トランプ大統領は、日本に対する相互関税の根拠として、「700%のコメ関税」を筆頭に挙げ、その不公正さを問題視している。江藤農水相は関税700%について、国政の場などで「理解不能」「間違っている」「わざと言っているのか」「全く意味が分からない」「いつの話やねん」と、根拠を示さず一方的に否定し、トランプ大統領を揶揄するような発言を繰り返してきた。
しかし、歴史的な事実を検証すれば、正しいのは明らかにトランプ氏の方であり、江藤氏の発言は国内向けの意図的な隠蔽工作としか言いようがない。
日米交渉が進むなか、交渉相手たる国家元首の発言を虚偽と決めつける印象操作は、国際メディアからも「日本の大臣、トランプ氏を嘲笑」と報じられ、日本の外交的立場を大きく損ねている。
江藤農水相の感情論とトランプ大統領への嘲弄を土台に貿易交渉に臨めばどうなるか。
それは、アメリカ側の主張の正当性を日本側が自ら裏付け、相互関税の根拠を補強するという、交渉として最悪の展開を招く。
そこまでして農水族の江藤氏が必死に守ろうとしているのは、コメ関税の聖域化にほかならない。
その結果として、棄損されるのは日本の国益である。
報復関税が主要産業を直撃すれば、農業保護の枠を超えて、日本経済に深刻な打撃を与え、国民生活に大きな影響を及ぼす危険がある。
なぜトランプ大統領の発言には裏付けがあり、江藤農水相の主張は隠蔽工作なのか。
まず、日本のコメ関税341円/kgは「従量税」である。
従量税は輸入価格に連動せず、重量単位で課税額が固定されるため、安価なコメにも高価なコメにも同額が課される。
このため、関税による保護水準、つまり国産米が輸入からどれだけ守られているかを把握しづらい。
輸出国から見れば、日本市場にどれだけの輸出障壁があるか分かりにくい。
そこで、WTO(世界貿易機関)や学術分析、国際報道では、従量税を「従価税」相当(AD VALOREM EQUIVALENT、AVE)にパーセンテージ換算し、保護水準を測る手法が標準的に用いられる。
これは、従量税の実質的な負担を輸入価格に対する割合で標準化し、貿易交渉や市場アクセスの比較・評価を可能にするためだ。
換算式はシンプルで、「重量税(341円) ÷ 国際価格(kgあたり)」である。
ただし、国際価格はどの年、どの国、どの種類のコメ(短粒種、中粒種、長粒種、破砕米など)を基準にするかで変動し、341円という分子に対し、分母次第で結果に幅が生じる。
農水省はWTO農業交渉で「778%」という従価税換算値を公式に提示している。
これは、341円 ÷ 43.8円(農水省が国際価格を43.8円と評価)に基づく計算だ。
しかし、この値が唯一の正解ではない。
輸出国が異なる国際価格を基に別の換算値を主張し、その妥当性を議論することは、国際交渉で認められている。
アメリカ政府の「700%」の計算式は341円 ÷ 48.7円(アメリカ側は国際価格を48.7円と評価)で、世界の主要米である割安なインディカ米相場50円前後と一致しており、合理的な数値といえる。
つまり、農水省の43.8円とアメリカの48.7円の差はわずか5円。
従価税換算値は778%と700%で、日米の保護水準評価はほぼ一致する。むしろ、アメリカ側の方が保護率を低く見積もっているぐらいだ。
レビット大統領報道官が記者会見で「日本のコメ関税700%」を示したパネルには「700%+」とプラス記号が付されている。
これは農水省が公表する700%以上の数値や、従量税の特性上、換算式で結果が異なる点を踏まえ、正確性を期した表記である。
ここまでの説明で、トランプ氏の主張に根拠があることは明らかだ。
一方、江藤農水相の対応が国益を損なう隠蔽工作と言えるのか。
WTO貿易交渉を振り返れば、日本のコメ関税700%の初出は、USITC(アメリカ国際貿易委員会)がWTOウルグアイラウンド(UR)交渉時に算出し、当時の大統領に報告した数値だ。
日本産とアメリカ産のコメの内外価格差を関税相当額に換え、%化したもので、UR農業協定付属書5に基づく正当な計算である。
当然、日本政府にも提示され、今もアメリカ政府のウェブサイトに公開されている。
さらに、アメリカ側だけでなく、農水省もUSITC提示の2年後、仮にコメを関税化した場合に700%になると試算した。
要するに、両国が同じ結論に至っていた。
この事実は、農水相や農水官僚が知らないはずがない。
