黄チャートを1周する時間は個人差がありますが、効率的に進めるための目安やラ・サールでの進度を共有します。
ラ・サールでは、黄チャート1冊を一周する目安は1か月です。
というのも、新高1の入学式の直後(4月7日~10日頃)に実施されるテストでは、黄チャート(数I+A)の各1冊全体が出題範囲となっているためです。
そのため、新高1になる春休みの期間中に黄チャート(数I+A)を一通り終わらせておくことが求められています。
なお、黄チャートの進め方については、河野玄斗さんも同様のスケジューリングを提案しており、非常に参考になります。河野さんのYouTubeの切り抜き動画を以下に貼っておきますので、ぜひご覧ください。
河野玄斗さんもYouTube動画で黄チャートの効果について言及しているように、早めに取り組んでおけば後々の学習が格段に楽になります。
ここの点に関しては、ラ・サールの勉強スタイルと河野玄斗さんの学習法が完全に一致していますので参考にしてください。
例えば、河野玄斗さんは黄チャートを「鬼のスケジューリング」として、数Ⅰや数Aをそれぞれ1か月で1冊終わらせるペースを提唱していますが、数Ⅰや数Aを1冊あたり1か月で終わらせるスケジューリングは、まさにラ・サールのペースと同じです。
実際、ラ・サールでは新高1の入学式直後(4月7日~10日頃)に行われるテストの範囲として、黄チャートの数Ⅰおよび数Aの全範囲が宿題として課されます。つまり、黄チャートを1冊あたり1か月で一周するというスケジューリングは、ラ・サールの現実的かつ標準的な学習速度なのです。
このように、先取りして黄チャートを計画的に進めておくことは、大きなアドバンテージになります。ぜひ、河野玄斗さんの勉強法も参考にしながら、自分の学習に取り入れてみてください。
黄チャートを1か月で一周する勉強法【各教科ごとの問題数と目安】
黄チャート(『チャート式 解法と演習数学』)は、基礎から応用まで幅広くカバーされている定番の参考書です。1か月で一周するには、どれくらいのペースで進めればよいのか、各分野ごとに問題数を整理し、1日あたりの目標問題数を算出しました。
数I(数学I)
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例題:157問(基本123問+重要26問+補充8問)
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CHECK & CHECK:53問
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Practice(PR):157問
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Exercise(EX):132問
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Research & Work:23問
▶ 合計:522問 → 約18問/日(522問 ÷ 30日)
数A(数学A)
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例題:138問(基本98問+重要37問+補充3問)
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CHECK & CHECK:35問
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Practice(PR):138問
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Exercise(EX):118問(A問題76問+B問題42問)
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Research & Work:10問
▶ 合計:499問 → 約17問/日
数II(数学II)
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例題:225問(基本172問+重要48問+補充5問)
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CHECK & CHECK:77問
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Practice(PR):225問
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Exercise(EX):186問(A問題103問+B問題83問)
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Research & Work:19問
▶ 合計:732問 → 約25問/日
数B(数学B)
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例題:80問(基本62問+重要18問)
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CHECK & CHECK:24問
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Practice(PR):80問
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Exercise(EX):70問(A問題43問+B問題27問)
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Research & Work:10問
▶ 合計:264問 → 約9問/日
数III(数学III)
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例題:181問(基本123問+重要56問+補充2問)
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CHECK & CHECK:39問
