横浜DeNAベイスターズの「分析OTK講座」を聞いてきた話

はじめに

・当noteはインターネットカルチャーに汚染された中年が執筆しているため、文中に若者に通じないインターネットスラングが混ざっている場合があります(マテ
・基本スタンスとして色々と否定的立場です。極力中立を目指して執筆していますが、隠しきれていない部分もあると思います。
・口外禁止の誓約書を書かされたわけではないので執筆していますが、注意を受けたら消します。

分析OTK講座とは?

正式名称『分析OTK講座〜データ戦略部部長がベイ​​スターズを分析する〜』
定価2,000円〜2,900円(試合日によって変動)のチケットに特製バインダーと、チーム統括本部データ戦略部(以下「データ班」)の講座を聞くことが出来るイベントの参加抽選権をつけて、5,300〜6,200円(同)で販売するというチケットです。
3300円の上乗せでついて来るのが「参加権」ではなく「参加権を得るための抽選権」です。3日で100枚ずつくらい?販売し、当選枠は3日間合計で50名分中々えげつないチケットです。

で、その狭い狭い門を、何故か私が通過出来てしまいました。
むかし参加した某社の先行体験会では「発売日までの口外禁止」という、「他人に伝えられない先行体験に何の意味があんねん」と突っ込みたくなる同意書を書かされたのですが、今回はそういう物はなく、ホームページのお知らせや当選後に届いたメールにもその旨書かれていないので、書いていいんだろうと思って書いています。
まぁ先に結論を言うと、そこまで隠さなきゃいけない情報はないです。

分析OTK講座

世界最先端のベンチマーク

「野球界に馴染みのなかったデータから野球を発展させよう」という目標を掲げた。MLBの色んな球団を視察し、国際的な動作分析の学会にも参加するなど研究を重ねたが、「データをどう現場に落とし込むか」という点が、どこの球団も悩みの種になっているようだった。

最新テクノロジーの導入・取組紹介

ホークアイについての紹介。ヤクルトスワローズが公式ホームページで今回の講座よりよっぽど詳しく説明している

このホークアイについて「今年からNPB12球場で導入された」と説明がありました。
2023年初頭時点で「今季(=2023年中)全球団導入予定」という報道が過去にあったが、今回2024年6 月開催の講座で「今季(=2024年)全球団導入」と伝えていたのが気になりました。

ちなみに、DeNAは2023年時点でトラックマンデータをマスコミ向けに提供していましたが、2024年からホークアイデータに変わりました。

以上のことから想定すると、冒頭で「最先端ベンチマーク」と言っていたわりに、他球団も使うホークアイの導入が12球団でも一二を争う遅さだったのでは?という疑惑が出てきました。

データ班の取り組み

昨年在籍したバウアーは来日当初打たれることが多かったので、データ班とバウアー、正捕手を務めていた伊藤光らで、日本球界の特徴を伝えつつ議論を重ねた。バウアーは聞くだけではなく質問もしてくれていた。結果日本球界にアジャストして活躍に繋げることが出来た。
「高めのボール滅多打ちにされてたけど、ミーティングの結果低めの投球を意識して日本球界に馴染んで抑えられるようになった」と、ご丁寧に高めに投げて打たれる映像低めで空振りを取る映像を並べていましたが、まぁこれは都合よく編集した結果だな、というのはこれを読みに来たOTK候補生さんたちは推察出来るんじゃないかなと。

編成への関わり

従来の防御率や三振などから運と守備の影響を排除し、NPBの一軍環境で通用する投球の指標「pitching+」を開発。昨年この指標でフォーシームが優秀だった投手は、西武の平良海馬、ソフトバンクのモイネロ、ヤクルトの高橋奎二だったそうな。
また、pitching+とxFIPの数値から、森唯斗、中川颯、堀岡隼人の3選手獲得を提案したとのこと。

AIチームとの連携

※球団公式ホームページでは「『チーム』との連携」の表記でしたが、DeNA本社のAIチームと連携した取り組みに関する説明が行われました。

テレビ中継の映像から「捕手がミットを構えた位置」と「実際に捕球した位置」をAIで自動検出し、選手のコントロール力とコマンド力を分析しているということです。
主審毎のストライクゾーンの分析にも応用出来ているのでは?

