついたまま離れる気配のない虎杖の名を呼んで、せめて顔を見せて欲しいと頼めば、彼はおずおずとおもてを上げ、微笑とも苦笑ともつかない表情で俺を見つめた。
澄んだ熱をたたえた瞳に射抜かれる。きれいだな、と漠然と思った。始めて出逢ったあの日から、彼は変わらずきれいな目をしている。
きれいだな。好きだな。ずっと。
「ハー………あのさぁ、日車って俺のこと好きなん?」
「勿論だ。君は俺の恩人で、誰より何より護りたい大切な人だ。好意が無い訳がない」
「……それってさぁ、俺とこうやってハグしたり、……ちゅーしたり、せ、せ、……セーコウイも出来る感じの好き?」
しどろもどろになりながらも、虎杖が踏み込んでくる。まだ未成年の彼に対して「そういうこと」が自分は可能だと告げるのは躊躇われたが、本人に面と向かって問われた以上は隠すことはしたくなかった。
「そうだな。いつか大人になった君がゆるしてくれるなら。先程も言った通り、今は出来ないし絶対にしない」
「俺が18になるまで待てるの?」
「その質問にイエス以外の答えを返すような人間とは即刻縁を切るべきだな」
「日車はどっち」
「イエス」
「即答じゃん。……ん、じゃあ良いよ、縁切りしないで待たせてあげる」
俺も日車のこと好きだから。ちなみに俺のコレは告白ね、とはにかむように虎杖は笑った。
『みたい』も『ぽい』もつかない、やんちゃで明るくて可愛くて、どこまでも真っ直ぐな目の前の彼が、やっぱりこの世で一番好みだと俺は思った。
以上、彼の同期と兄のトリオに殴り込みをかけられる数時間前の話である。
①縁結の神はマッチョの姿をしている
平和謎時空。性癖問答に巻き込まれる日の話。虎→日の好意が高専メンツには既にバレバレという裏設定があります。
②君が神さま
平和謎時空。日に参拝される虎の話。
③カップルChならいけそうです
平和謎時空。一応同居設定。
酔っ払った日にいらんこと暴露される虎の話。
④きいろいかなしみ
現パロっぽい。ストレスがたまると奇行に走る日の話。
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原作の二人が希望を抱いて終われることを祈るばかりです。