クリントン元米大統領はロシアの侵攻を12年前から知っていた! プーチン氏の意図を見誤った米国「リベラリズム」の罪
「政策の失敗」認めない
日本では、戦争の理由を「悪いのはプーチン」の一言で片付ける人々が圧倒的に多い。だが、彼に侵攻を許してしまったのは、当時の米国とNATOが進めた安全保障政策の失敗である。「戦争を起こさせない」ことが安保政策の目的なのに、起きてしまったからだ。だが、プーチン悪者論者は「政策の失敗」を認めたくないのだ。
自分たちの正義を絶対視して、それに挑戦する相手を敵視する。たとえ戦争になっても仕方がない。これこそが「リベラリズム」という危険思想の核心である。
クリントン氏は講演に先立つ1カ月前には、アイルランド紙のインタビューに答えて、「私はウクライナに核を放棄させた。それには個人的な責任がある」と後悔している。一方、米誌に寄稿した昨年4月の論文では「プーチンが2度も侵攻したのは、NATOのせいではない。ウクライナの民主化が彼の独裁権力を脅かしたからだ」と自己弁護に終始していた。
ウクライナの人々が「核の放棄は残念だ」「侵攻は本人から聞いていたので知っていた」などと聞かされたら、怒り狂うだろう。それでも、米国の支援を受けている彼らはいま、文句も言えない。
リベラリズムとクリントン政権の罪は深い。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。