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【第37回】<補適法第24条の2解説>「補助金の処分は行政手続法の適用外」は本当か?

――補助金等適正化法第24条の2と処分性のリアル


✅ 補助金は“行政処分”なのに、なぜ行政手続法が適用されないのか?

補助金交付の申請が却下されたり、
補助金の返還命令や交付取消があった場合でも、
「行政手続法は適用されません」とされるケースがあります。

一見すると、「処分ではないのでは?」「文句は言えないのでは?」と感じてしまうかもしれません。

ですが、それは大きな誤解です。


✅ 第24条の2:行政手続法の第2章・第3章は「適用しない」

補助金等適正化法第24条の2には、次のように明記されています。

補助金等の交付に関する処分については、行政手続法第2章(申請に対する処分)および第3章(不利益処分)の規定は適用しない。

この「適用除外」の文言は、一部の行政実務において、
「補助金の取消しは処分じゃない」といった誤解を生んでいます。

しかし、それは本来の法の趣旨からすれば明確に誤りです。


✅ なぜ除外したのか?行政の言い分と制度の背景

行政手続法が補助金に適用されなかった背景には、以下のような事情があります。

① かつて補助金と言えば地方公共団体への補助が主だった
→行政内部の手続とみなされたため(行政手続法第4条参照)
② 補助金制度には独自のルールがあった
→既に補助金等適正化法で「手続」が整備されていたとされた
③ 年間数万件の補助金申請への対応が煩雑になる
→一律に事前手続を求めると行政負担が過大になるという建前

つまり、「補助金行政は独自の手続体系があるから行政手続法は要らない」というのが、政府の立場だったわけです。


✅ では、補助金の取消や返還命令は“処分”ではないのか?

→ いいえ。それでも処分です。

次回開設する補助金等適正化法第25条では、次のように書かれています。

補助金等の交付の決定、補助金等の交付の決定の取消、補助金等の返還の命令その他補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分に対して不服のある地方公共団体は、政令で定めるところにより、各省各庁の長に対して不服を申し出ることができる。

つまり、行政手続法の適用は除外しても、
補助金取消などは「行政処分」として抗告訴訟の対象になることは変わりません。

また、この条文でよくある誤解が「地方公共団体」のみ処分にあたり、不服申し立ては個人や法人にはないのでは?と言われることがありますが誤りです。

国民が不服申し立てをする場合には「行政不服審査」という制度が設けられている一方で、地方公共団体が申し出る場合は同審査は活用できないので、これらが不服あるときは各省各庁に申し出るようにしているだけです。

これが、私たちが訴訟で争っている「処分性」の論点でもあります。


✅ 補助金の“違法な不交付”や“理由なき却下”は争えるのか?

補助金の申請に対して、「理由もなく却下された」「ずっと審査されない」
といったケースでも、行政手続法の第2章(審査基準、理由提示、標準処理期間など)が適用されません。

しかし、これらも補助金等適正化法の下で一定の対応が求められます。

▶ 例:

  • 第6条第2項:標準処理期間の設定(努力義務)

  • 第21条の2:交付取消などの不利益処分における理由提示の義務(※限定的)


✅ 行政手続法の除外=処分性否定 ではない

実は、ここが誤解の最大のポイントです。

行政手続法の除外は「手続」の話であり、
「これは処分ではないから争えません」という法的効果を生むものではありません。

学説でもこう言われています:

「適用除外された処分であっても、行政法上の適正手続の審査が及ぶことは当然である」(塩野宏『行政法』)
「補助金処分においても、処分性や司法審査の対象から外す根拠にはならない」(阿部泰隆『行政の法システム』)


✅ 補助金行政が“閉じられた制度”にならないために

補助金等適正化法の第24条の2は、「行政手続法が適用されない」ことを定めただけであり、
それによって「処分ではない」と言えるわけではありません。

だからこそ、私たちのように「補助金取消し」を受けた事業者が
訴訟で処分性を争い、是正を求めていく意味があるのです。


✅ まとめ:処分性は残る。争える。声を上げられる。

  • 行政手続法の第2章・第3章が適用されないとしても、補助金の交付・取消は行政処分

  • 補助金等適正化法に基づく制度の不備や職員の不当対応には、法的に対応できる余地がある

  • 理不尽な却下、取消、長期の差し戻しなどには、訴訟や行政不服審査の道がある


📢 あなたのケース、処分性があります。

  • 「採択されたのに交付してくれない」

  • 「突然、申請が打ち切られた」

  • 「返還を求められたが、納得いかない」

こうした方は、単なる“運用”の問題ではなく“処分”を受けている可能性が高いです。

補助金等適正化法と行政法の観点から、対応策をご案内しています。
ぜひDM・コメント・メールなどでご連絡ください。


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私たちは制度の透明化と、事業者の権利保護のために戦っています。

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