【拡散希望】メディアの皆さんの参考に、今回の名誉棄損裁判のあらましを解説します。
石丸氏が安芸高田市長に就任した翌月の2020年9月30日、非公開で行われた意見交換会で、石丸氏は少し前に武岡議員のいねむりをいきなりツイートしたことを議員たちからたしなめられました。そこで石丸氏はSNSで政敵を攻撃して選挙で落とすのは自分の政治活動だと言い放ったため、山根議員は「市長が議会を牛耳ることになってしまいますが、そんなことまでするおつもりですか」と発言しました。石丸氏はこれに対して、政治とはそういうものであり、石丸が許せないというなら山根議員もビラでも撒いたらよいと反論しました。
翌日、石丸氏がツイッターに投稿したのが「議会を敵に回すと政策に反対すると恫喝された」というものでした。折しも市議選の約1ヶ月半前のことでした。
この時点では誰が恫喝したのかは明かされませんでしたが、10月20日、メディアを入れた全員協議会の場で石丸氏は恫喝問題を取り上げて「あの場で私にご忠告くださった山根議員に真意を説明していただきたい」といきなり名指しで釈明を求めました。寝耳に水の山根議員は記憶を頼りに9月30日の会議での自分の発言を説明した上で「アドバイスをした」「言葉足らずで誤解を生んだように思う」と結びました。
石丸氏は山根議員が石丸氏の面子を潰さないように語ったこの台詞を根拠に「山根議員は発言自体を認めた」とツイッターに連投を始めます。それは市議選の直前にも行われました(山根議員は票を落としましたが当選)。問題の9月30日の意見交換会は録音されておらず議事録もとられていなかったため、15人の議員と市職員の誰も「議会を敵に回すと政策に反対する」という台詞を聞いた者がいなかったとはいえ、第三者には本当にそんな発言があったのかは判断のしようがありませんでした。
石丸氏はなおも山根議員を責め続けましたが、あるとき、武岡議員が9月30日の意見交換会の音声記録を山根議員にメールで送りました。石丸氏に異常なものを感じていた武岡議員が密かに録音していたのです。いねむりで石丸氏に執拗に攻撃されていた武岡議員は、どんなとばっちりを食うかわからないために、音声記録を持っていることをすぐには言い出せなかったのですが、広島ホームテレビを筆頭とするテレビ局にまで恫喝を疑われる報道をされ(この件で山根議員に取材に来たのは中国新聞ただ一社だったと山根議員は後に語っています。ほとんどのメディアが本人に話も聞かずに疑惑だけを報道していました)、SNSでバッシングされている山根議員の窮状を見かねての行動でした。 これらのくだりは裁判資料に載っていますが、私は武岡夫妻への誹謗中傷を誘発することを考慮してこれまで強調していませんでしたが、残念ながら武岡夫人が今年1月に自死され、もはや誹謗中傷されることさえなくなったという痛ましい結末を迎えたため、敬意と共にここに記します。
山根議員はこの音声記録と反訳文を翌年3月29日に会見を開いてメディアに公開し、自身の公式HPにも掲載し、4月1日には石丸氏の弁護士に音声記録が入ったデータCDを送付して発言の訂正と謝罪を求めました。しかし石丸氏側が「証拠にならない」とこれに応じなかったため、山根議員はやむなく名誉棄損と選挙妨害で広島地裁に提訴するに至りました。
裁判で石丸氏は、市長の公務としての行為だっため石丸個人に責任はなく安芸高田市の責任だと主張しました。公務員が公務として行った行為についての責任は自治体が負うことが国賠法によって定められているため、裁判所は石丸氏の主張を認め、安芸高田市が被告となりました。
また、石丸氏は「敵に回すと政策に反対する」というのは間接的にそのような意味に受け取ったのか、文字通りこのフレーズを言われたのかを問われて、後者だと答えました。これによって、石丸氏は「そう感じたから投稿した」という言い訳ができなくなりました。
さらに石丸氏は、山根議員が自ら恫喝を認めたと主張しましたが一蹴されました。
また「議会を敵に回すと政策に反対する」が音声記録に入っていないのは、会議の冒頭の録音が始まる前の時間帯だったからだと主張しました。石丸氏が本人尋問でこう主張したのは、恫喝があったとされる会議から3年後のことですが、実は当時のテレビカメラの前で石丸氏は、会議の最後に恫喝されたと語っています。これはあるSNSユーザーが発見したことであり、裁判の証拠としては提出されていません。また、これを撮影して放送した広島ホームテレビのYouTubeの映像は、なぜかある時期から非公開になっています。
