技術/産業爆発がもうすぐなら突如として意識/AIとの共存/脆弱な世界仮説の問題系は「プラクティカル」な問になる。
技術・産業の爆発的進展シナリオが、現実味を帯びつつある。超知能の登場からわずか数年から10年程度で、エネルギー消費量や実質世界総生産(GWP)が1000倍以上に増加し、それに伴って本来であれば人類単独では100年〜1000年かかるような技術革新が、短期間で実現してしまうという見通しだ。
中でも「マインドアップロード」は、様々なディープテックの中でも最も難易度が高く、現時点では実現の目処すら立っていないSF的領域にあると考えられているだろう。
しかし、もしこの技術が数年〜10年という短期間で実現する可能性が出てきた場合、「意識の理論」や「意識主体の権利」といった問題を、早急に議論し始める必要がある。必然的に、AI・人間・ポストヒューマンとの共存に関する新たな枠組みの構築も求められることになるだろう。
AGIの実現後も、マインドアップロードはさらに30年先の話だと楽観視していては手遅れになるかもしれない。そうした観点からも、日本においては「集合的予測符号化」「ポスト・シンギュラリティ共生学」「意識の理論」「生命の理論(ALIFE)」「権利の哲学」などの分野を、もはや単なる理論的・長期的な課題ではなく、「現実的・喫緊の課題」として扱うべき時が来ている可能性がある。
その場合一気に日本語圏では比較的強い長期的なAIとの共存社会をテーマにした学際領域は急速に現実的な問題として脚光を浴びるかもしれない。
話はやや逸れるが、AGIを悪用した「脆弱な世界仮説」も、現実の脅威として急速に浮上しつつある。たった一人の人間が「世界を滅ぼしたい」と思ったとき、それが実現してしまう可能性が生じるためだ。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1758-5899.12718
これは、産業や技術の爆発に先立って「知能爆発」が起こる可能性があるという議論の信頼性が高まりつつあることにも関係している。知能爆発とは、固定された計算資源の下でもAIが自己改善を繰り返し、能力が双曲線的に発散する(理論上は有限時間で特異点に至る)という現象である。
このような状況下では、悪用やテロのリスクが飛躍的に高まる。もしラップトップ一台で超知能を開発・推論可能なアーキテクチャが拡散すれば、悪意ある個人やAIによって社会が壊滅する可能性すら否定できない。
中でも特に深刻なのは「バイオセキュリティ」の領域だ。世界中に核酸観測所を設置し、有害なウイルスや細菌の兆候を早期に検知する体制を整え、迅速にワクチンを配備できる枠組みを構築しておく必要がある。
このように、「知能」「技術」「産業」の爆発が迫っていると仮定するなら、これまでSF的とされていた未来社会の問題群(特に超知能やAIとの共存とそのダイナミクス分析、意識の問題や権利の話)が、次々と現実的・実践的な課題として私たちの眼前に立ち現れつつあるのではないかと強く感じているし、いきなり社会から要請される学際領域になるのではないかとも思う。
またより喫緊の課題としてはAGIができるかどうかはさておき社会全体を「レジリエント」にする動きは奨励されるだろう。
特にVitalikのやっているようなサイバー、物理(バイオ)、情報/認知領域にまたがるセキュリティを分散システムの考え方で実装するというd/accはとても良い考え方だと思う。


コメント