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Practice(PR):181問
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Exercise(EX):148問(A問題70問+B問題78問)
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Research & Work:6問
▶ 合計:555問 → 約19問/日
数C(数学C)
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例題:150問(基本114問+重要34問+補充2問)
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CHECK & CHECK:49問
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Practice(PR):150問
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Exercise(EX):137問(A問題81問+B問題56問)
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Research & Work:14問
▶ 合計:500問 → 約17問/日
黄チャートを1か月で一周するには、1日あたり9問(数学B)〜25問(数学II)を解く必要があります。自分の得意・不得意や進度に応じて、以下のような工夫をすると効率的です。
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得意な分野はPR・EXを中心に進める
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苦手な分野は例題→CHECK & CHECKを丁寧に解く
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時間が限られている場合は例題中心に絞る
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週末にまとめて復習・調整日を入れる
※ラ・サールでは、1日25問程度を暗記するペースで進めています。1問あたりの暗記にかかる時間は人によって異なるため、上記の時間はあくまで目安として参考にしてください。
ラ・サールでは、1冊を1か月で仕上げるペースです。
※ラ・サールでの目安
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中3卒業~高1入学前までに、黄チャート 数Ⅰ+数Aを暗記しておくことを推奨します。(理由:入学式直後のテスト範囲が黄チャート 数Ⅰ+数Aだから)
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高1の間に黄チャート 数Ⅰ+数Aを完璧にするまで繰り返し復習します。
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高1終了~高2直前までに、黄チャート 数Ⅱ+数Bを暗記しておきます。(高1と同様のペースで進めます)
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高2の間に黄チャート 数Ⅱ+数Bを完璧にするまで繰り返し復習します。
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高2終了~高3直前までに、黄チャート 数Ⅲ+数Cを暗記しておきます。(高2と同様のペースで進めます)
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高3の間に黄チャート 数Ⅲ+数Cを完璧にするまで繰り返し復習します。
注意点:
ラ・サールの定期考査・実力考査・週テストでは、与えられた教材(ここでは黄チャート)の全てがそのまま出題範囲となります。
テストの問題も、基本的には黄チャートの例題・PRACTICE・EXERCISESの数字だけを変えたような形式で作られており、しっかりと対策していれば確実に得点できる内容です。(これは、テストの回数が非常に多く、教師側も毎回オリジナル問題を作るのは難しいため、「数字違い問題」を中心とした効率的な出題スタイルが採られているという背景もあります)。
そのため、黄チャートを全ページこなしている生徒は100点や98点といった高得点を当たり前のように取ります。一方で、義務自習の時間中にも全く手をつけていない生徒もおり、そういった生徒は0点、あるいは5点程度の極端に低い点数を取ることも珍しくありません。成績は毎回、最高点・平均点・最低点・校内順位という形で開示され、得点分布は非常に広くなります。平均点は概ね50〜60点前後ですが、生徒ごとの取り組み方次第で結果は大きく分かれます。
さらに特徴的なのは、これらの成績表が、生徒自身が宛名を書いた封筒に入れられ、保護者宛に郵送される*1という点です。
ときに、「息子からの手紙」として保護者のもとに届くこの成績表には、本人の点数だけでなく、最高点・平均点・最低点・校内順位までが明記されており、家庭においても現在の学習状況を明確に把握できるようになっています。ラ・サールでは、このような仕組みを通じて、生徒自身に自律的な学習姿勢を育むことが意図されています。
ラ・サールでは義務自習の時間には、一人で黄チャートを暗記します*2。
もちろん、黄チャートを一冊丸ごと暗記するのは簡単なことではありません。
しかし、実際にそれをやり切って100点を取る生徒も存在します。逆に、何もやらなければ0点や1ケタの点数になるのも現実です。挫けず、地道に取り組み続けてください。
※舎監(寮の監督者)は主に門限や生活指導を担う体育系の教員が兼ねており、英語や数学といった学習指導は行いません。そのため、義務自習時間に何をどう勉強するかは生徒自身の判断と責任に委ねられています。
義務自習って何?