石丸氏は発言があった証拠として、その会議でリアルタイムでとったとされるメモを提出しましたが、そのメモによれば、録音されていない最大でも約6分間の時間帯(約30分の会議のうちの約24分が記録されているため)に、山根議員を含めた延べ4人が発言したことになる一方、音声に残っている時間帯のメモは1人分しかないという極めて不自然なことになります。これを指摘されると石丸氏は会議は40~50分あった気がすると主張しましたが、市職員が時刻までメモしているため、それはあり得ません。
2023年12月26日、広島地裁は「発言があったとは認められない」として名誉棄損を認め、安芸高田市に33万円の賠償を命じました。ただし選挙妨害まではその故意性の証拠がなく認められませんでした。そのために、通例に従って裁判費用は9割が山根議員側負担となりました。こういうことを知らずに、費用負担をもって「実質的に石丸氏の勝訴であり山根議員が恫喝した証拠だ」と主張する石丸支持者が今もいます。
判決当日のテレビ取材に対して石丸氏は「石丸伸二個人への請求は棄却されていることがひとつのポイント」と語り、議員が市に損害賠償を求める形になっていることを「面白くないですか?何やってんだっていうね」と揶揄しました。また、自分の信念は司法には干渉されないと語りました。
安芸高田市は広島高裁に控訴しましたが、控訴理由には一審の判断「発言があったとは認められない」への反論は一切なく、石丸氏は山根議員が「敵に回すと政策に反対する」と言ったと断定しておらず意見を求めただけなので名誉棄損にあたらないというものでした。また、山根議員の名誉が毀損されたのは山根議員自身の応答と、報道による責任もあるという途方もないものでした。
ともかく、この時点で安芸高田市は山根議員の「敵に回すと政策に反対する」という発言はなかったことを認めたことになります(一審の判断に反論しなければそういう扱いとなります)が、石丸氏は会見では、山根議員が自ら発言を認めているのに裁判所の判断はおかしいという、控訴理由書と正反対の主張を公に続けました。
2024年7月3日の高裁判決は一審を支持して安芸高田市の控訴が棄却されました。判決では、山根議員の「敵に回すと政策に反対する」という発言が「なかったと認めるのが相当」と、より強く石丸氏の主張が否定されました。この裁判では山根議員が「敵に回すと政策に反対する」と発言が「あった」証拠を石丸氏が出せなければ石丸氏の負けであり、山根議員側には「なかった」証拠を出す必要はありませんでした。そもそも「なかった」ことを証明することは難しいからです。
ところが高裁では、石丸氏のメモにおける発言者の順番が、音声記録と完全に一致していることから、山根議員は、まさに音声に残っている場面でしか発言していなかったと判断されて、そこに「敵に回すと政策に反対する」という発言が録音されていないことによって、発言はなかったと判断されました。
そのメモが本当にリアルタイムでなされたものなのかは分かりませんが、石丸氏は恫喝が「あった」証拠だと思って出したメモが、逆に「なかった」証拠になってしまったのです。このメモがなくて敗訴しただけなら真相は藪の中だと言えたのに、自ら墓穴を掘って虚偽が証明されてしまったのです。
この判決によって安芸高田市は上告を断念しましたが、石丸氏は補助参加人として最高裁に上告し、この度、裁判官5人全員一致で不受理(審理の価値なし)となったわけです。
4月25日の「再生の道」会見で石丸氏はこの敗訴の受け止めを聞かれて「敵に回すと政策に反対する」現状がある地方政治の闇を訴えたかったと語ったのはご存知の通りですが、その目的のために虚偽で議員を貶めて良いことにはなりませんし、そもそも石丸氏が恫喝されたと騒ぎ始めたのは就任の翌月であり、議会との対立も議案の否決も何も起こっていない時期です。
以上、石丸氏がどれほど卑劣で支離滅裂かお分かりいただけたと思いますが、そのあまりにも自信に満ちた口調と不合理な主張、そして経緯の複雑さによって、今日現在も山根議員への誹謗中傷が続いています。そのほとんどがここに記した事実関係に基づかないものです。
メディアの皆様におかれましては、この点をご留意いただき、真実の流布と石丸氏への政治家としての適切な説明責任の追及に役立てていただければと思います。 #石丸伸二 #再生の道 #名誉棄損裁判
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