「衝撃的な数字だ」。千葉県警察学校の卒業者数が入校者数の3分の2以下という事態に、県警幹部の1人は驚きを隠せなかった。年々、県警の採用試験の倍率は減少し、人材確保が厳しい状況の中、せっかく試験に合格して警察学校に入校しても、多くが辞めてしまう。一方で、別の幹部は「この仕事の特性を考えると『全員どうにか卒業させる方がよかった』とも言えない」と語り、警察官採用の難しさが浮かび上がる。
県警採用試験の合格者は警察学校に入校し、大卒は短期課程(6カ月)、大卒以外は長期課程(10カ月)で実務や法律などを学ぶ。
卒業者数が入学者数と比べて特に少なかったのは昨年4月に入校した長期課程の初任科生。152人が入校し、卒業したのは97人。50人以上が途中で警察学校を去った。短期課程は176人の入校で159人が卒業。一般職員の課程はほとんどが卒業した。
ただ、長期課程の初任科生の卒業者数が入校者数を大きく下回ったのは今回が初めてではない。昨年1月に卒業した初任科第320期生も167人の入校に対し、卒業したのは109人にとどまった。県警の課題の一つになっている。
県警はこうした事態を防ぐため、警察学校に入校した後のギャップをなくそうと、受験を検討している人に向けて警察学校の見学・体験会を開いている。
今の世代に合った住環境の整備も進め、女子寮は個室化された。男子寮も個室化される予定になっている。