にもかかわらず、農水省のコメ関税担当官に確認すると、「それはアメリカが勝手に計算したこと。我々には関係ない」と繰り返すばかりで、埒が明かない。
そこで、「江藤農水相も『理解不能』『計算式や算出基準を説明してもらわないと分析できない』と言っておられるのだから、700%の計算式が載るアメリカ政府のサイトURLを送りましょうか」と提案したところ、
「そんなことを知る必要がない。それを見ることは、相手の術中に嵌ることだ」と奇妙な回答が返ってきた。
交渉で相手の根拠を知ることの何が問題なのか理解不能だが、複数の担当官とのやりとりで、大臣から官僚まで「知らぬ存ぜぬ」の態度をとっていることがわかった。
事実やデータを意図的に無視し、突っぱねて交渉を回避することで、コメ関税の聖域化という農水省の立場を守ろうとする作戦だ。
しかし、「知らぬ存ぜぬ」と突き放すだけでは、相手の主張を黙認することになり、日本が不公平とみなされて報復関税を招くリスクが高まる。
交渉締切が設定される中、時間かせぎ作戦としても有効ではない。
その点を担当官に指摘すると、「我々の関税はキロ当たり従量税341円。それ以上でも以下でもない」とぶっきら棒な回答が返ってきた。
だが、341円/kgが従量税であり、公式関税であることは関係者なら常識だ。
問題は、その従量税を%換算して保護水準を透明化することが国際的な議論の焦点であるにもかかわらず、農水省は「知らぬ存ぜぬ」で切り抜けようとしている点にある。
さらに江藤氏は、「ミニマムアクセス(MA)の輸入米には関税がかかっていない。その枠を超えた輸入量にのみ、キロあたり341円の関税を課している」と、形式的な弁明に終始する。
MAとは、日本がウルグアイラウンド(UR)で関税化を拒否したため、罰則措置として課された最低輸入義務のこと。
江藤氏の説明は、トランプ氏が700%という表現で明らかにした、世界一高いコメ関税の本質から国内世論を逸らす狙いがある。
農水省はマスコミと結託し、トランプ氏を嘘つきと決めつけ、その正当な主張を国民から隠す隠蔽工作を進めている。
例えば、共同通信は「トランプ氏の『700%』は実情とかけ離れている」と報じ、農水相に加勢して問題を矮小化する。
だが、MAのゼロ関税という主張は、明らかに詭弁だ。
MA米の無税輸入後、農水省は最大292円/kgのマークアップを購入事業者に課しており、この額は国際的に"一次関税"とみなされる。
一部スーパーで販売される外国産米が国産米と価格が近いのは、この292円/kgのマークアップが原因だ。ゼロ関税を装いながら、国民に実質的な税負担を強いているといえる。
そのゼロ関税のカラクリはこうだ。
WTOルールではミニマムアクセス輸入米にも関税が認められているが、その収入は財務省に渡り一般財源となるため、農水省が自由に使えない。
そこで、関税をゼロ化、代わりにマークアップを収入源とする戦術で省益を確保してきた。
これは国内外に「日本のコメ関税はゼロ」という詭弁を展開する基盤ともなっている。
一方、MA枠を超える輸入米に適用される341円/kgの従量税は"二次関税"とみなされ、国際的に「輸入禁止的な高額」と長年批判されてきた。
トランプ氏は、この市場閉鎖の構造と関税制度の欺瞞を、「日本のコメ関税は700%、最も厄介で、手強い相手だ」と記者会見で、パネルを掲げて痛烈に批判したわけだ。
江藤氏はまた、「計算式を説明してもらわないと分析できない」と700%について無知を装い、トランプ大統領の主張を虚偽と印象づけようとする。
しかし、農水省自身が提示した778%の計算根拠については、江藤氏は「いつの話やねん」と述べて議論を回避している。
この点を農水省担当官に問うと、「昔、アメリカに求められて778%を出したが、計算メモを紛失した。具体的な説明はできない。それでもトランプ氏の700%は意味不明だ」と無責任な回答が返ってきた。
文書管理のずさんさに加え、自らの数値の根拠を示さず、相手を「意味不明」と切り捨てるのは、説明責任を放棄した自己矛盾そのものである。
それでも江藤氏は「間違っているものは間違っている」と強弁するが、論理も倫理も成り立たない。
仮に間違っているというなら、関税担当官に「アメリカ側の主張を正したのか」と問うと、「我々に内々に伝えず、アメリカが勝手に公表したもので、問い合わせる必要すらない」と高飛車な回答が返ってきた。
その語気・語感から、トランプ氏や報道官に事実を突きつけられ、省の保身意識からくる逆恨みの感情が滲み出てくる。
