21日に死去したローマ教皇フランシスコは、同性愛者個人に対して寛容な姿勢を見せる一方で、性自認を重視するジェンダーイデオロギーの押し付けを激しく批判。発展途上国への教育支援によって世界に広がっているとして、「最も危険なイデオロギー的植民地化の一つだ」と表現していた。
カトリック通信によると、教皇は2016年、ポーランドの司教たちとの会話の中で、教科書を読んで女の子になりたがった幼い息子を持つ父親との出会いを紹介。「今日、学校では子供たちに自分の性別を選べると教えている。なぜなら、教科書はお金を与えてくれる人々や機関によって提供されているからだ」と述べた。
23年のハンガリー訪問の際には「ジェンダーイデオロギーのように性差を否定したり、中絶の権利を進歩だと誇示したりする概念を押し付けるのは、『イデオロギー的植民地化』がたどる有害な道だ」と非難した。
聖書は「創世記」で「神は御自分にかたどって人を創造された。 神にかたどって創造された。 男と女に創造された」とするなど、男性と女性の尊さを強調している。
教皇は昨年9月、ベルギーのルーバン・カトリック大学で講演した際に、女性の崇高さを強調した上で、「女性こそが救済の歴史の中心だ。聖母マリアが(受胎告知に)『はい』と言ったから、神がこの世に来られたのだ。女性には豊かな包容力、気遣い、生き生きとした献身がある。男性より重要だ。女性が男性になりたがるのは悪いことだ」と述べた。
教皇は性差を尊重した上で、教皇庁(バチカン)の「省」のトップに初めて女性を任命。教義に関する重要な問題を議論する世界代表司教会議(シノドス)で女性の投票権を初めて認めるなど、教会での女性進出を拡大した。(渡辺浩)
ローマ教皇「女性が男性になりたがるのは悪いこと」 性差を尊重「救済の歴史の中心」