知らなかったじゃ済まされない!税理士が解説する「ステルス増税」の実態と対抗策
昨今の物価上昇に加えて、令和7年(2025年)度も税金や社会保険料の値上げが予定されている。 そこで、登録者数100万人超のYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』を運営する税理士の菅原 由一氏は、20歳以上80歳未満の男女全国900人を対象に「近年の多くの人に認識されにくい増税(ステルス増税)の認知度」についての意識調査を実施した。
増税に関する認知度調査「高額療養費制度の負担上限引上げ検討」が最多、次いで「106万円の壁撤廃」一方、「何も知らない」3割超も
20歳以上80歳未満の男女に「近年の増税で認識しているものは何か?」と尋ねたところ、4割超(44.7%)が「高額療養費制度負担上限額引上げの見直し検討」(44.7%)と答え最多となった。 次いで「2026年10月から『106万円の壁』撤廃」(29.6%)、「退職金税制の見直し検討」(23.7%)、「2024年度から65歳以上の介護保険料増額」(21.8%)、「2024年度から後期高齢者医療保険料増額」(19.8%)が続く。 高額療養費制度負担上限額引上げは、最近ニュース等で多く取り上げられていたため、比較的認知度が高い結果になったと考えられる。一方、「知っているものはない」と答えた人は3割超(32.6%)もいた。 調査概要 調査期間:2025年3月18日 調査手法:インターネット調査 調査対象:20歳以上80歳未満の男女全国 サンプル数:900人(10歳刻みに各150人) 調査機関:Freeasy ※「脱・税理士スガワラくん 調べ」
税理士・菅原由一が解説!ステルス増税で負担増。手取りがどんどん減少するわけとその対抗策
昨年、住民税が1,000円上がったことをご存じでしょうか?このように、気づかない程少額の増税や社会保険料の増額、「○○支援金」などのように「税」という字が入っていないために税金とは気づきにくい増税が存在し、それによって国民の負担が増加しています。 このように、多くの人が認識していない増税は、通称「ステルス増税」と呼ばれています。 国民民主党が、年収の壁を引き上げて非課税枠を増やし、「手取りを増やす」と言っていますが、他で徴収される部分が増えているため、手取りは増えません。手取りの減少を年収の壁を引き上げることで、若干戻している程度です。そのため、全体の流れを見ると手取りは減少していることが明らかです。 そこで、今回は「近年のステルス増税とその対抗策」について解説します。 ■2024年の増税一覧 ・住民税 住民税に森林環境税が年額1,000円課税されたため、住民税が一律1,000円増税。 ・相続税 生前贈与の相続税への加算対象期間が3年以内から7年以内に延長。 ・介護保険料 65歳以上の介護保険料が月額200円(年間2,400円)増額。 ・後期高齢者医療保険料 75歳以上が対象の後期高齢者医療保険料が月額約500円程度増額。 ■2026年以降の増税一覧 ・子ども・子育て支援金(通称「独身税」) 税金とも社会保険料とも言わず、「子ども・子育て支援金」という名目で、社会保険料に月額1,000円(※1)程度上乗せ。(※1)年収に応じて変動。 ・たばこ税 2026年4月から加熱式を1箱数十円程度引き上げ、さらに加熱式・紙巻きともに段階的に1箱30円程度引き上げ。 ・復興特別所得税 復興支援のため、所得税額に2.1%上乗せされている「復興特別所得税」の課税期間が2037年まで延長。延長にあわせて「復興特別所得税」は1%引き下げられる。同時に、所得税額に1%を上乗せする防衛費用「防衛特別所得税(仮称)」を新たに導入。 ■増額検討一覧 ・高額療養費制度 高齢化や高額医療費の支給増により医療保険料の財政が悪化したため、2025年8月から患者の負担上限額の引き上げを予定していたが、反対の声により見送り。 ・走行距離税 電気自動車の普及によってガソリン税の税収減が懸念されているため、車の走行距離に応じて税金が課税される「走行距離税」も検討。 ・通勤手当 現在、月最大15万円までは非課税の通勤手当も課税にするか検討。 ・退職金税制 退職金に対する所得税は現在、退職金支給額から退職所得控除額を引いた額の2分の1に対して所得税を課す仕組みだが、勤続20年を超えると退職所得控除額が大きくなるため、政府・与党が制度の見直しを検討。 ・社会保険料 2026年10月から「106万円の壁」が撤廃され、週20時間以上働く人も社会保険加入の対象となる。さらに、第3号被保険者(厚生年金に加入している人の扶養となっている配偶者)にも社会保険料を課税しようとする方針あり。 増税ラッシュが続いており、税制改正は常に増税に繋がる傾向があります。ステルス増税の悪いところは、税金ではない名目で税金を引き上げてくることです。 政府は、今回の年収の壁についても「手取りが増える」と言っていますが、社会保険料のことは言及していません。 「~料」「~支援金」などではなく、すべて「~税」という表記にしてくれれば、増税なのか減税なのかわかりやすくなります。