先にゲームを始めておいて、途中でルールを書き換える――。そんな“後出しジャンケン”が、いま長野大学で立て続けに起きている。
1. なぜ今「後出しルール」が問題視されるのか
長野大学では近年、評価や選考の基準を〝事後的に〟改定し、何らかの結果を誘導したと受け取られかねない事例が相次いでいます。
以下にその事例を挙げます。
- 任期制教員の業績評価
- 対象期間(2024年4月1日〜2025年3月31日)が終了した後の2025年4月、大学上層部が突然評価基準を一部改定し、業績評価に深刻な減点項目を追加した。
- 評価結果が確定していない状態(審査自体は始まっていない状態)でルールを差し替えたため、雇止めを含む処遇に恣意性が入り込む余地が生まれた。
- 特定の事項をクリアしていないと、他に評価がどんなに良くても最低評価になってしまう。
- 本サイト内関連リンク(長野大学・任期制教員の業績評価の問題(恣意的な雇止めが疑われる問題)
- 2022年10月の学長選考
- 学長選の候補者として、教職員が推す者と市関係者や理事会が推した者が推薦された。
- 候補者が出そろった後に突然、選考規程を変更し、市関係者や理事会が推した者を学長として選出した。意向投票直前には大学上層部の不正を指摘した教授らが次々と懲戒処分を受けていた――と『週刊現代』(2月28日発売)は報じている。(現代ビジネス3月8日号Web記事への直接リンク)
いずれのケースでも**「途中で基準を変える」→「不利益を被るのは発言力の弱い構成員」**という構図が浮かび上がります。
2. 任期制教員の業績評価の問題(雇止めの心配)
2024年度の業績評価の審査の基準が、2025年4月の評価の直前に変更されました。特に1つの項目が達成できないだけで、最低評価になる運用は問題です。
不遡及の原則(ルールは原則として過去にさかのぼって適用しない)は法律だけでなく、社内規程や大学の評価にも“信義則”として求められる。対象期間終了後に基準を差し替えれば、**「結果ありきの評価」**と批判されても仕方がない。
3. 学長選考“出来レース”疑惑
「不都合な声を封じ、“推し”を学長にという疑い」――こうした印象を払拭できるだけの説明責任を大学側は果たしていません。
4. ガバナンスリスクと社会的影響
- 学内の萎縮効果
批判的な意見を示す教員ほど処遇リスクが高まる構造が続けば、研究・教育の多様性が損なわれる。 - 公立大学としての信頼失墜
長野大学は上田市を設置者として税金も投入されている。ガバナンス不全は自治体・納税者への背信行為に直結。 - 学生への波及
“声を上げれば不利益”という大学の風土は、教職員への影響だけでなく、学生の主体的学びをも阻害する。
5. いま求められる透明化
- 規程改定プロセスの公開
誰が・いつ・どのような議論を経て変更を決めたのかを詳細に開示。 - 第三者を含む検証委員会の設置
疑惑を自己調査で済ませれば「身内擁護」と受け取られる。 - 不利益処分を受けた教員への救済措置
ルールが不当に適用された疑いがあれば速やかに是正。 - 外部監査・アカウンタビリティの強化
市議会や文部科学省など出資・所管団体による定期チェックが不可欠。
結論
長野大学で繰り返される“後出しルール”は、単なる内部手続きの問題ではなく、大学自治と公的組織としての信頼を揺るがす重大事です。いま必要なのは、
「どのルールで、誰が、どのように決めたのか」
を徹底的に可視化し、声を上げた教職員や学生を守る仕組みを構築することだろう。
透明性こそが、長野大学が学問の自由と地域社会の信頼を取り戻す唯一の道です。