だからこそ、大臣から官僚まで、国民に対する隠蔽工作に必死なわけだ。
また、このような過去を軽視する態度は、コメ関税をめぐる制度の本質を曖昧にするものにほかならない。
トランプ大統領や報道官から世界に発信された法外なコメ関税とその不公正さに対する指摘には一切目を向けず、それを「過去の話」として片づけることで、本来の議論の焦点を逸らしている。
そもそも、日本のコメ関税341円/kgは、WTOルールに基づき、1986〜88年の内外価格差をもとに、貿易交渉を通じて設定された。
この「過去の基準」こそが、現在に至るまで続く従量税341円/kgの根拠だ。
当時、日本は関税を高く設定するため、品質が異なり需要がほぼないタイ産インディカ米の最安値を基準に選んだ。
これは内外価格差を大きく見せるためで、国産ジャポニカ米との比較により、402円(後に341円に削減)という高関税を導き出した。
それを江藤氏が「いつの話やねん」と一蹴するのは、成立経緯を知りながら無視する態度であり、外交上の不誠実さを露呈している。
トランプ氏からの批判は、この高い従量税の不公平な構造を的確に突いているため、反論できない状況を物語っているともいえる。
江藤氏の「(トランプ大統領は)いかに日本がひどい国であるか強調したいがゆえに、わざと(700%と)言っているのか」という発言に至っては、外交的に極めて無礼だ。
同盟国の国家元首の根拠ある言説を「故意の虚偽」と決めつけるのは、日米関係を著しく損なう。
日本政府はWTOドーハ・ラウンド交渉で、341円/kgを従価税換算すると778%とWTOに通報している。
この歴史的事実は動かしようがなく、農水相の一連の弁明は、この一点だけでも完全に論破される。
アメリカ側の主張に虚偽的な疑義を呈する以前に、問われるべきは、日本側が関税の従価税換算を都合に応じて使い分け、保護水準を恣意的に見せてきた点である。
例えば、農水省はTPP交渉の前段階で、341円の関税を「280%」と換算し、高価な国際価格を分母に用いて保護水準を低く見せようとした。
これは、交渉での関税引き下げ幅を抑えるための、明らかに恣意的な計算である。
当然、交渉相手国にはその意図は見透かされていた。
案の定、大幅な関税削減を要求され、その代替措置として、農水省は「貴国のコメは特別に多く輸入します」と、国家貿易で独占管理するミニマムアクセス枠を拡大した。
その結果、高関税は温存され、国際調達の柔軟性、消費者の負担軽減、日本農業の変革機会も、すべて先送りされた。
関税は本来、段階的な引き下げを前提とした制度であり、恒久的な輸入制限が目的ではない。
だが、日本の極めて高いコメ関税は30年近く維持され、制度の趣旨から逸脱している。
その結果、ミニマムアクセス枠が拡大し、高米価と税支出で国民負担が常態化。
累計7,000億円の血税が飼料や援助に回り、国民の食卓に届くことはほぼない。
これは、貿易が国民の生活水準向上を目指す国際的理念に反している。
かつて農水相を務めた石破首相は、コメ関税制度の硬直性に対し、見直しの必要性を示していた。
「778%が唯一絶対ではない」「生産コストを下げれば、関税を下げても国内農業が打撃を受けない水準はある」と述べたことがある。
その極端な高保護水準をわかりやすく示すため、従量税341円を従価税換算した778%という数値を用いて説明していた。
同時に、関税の見直しは外圧によるものだけでなく、国内においても自主的に再評価されるべきだという制度的理解も持ち合わせている。
つまり、石破首相は、トランプ大統領の「700%」発言の意味と妥当性を十分に理解しているのだ。
であればこそ、石破首相はアメリカとの交渉、国益、農業対策の三方を見据えた、現実的かつ冷静な対応の出発点に立てる。
一方、現在の江藤農水相は、コメを聖域化し、農水省の省益や農水族の権益擁護に固執。
国民の利益やアメリカの批判を無視し、「あのトランプ大統領に強硬姿勢を示した」といわんばかりで農水族内で株をあげ、自己満足に浸るばかりだ。
その結果、国家元首を侮辱し、報復関税のリスクを招く軽率さは、「失言」では済まされない。
コメの高関税とその問題を熟知する石破首相は、江藤農水相を直ちに更迭し、国益を重視する大臣を任命すべきである。
農水族の利益のために国民の利益を犠牲にするのは、亡国の道である。
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