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Conversation

今年のドバイワールドカップに出走した私の管理馬、フォーエバーヤングの待機馬房および検体所での件について、このような形で正式文書を送らせていただく目的は2つあります。①ERAの見解をお聞きすること、そして②再発防止のために建設的な意見交換をしていきたいからです。 まず、競馬当日、フォーエバーヤングの待機馬房から検体、装鞍所での一連の出来事に対して、私が把握している内容を記述します。時間軸については、都度、待機馬房にいた助手とLINE連絡を取っていたので必要であればそちらの証拠も提示します。 助手の話によると、尿の検体を採取するために35-40分もの間、フォーエバーヤングは暗室に入れられていました。最初は尿をする気配がなかったので、ERAの採尿担当者から馬を保定するよう指示がありました。その後、別のERAの担当者から、保定してるから尿をしないんだ、と整合性のない指示を出され私のスタッフ2人は混乱しました。その際、ERA担当者からは渋田氏は検体所の中にいるべきではない、英語の指示が通じないから入ってしまっていると言われました。しかし、それは事実とは異なり、最初に渋田氏に馬と一緒に入るように指示があり、ERA担当者からは口頭、または何かしらのボディランゲージで退出するような意図は見受けられませんでした。いずれにせよ、矛盾したERA担当者の指示により現場は混乱を生じていて、悪意がなかったとしても私のスタッフに対して彼らの指示は明確に伝わっていませんでした。 その後、結局尿は採取できずフォーエバーヤングは待機馬房に戻されたが、装鞍所にいくための準備時間はほとんどなく、馬も入れ込んでしまったため焦りや馬具装着においてレースでの馬装具においてミスが起こりうる状況であったことはご想像いただけるかと思います。 馬の手入れもせずに、渋田氏は頭絡だけをつけてすぐに装鞍所にいくようにと指示をされたとのこと。馬は装鞍所に着いた頃にはテンションも上がっていて、担当厩務員の渋田氏は検体所での一連の出来事から、英語が話せないこともあってパニック状態に陥ってしまっていました。渋田氏は装鞍ができるような精神状態ではなく、私を含め4人がかりで馬をおさえつけてようやく鞍をつけることができました。容易に想像はできるかと思いますが、装鞍所を出るころには当馬には相当な負荷、体力の消耗が見られました。 レース前に出走馬から尿を採取すること自体、非常に困難であることはどの国の競馬主催者も理解はされていると思います。ただし、調教師としてはそれが主催者のルールであれば従わざるを得ないことも重々承知しています。しかしながら、レース前(しかも貴会の最大の目玉レースであるDWCの一番人気馬)に約40分もの間、暗室に馬を閉じこめておくことはERAの施行規定には明記されているのでしょうか。また、その正当性はどこにあるのでしょうか。非常識に長い時間であること、そして、今回のケースで言うと、結果的に尿が採取されず、追加の血液の採取要求もなく、つまり貴会が求める公正確保を掲げる上で必要とされている情報を得ることはなかった…では、一体誰のための、何のための40分だったのか、と思わざるをえない。そして、その全ての負担は、競走資源であるフォーエバーヤングにかかってしまい、彼が最大の犠牲者になってしまったことを残念に思うと同時に、彼の管理責任者である私としては一連のオペレーションに対して非常に強い疑念を抱くとともに誠に遺憾であります。 今回、私が強く抗議、説明要求をしたい理由はもう一つあります。それは、ドバイワールドカップはJRAが発売する海外馬券対象レースであり、年間を通しても最大の目玉レースの一つでもあるからです。そのレースに圧倒的な一番人気におされていた当馬の管理責任者として、私には馬券の側面から競馬を支えてくれているファン、メディアに対しての説明責任があります。それは日本だけではなく、世界中の競馬ファンに対してです。そのためにも今回の件については誤解のないよう、貴会の見解をお聞きした上で、起きてしまったことに対する謝罪を求めます。