ラ・サールでは、毎晩「義務自習」という時間が設けられています。これは、19:30までに風呂と夕食を済ませ、19:30から22:00までの間、全員が自習室のような環境で勉強するというものです。
この時間帯は、主に「暗記」などのインプット学習に集中します。黄チャートの例題や解法を、まるで英単語を覚えるかのように暗記する生徒も珍しくありません。しかも、多くの生徒は義務自習が終わった後も義務自習室で勉強を続け、消灯となる24:00まで机に向かっています。
この学習習慣は、スマホのアラーム機能を使えば、自宅でも同じリズムを再現できます。
たとえば、毎晩19:30に「ラ・サール 義務自習開始」のアラームをセットしておくだけで、ラ・サールの義務自習と「同じタイミング」で勉強を始められます。スマホをペースメーカーとして活用することで、あなたの生活にもラ・サール式義務自習を取り入れることが可能です。
「何時になったら勉強を始めよう…」と迷うことが減り、リズムが整ってくると、自然と学習の質も上がっていきます。ぜひ、自分なりの「義務自習」をカスタマイズしてみてください。
黄チャートで予習が必要な理由と授業での活用方法
ラ・サールでは、黄チャートでの暗記が終わったら数研出版の教科書と教科書傍用問題集「4STEP」または「メジアン」を授業でやります。黄チャートの後に教科書傍用問題集で解法パターンを演習+増やす
教科書と教科書傍用問題集「4STEP」「メジアン」は略解しかなく、詳しい解き方が記載されていないため、ラ・サールの授業ではこの傍用問題集の問題を一度に5~7人ほど指名し、同時に黒板の前で問題を解かせる形式が取られます。*3*4。そのため、予習として黄チャートで解法をあらかじめ暗記しておく必要があります。
なぜなら、黄チャートで解法暗記をしていないと、黒板の前で何も書けずに立ち尽くすことになり、「こいつ、できない奴だな」と周りに思われてしまいます。そうなると、寮生活の中で軽く見られたり、学校生活の中でも肩身が狭くなったりして、精神的にもきつくなるため、黄チャートで予習は半ば必須なのです。
※同様の形式は数学だけでなく現代文の授業でも見られます。東大型の記述問題を題材に、5~7人を同時に黒板に当てて解答を書かせ、それに対して教師がその場で講評を加えるというスタイルが取られています。
入学前に黄チャートをやる指示があるように、チャートの解法暗記は自分で行う必要があります。
義務自習でも黄チャートの解法暗記は自分で行う必要がありますので、入学までの間に黄チャートを1問でも多く暗記しておきましょう。
また、青チャートでなくて大丈夫かと思われる方もいると思いますが、ラ・サール式では黄チャートを完璧にすることで「典型問題」をつぶし、数学における“基礎力の完成”=最低ラインの突破を狙っています。
そしてそのラインを超えたところから、本格的な演習や応用へと進んでいく、という考え方です。
以前は、黄チャートを中途半端に終えたまま本番に突入する受験生も少なくありませんでした。
しかし最近では、黄チャートでしっかり基礎を固めることの重要性が見直されてきていると感じます。
青チャートと迷っている方は、下記の記事をご覧ください。
青チャートはたしかにレベルの高い問題集です。しかし、「到達レベルが高そうだから」という理由だけで安易に飛びつくのは危険です。
まずおすすめしたいのは、黄チャートのExercise(章末問題)を本屋などで立ち読みしてみる*5こと。
もしそれらがスラスラと解けるようであれば、黄チャートの内容はすでに十分身についているはずです。その場合は、自分に合った難易度の問題集(青チャートでも赤チャートでも)を選ぶとよいと思います。黄チャートのExercisesがスラスラ解けている状態なら、いきなり、「1対1対応の演習」や「教科書傍用問題集」を始めても、十分解法を理解できるレベルに達しています。
一方で、Exerciseに取り組んでみて「ちょっと詰まる」「考え込む」ような感覚があれば、まずは黄チャートをしっかり仕上げることを強くおすすめします。
※ 青チャートを強く推す人を見かけると、少し引っかかることがあります。
もちろん本人は良かれと思って勧めているのかもしれませんが、「数学に時間をかけさせて、他の科目の勉強時間を削らせるような結果になっていないか?」と考えてしまうのです。
受験は、情報戦でもあります。青チャートで消耗している間に、自分は黄チャートでサクサクと解法暗記を進め、他の受験生より一歩リードしていく。
まるでRPGで、敵と無駄な戦闘を繰り返しているライバルを横目に、自分は最短ルートでラスボスに向かっているような感覚です。
黄チャートは、「解法暗記」という観点から見れば、受験数学における“攻略本”のような存在です。
青チャートのように網羅性は高くなくても、必要なアイテム(典型問題とその解法)はしっかり揃っていて、効率よくステータス(学力)を上げられるのです。
