生成AI推進者はつらいよ
※4月中は無料、来月から有料マガジンに格納されます。
※私が見聞きした話や抽象的な話を統合した私個人の見解で、他の生成AI推進担当者の方の言語化の一助になればと考えています。
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「生成AI推進」というと、どこか未来的で、華やかな響きがある、というかそう思われやすい…。
でも、その実態は「未来的」とは対照的で、合意形成や現場の調整など、極めてウェットで泥臭い話が殆どです。
推進担当者たちの多くは、スコープも権限もあいまいなまま、期待だけを背負わされる。経営者の理解が浅ければ実現不可能な目標を課され、人的リソースも予算もない。失敗したら、「担当者がやってくれなかったから」、うまくいったとしたら、それは担当者の成果ではなく「生成AIはすごい!」に集約される。まぁそれはそうなんですけど…。
それでも、少し先の未来を信じて、今日も誰かが、誰にも気づかれない場所で動いている。
推進者の「詰み構造」
まず、構造の話をしようと思います。
生成AI推進者が抱えやすい課題は、だいたい新規事業立ち上げのアンチパターンと似ていて、決まっている。
スコープ不明瞭と期待過多
「なんでもできる人」と思われながら、実際には人事権も予算権限も持たない。だから「できない」と断ることになるが、そうすると「できるはずなのにやってくれない」になるので恨みを買う。
感謝は可視化されず、批判だけが表面化する
助かった人は静かに業務に戻り、反対する人だけが声を上げる。SNSとかと構造は近くて、いざ発信者がSNSをやめるという時に、大してコメントもしてなかった人たちが「ずっと応援していたので残念です😭」と出てくる感じに近い。
質問風の依頼が爆増する
正直、生成AI関連の質問の7割はChatGPTに聞けば解決し、3割はガイドラインに記載されており、本当に誰かに相談しなければいけないような専門的な質問は殆どない。あとそこまで専門的だと、生成AI推進担当者には回答ができるレベルを超えている。
また、質問の中には、質問ではなく「代わりにやってほしい」という依頼に近いものが多く紛れており、これもややこしい。
日々正解が変わることが担当者への不信感に繋がる
生成AI業界は朝令暮改が当たり前で、昨日の一番だったものが今日オワコンになる可能性がめちゃある。そのため「どのツールが一番良いですか?」と聞かれても、答えられないか、答えたものが明日嘘になっている可能性がある。これは一般的な考えからすると、毎日言ってることが変わる、信用のできない人であるということになる。
あと根本的に、会社全体のパフォーマンスを最大化することを考えると、やる気があるチームに注力した方がレバレッジが効き、やる気のないチームは切り捨てる他ないのだけど、これまた「赤点なら補習があるはず」という他責的な人たちが多いと恨みを買います。
そのため、最近私は、(やる気のない)人間をなんとかするよりAI前提で0から作り直したほうが早い、と考えています。
感情の非対称性と「孤独」
推進をしていると、ある種の孤独に気づく。
本当にありがたいと思ってくれている人ほど、声を上げない。代わりに、不満や不安を持つ人だけが、はっきりと反応してくる。場合によっては誹謗中傷の形を取られることもあるが、もちろん大人はそれをバレないようにやるので、経営層からしたら見えない。
つまり、「助かった」という声は無音で、「不満」は大きな音を立てる。これが、推進者を静かにすり減らしていくんだと思います。
とはいえ、そんなことは正直わかっているので、私は他の人が積極的に推進している場合に、なるべく人前で、大声で、その人を褒めちぎることにしています。
先ほども少し記載しましたが、うまく行けば「生成AI最高!」だし、うまくいかなければ「あなたのせいで面倒になった」というレッテルだけが残るということです。
成果は、2〜3年後に、誰にも気づかれず現れるというのも生成AI推進の難しさだと思います。
成果が出るのは、早くても2〜3年後。
しかもそれは、「問題が起きなかった」「業務がスムーズになった」という形で現れる。
つまり、成功すればするほど、誰にも気づかれないということ。生成AIに関する知識がなければ、そこに何の工夫があったかすらわからないんじゃないかなと。
だから、推進者は評価されづらいという構造的問題を理解し、経営レイヤーがそこを守る他ないと思います。
推進を持続可能にするために
推進者が潰れないために必要なのは、多分以下の事項なんじゃないかと思います。暫定版なので、いい考えがあれば教えてください、取り込みたい。
1. フロントに一人だけ立たせない
「この人に聞けばなんとかなる」という状況は、推進者を孤立させ、批判もチームではなく個人に集中してしまう。はじめから複数人をフロントに立たせ、チームで対応する体制を作るべきだと思います。個人ではなく、チームとして推進することが、推進そのもののレジリエンスを高める。
2. 経営層が「痛みを引き受ける」覚悟を持つ
推進には必ず、痛みや反発が伴います。
その痛みを、現場に押しつけるのではなく、経営者自身が引き受ける覚悟が必要なんじゃないでしょうか。
「推進者を守る」と宣言するだけでは足りない。現場からの反発や軋轢を、トップが真正面から受け止めなければ、推進者は消耗し、やがて立ち上がれなくなる。多分これが、今年の秋〜冬くらいに顕著になって、各所で心が折れた生成AI推進者達が一気に飛び始めるでしょう…。
3. 出口設計をしておく
推進チームが社内に認知され、一定の成果を上げたあと。その後、どうするかを考えておかなければならない。推進活動を通常業務に統合するのか?チームを次のプロジェクトに転用するのか?専任組織に昇格させるのか?
生成AIの推進は、明確にフェーズがいくつかあるように思います。最初はとにかく生成AIの認知を取るで、次の段階は組織的な話が増えてくるので、それに合わせて担当者やチームの形、役割も見直す必要があると思います。
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誰にも気づかれない努力を、誰も褒めない世界で続けるのは、しんどい。でも、それでも頑張れるのは、とにかく生成AIが激アツだからである。ただ、どこかで呆れが上回ると、自分でやったほうが早いなと思い会社を辞めてしまう生成AI推進担当者やが増えると思います。
で、なんとなく予測できる、大企業の次のムーブとして、それらの推進力を外部から取り入れる目的でのM&A。そしてPMIできず、特に何かが変わるわけでもなく、M&A先の人々はロックアップが無ければ辞めていくというところまで見える…見えるぞ………。
もし、この記事を読んで、思い当たる人がいたら、
どうか、自分の中だけでもいい、「推進者を守る文化」を育ててほしい。これは、経営層はもちろん、社員1人1人の感謝の言葉で変わるものもあると思います
to 生成AI推進をしている人達
まー、みんな程々にがんばりましょう!
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購入者のコメント
1個人的に生成AI推進担当者に捧げる歌を置いておきます
https://youtu.be/M2v5tOE9pz0?si=p8bc5_Na-9LVe4cf