道産子大物投資家に聞く 北海道にGXマネーを呼び込むには<疑問ここが知りたい>

 北海道・札幌が6月、国の「GX金融・資産運用特区」になりました。豊かな再生可能エネルギーを生かして国内外から巨額の投資を呼び込む構想に期待が膨らむものの「目指す姿を具体的にイメージしにくい」との声も多く聞きます。そもそも再エネは魅力的な投資対象なのでしょうか。再エネ分野を含め2兆円もの資金を運用する投資顧問会社、スパークス・グループ(東京)の阿部修平社長(70)=札幌市出身=に聞きました。(聞き手・権藤泉)

スパークス・グループの阿部修平社長(村本典之撮影)

 あべ・しゅうへい 1978年上智大卒。米国で経営学修士(MBA)取得後、81年野村総合研究所入社。野村グループの米国証券会社を経てニューヨークで独立。世界的投資家ジョージ・ソロス氏のファンドの日本株運用なども手がけた。89年に帰国し、スパークス投資顧問(現スパークス・グループ)を創業した。
 ――再エネ分野への投資状況を教えてください。
 「運用する2兆円のうち、2800億円を再エネに投資しています。太陽光や風力など全国で約350カ所の発電所を運営し、再エネ発電量は国内4位。電気を売ったお金を投資家に還元しています。再エネ投資のきっかけは2011年の福島第1原発事故。エネルギー政策の転換で、翌12年から再エネの固定価格買い取り制度(FIT)が始まりました。全国に発電所を作れば売電収入を投資家に還元でき、地方での雇用創出にもつながると考え、参入したのです。再エネ普及のため東京都がつくった官民ファンドの運用では、道内を含め全国12カ所の発電所に投資し、平均で年10%の利回りを実現。都や投資家の出資金を5年間で約1.6倍にして償還しました」...
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