受験数学というこの“点取りゲーム”で勝ち抜くためには、どの武器(参考書)を使うかが重要。
そして黄チャートは、「時短で基礎〜標準をマスターし、応用への足場を作る」という点で、非常にコスパ・タイパが良い教材です。
黄チャート後の学習ステップ
学習の流れ
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黄チャート: 解法の暗記(基本)
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週テストの範囲となる教材(義務自習で暗記。授業で解説はしない)
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アフィリエイトリンクは一切使用しておりません。こちらは出版社の教材紹介のURLです。ぜひ、Amazonや街の本屋さんで実際に手に取って、黄チャートのExerciseが解けるかどうかをご確認ください。
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教科書と教科書傍用問題集「4STEP」: 生徒が授業で解いて教師が解説
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1対1対応の演習(東京出版): 解法の暗記(応用)
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週テストの範囲となる教材(義務自習で暗記。授業で解説はしない)
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実戦 重要問題集(数研出版): 高3で使用 ※新課程版は解説が充実しているので義務自習で暗記(定着したかを図るため授業で解かせて解説)
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週テストの範囲となる教材
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新課程数学の構成 入試問題集(数研出版): 高3で使用 ※新課程版は解説が充実しているので義務自習で暗記(定着したかを図るため授業で解かせて解説)
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週テストの範囲となる教材
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新数学演習(東京出版): 週テストの範囲となる教材(授業で解説はしない)
高3での転換
高3では模試が増え、インプットよりもアウトプットが重視されます。それまでに黄チャートなどでしっかり基礎を固めておく必要があります。
焦らず、着実に。河野玄斗さんが「鬼のスケジュール」というように、黄チャートを完璧にするのは挫折することが多く、ラ・サールでも挫折者が多いですが、東大や医学部に合格している生徒はみんな黄チャートを仕上げています。黄チャートを完璧に仕上げれば、必ず数学の学力はラ・サール上位レベルに達します。一歩一歩、着実に積み重ねてくださいね。
参考になりましたら幸いです。
*1:全く同じ成績表が2枚配られると同時に、封筒も配られます。生徒はこの封筒に成績表を入れ、保護者の宛先を書いて教師に返却します。
*2:舎監(寮の監督者)は主に門限や生活指導を担う体育系の教員を兼ねており、英語や数学といった学習指導は行いません。そのため、義務自習時間に何をどう勉強するかは生徒自身の判断と責任に委ねられています。
*3:授業の進度や時間の都合上、すべての問題を扱えない場合は、*印が付された問題を中心に演習が行われます。
*4:同様の形式は数学だけでなく現代文の授業でも見られます。東大型の記述問題を題材に、5~7人を同時に黒板に当てて解答を書かせ、それに対して教師がその場で講評を加えるというスタイルが取られています。
*5:もしも立ち読み防止のためにビニール包装されていて中の問題を確認できない場合は、購入を前提として『黄チャートか青チャートか、どちらかを買う予定なので、数問だけ中身を確認させてほしい』と書店員さんに伝えてみましょう。たいていの場合、快くビニールを外して見せてくれます。もし相手が少し頑固そうなら、このページをスマホで見せて説明するとスムーズかもしれません。遠慮せず、黄チャートのExerciseが自分にとって適切なレベルかどうか、しっかり確認して選びましょう。親切な書店では、黄チャートのExerciseだけを立ち読みできる専用コーナー(黄チャートか青チャートか選ぶための)を設けていることもあるかもしれません。もし私が書店員なら、きっとそうすると思います。