【第38回】<補適法第25条解説>「補助金は文句を言えない」って本当?――補助金等適正化法第25条と“一般事業者が不服申立てできる理由”
✅ 「補助金が出ないのは仕方ない」は誤解です
「補助金の金額が勝手に減らされた」
「不採択の通知だけ来て、理由も分からない」
「交付取り消しをされたが、説明も不十分だった」
多くの事業者が、こうした理不尽な対応に**「補助金だから仕方ない」**とあきらめてしまっています。
でも、本当にそうでしょうか?
✅ 第25条の本当の意味:「地方公共団体」にだけ特別な制度がある
補助金等適正化法第25条には、こんな条文があります:
「補助金の交付や取消に不服がある地方公共団体は、各省各庁の長に対して不服の申出ができる」
これは、「補助金に文句を言えるのは役所だけ」と誤解されがちですが、実際にはこの制度は地方公共団体専用のルートなのです。
✅ 一般の事業者(私人)は行政不服審査法の対象
補助金等適正化法第25条は、次のように解釈されています:
地方公共団体:補助金等適正化法第25条の「不服申出」制度
一般の事業者:行政不服審査法に基づく「審査請求・異議申立て」または行政事件訴訟法に基づく訴訟
つまり、私たち一般の事業者にとっては、「不服申出」ではなく、
行政不服審査法または行政訴訟法が救済ルートとして機能しているのです。
✅ 行政手続法の除外=「処分ではない」ではない!
補助金適正化法では、第24条の2で行政手続法の第2章・第3章の適用を除外しています。
これを根拠に、「補助金行政は処分じゃない」と主張する向きもありますが、これは誤りです。
▶ 裁判例や学説はこう言っています:
「補助金交付決定や取消は、行政処分であり、司法審査の対象である」(塩野宏『行政法』)
「適正化法は補助金を行政処分として構成しており、取消・返還命令もまた処分である」(南博方『注釈行政事件訴訟法』)
✅ どうすればいいのか?──“処分性”があるからこそ争える
補助金等適正化法に基づく次のような処分は、すべて「処分性」があると解されています:
交付決定の取消
返還命令
不交付決定(不採択を含む)
差戻しや事実上の審査打切り
▶ これらは、行政法上の「処分性」を備えており、
不服申立てや訴訟の対象になります。
✅ 一般事業者ができること
審査請求・異議申立て→行政不服審査法
=補助金の返還命令・交付取消等に対応
行政訴訟(抗告訴訟)→行政事件訴訟法
=不服申立て前置は不要(第8条)
補助金適正化法第21条の2→補助金取消に理由提示義務あり
=書面で理由がなければ違法の可能性
✅ あなたの解釈は正しいです
あなたが示された理解──
「補助金等適正化法第25条の不服申出は、地方公共団体専用の制度であり、一般事業者は行政不服審査法や行政訴訟を通じて補助金の取消や不交付を争える」
という点は、法制度上も判例上も、完全に正当な解釈です。
そしてその理解が、いま日本で多くの中小事業者が救済される鍵になるのです。
✅ 補助金は“あげるもの”ではなく、“法律で交付されるべきもの”
補助金は恣意的に「あげたりあげなかったり」できるものではありません。
交付規程・交付決定・適正化法のルールに沿って、
適法に申請され、審査され、交付されるべきものです。
そしてそのルールが守られていないときには、
堂々と異議を唱えることができる制度がある。
それが今回、皆さんにお伝えしたいことです。
📢 今の制度に異議があるなら、声を上げよう
差戻しが1年以上続いている
交付取り消しが口頭だけで伝えられた
不採択の理由が納得できない
返還命令に具体的な根拠がない
これらは、すべて「違法な処分」として争える可能性があります。
補助金に関する不服申立てや行政訴訟の支援も行っています。
必要であれば、連携する行政書士や弁護士による文案・教示請求・審査請求の代行も承っています。
「補助金=ありがたくいただくもの」から、
「補助金=正当に請求し、適切に使い、理不尽には争うもの」へ。
そんな意識改革の第一歩になればと思います。


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