「カフェ・ベローチェ」のC-United、初のFC展開 まず70店
カフェチェーンを展開するC-United(シーユナイテッド、東京・港)は14日、主力のカフェ「カフェ・ベローチェ」で初めてフランチャイズチェーン(FC)店の展開を始めると発表した。出店攻勢を強めて2028年3月期までに70〜80店の新規出店を目指す。
ベローチェはこれまで約160店を直営で展開している。FC加盟店の募集を3月から始める。ベローチェのFCをてこに、傘下に抱える喫茶店チェーン「珈琲館」、カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」と合わせた3業態全体でのFC比率を32%から40%程度まで引き上げる計画だ。
14日、報道機関向けの発表会でシーユナイテッドの友成勇樹社長は「地域に根付いた加盟店は直営よりもメリットがある」とベローチェのFC展開に踏み切る理由を述べた。
出店の立地や形態も見直す。FCは中型店を中心とする予定で出店する立地の選択肢を広げる。これまでは駅から少し離れた「1.5等地」などを中心としていたのを、一等地の駅前や商業立地、住宅街に拡大する。九州地方は福岡県のみの出店だったのを他県に広げたり、未進出の北海道や四国といった地方にもFCで広げる。
傘下に持つ最大のコーヒーチェーンの珈琲館については、インドなどを念頭に海外展開の検討に入った。日本式の喫茶店は海外での関心が高まっている。具体的な戦略は未定だが、インド西部のムンバイや南部のベンガルールといった地域で市場調査を始めた。友成社長は「新興都市に出店しやすい。(インドは)市場が大きい」とみる。出店の開始時期は27年3月期以降を想定する。
海外進出にあたって、まず3月に京都でインバウンド(訪日外国人)客に照準を合わせた新型店を開く。京都の喫茶店文化を調査し、訪日客や地元客向けに喫茶店の雰囲気がよく体験できるような店内設計とした。サイホンでコーヒーを抽出する様子を顧客が目の前で見られるカウンター席も用意する。
シーユナイテッドは日本の投資ファンドのロングリーチグループの完全子会社だ。ロングリーチは外食やサービスなどに出資して規模を拡大してきた経緯がある。
ロングリーチは18年に珈琲館の運営会社をUCCグループから買収した。20年にベローチェの運営会社のシャノアールも買収。21年に両社を統合してシーユナイテッドとして発足した。シーユナイテッドは22年4月にはカフェ・ド・クリエを展開するポッカクリエイト(東京・千代田)をサッポログループ食品から買収し傘下に加えた。
友成社長は14日の発表会で自社の新規株式公開(IPO)について「当面考えていない」と明らかにした。
シーユナイテッドは年50〜60ペースでの出店を想定し、30年までに1000店規模に拡大することを視野に入れる。国内カフェチェーンはスターバックスコーヒーを筆頭に、国内外勢やコンビニエンスストアの入れたてコーヒーなどが入り乱れており競争が激化している。シーユナイテッドはベローチェのFC展開など各業態で節目となる戦略を定めて勝負に出る。
(中島芙美佳)