まとめ

「まぁ色々あるけど、現場にデータを落とすには結局のところコミュニケーションだよね!」ということでした。

質疑応答

☆ソフトバンク、楽天などIT企業を親会社とする球団がいくつかあるが、それらとの違いはあるか。
→データ班同士球団を超えた深い関わりがあるわけではないので、それらの球団に所属歴のある選手やスタッフからの話をもとにした推測だが、よそと比べて現場とのコミュニケーションは取れていると思う。
今季ソフトバンクから移籍してきた森唯斗投手に前球団の様子を伺ったところ「ソフトバンクでは選手はそこまでデータを使っていなかった」と話していた。森投手は我々が提供した資料を興味深く読んでくれていた。

☆今年は「ボールが飛ばない」と言われているが、データ班的にどう感じているか。
→ホークアイによる打球速度のわりにフェンス前で失速することが多いなと思っているが、原因は分かりません()速い打球の価値が下がってきているなと感じている。

☆コミュニケーションが大事という中で、靏岡コーチら戦術専門のアナリスト出身者を入れたことによる効果は
データを活かすのが得意ではないコーチもいた。戦術の橋渡し役として彼らが入ったのは大事だし、コーチ側も違和感がなかったのではないか。役割分担が明確になって働きやすい仕組みが出来たと思う。デメリットは今のところそんなに無いと思う。

☆データを現場に落とす上での苦労
→入社した2019年頃はまだデータや指標への理解がなかなか得られなかった。我々も取れたデータに対するアウトプットが上手く出来てなかった。現場側のアレルギー反応的なものもあったので、コーチやトレーナーのデータに対するリテラシーを高める必要があった。

☆試合の展開で「何故ここでバントをするんだ」「何故代走を送るんだ」という場面に遭遇する。采配に活かすための課題はあるのか。()
采配は数秒の間に選択しないといけないので難しい。それに際して「この場面ではこの采配がいい」と適切な判断を下せるよう、「こうしたらいいんじゃないか」とデータを提供している。シーズン終了後に采配を可視化し、ここを改善したほうがいいんじゃないかという情報を、靏岡コーチを通して伝え、監督とミーティングをした。
シーズンが始まってからも采配や起用序列についてサポート出来ることがあればデータを提供して話し合う。最終的には相性や感性を総合して判断しているのではないかと思う

☆pitching+について話していたが、打撃や捕手、その他守備に関する新指標はないのか。
→捕手の指標については数年前から取り組んでいる。「右打者の内角低めのスライダーのフレーミングが苦手だよね」という所まで分析してアドバイスしている。

守備は1試合中に打球が殆ど飛んでこないこともあるため、WARに代わる指標が中々なかった。ホークアイの導入、トラッキングデータにより具体的な練習に取り入れようというのがここ数年で始まっている。

参加者の客層

当選枠50名で同行者1名までOK、ということは最大100名入場出来るはずなのですが、関内某所の会場に集まったのは60名前後でした。OTKは友達がいない、Q.E.D.(偏見)
野球×データというジャンルなので男性が殆どですが女性もいました。友達同士と思われる男性2人組や、並んで座った男女組もいらっしゃいました。
中学生未満はイベント会場には居なかったと思いますが、球場の座席ではバインダーを持った小学生も見かけたので、将来有望な子もいるみたいです。

余談

このnoteをだらだらと書いて1ヶ月後、どこかで聞いたような話が記事になっていました。

DeNAは靏岡アナリストをベンチに入れたことで、犠打数が減り平均得点数が増えている、という記事。この「決定権がない」というくだりに、質疑応答の中で出ていた「選択肢の提供」に通ずるものを感じました。

現状

…と、色々書いていたのですが、データを使えない人がオールスター直前からひとりCS気分になり、中継ぎ3連投、ビハインドクローザー起用の解禁、前半戦封印されていた序盤犠打、犠打乱用の解禁感情のままに懲罰抹消など、データ班の意向が采配にほぼ反映されない状態に陥っています。
「コミュニケーションが大切」ということだけど、人の心は数値化出来ないので、4ヶ月で我慢出来なくなるのは予想出来なかったね、というお話しでした。どっとさん。

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コメント

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横浜DeNAベイスターズの「分析OTK講座」を聞いてきた話|戸根怠太郎
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