森の肉の怪物


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作:ななば
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間話 神々と眷属の世間話




間話一話目です


 

 

 

 

 

 

 

 

♢【ロキ・ファミリア】♢

 

 

 

じっと、女神はその紙を眺めている。

"酒造りの神"から高く取り寄せた神酒(みき)を一息で飲み干し、再び眺める。何も異常の無いその紙を。

 

その紙には一人のエルフの冒険者が描かれている。新たにランクアップした冒険者だ。

 

「……やっぱり、ウチ好みやなー…」

 

じっとその紙を眺めていた女神。【ロキ・ファミリア】の主神である女神ロキは、小さく、そう呟いた。

 

 

 

 

「どうしたんだいロキ?ずっと紙ばかりを眺めて……もしかして────あの少年の事かい?」

「おー!フィンも知ってたんやな、そうやそうや!!」

 

フィンと呼ばれた、一見美少年にも見える小人族(パルゥム)は一室にあるソファに座り、主神であるロキにそう問い掛ける。

 

 

「あんな冒険者を僕が見逃す訳ないさ」

 

このフィンというパルゥム、オラリオの誇るレベル6の第一級冒険者であり、このロキファミリアの団長でもあるのだ。

そんなフィンから見ても。そのエルフの少年は異常に見えた為に覚えていたのだ。

 

「女神ハルティアと共にオラリオに訪れ、冒険者として活動したのが約一ヵ月前、そこから僅か三週間でランクアップだ…」

 

 

その記録は正に凄まじいの一言だった。

大抵の冒険者はランクアップするのに通常五年掛かるのだ、才能のある者でも三年、以前に世界最速(レコードホルダー)であり、現在ロキファミリアで頭角を現している少女【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインですらランクアップまでに一年掛かったのだ、一ヵ月という期間はそれほどまでに圧倒的だったのだ。

 

 

「それに彼はアイズと同じ、僅か1()1()()だ────」

「ッうえぇ!?ホンマかいな?フィン?」

「ああ、ギルドにも確認を取った、本当だ」

 

はーーーっと、ロキは感嘆の声を上げながらソファに更に身体を倒す。

 

 

「なおさら……なおさらウチが欲しかったわーーーー!!」

「ははは…ロキは相変わらずだね、一番の理由は顔だろ────」

 

フィンがそう言った瞬間、ガバッと起き上がり話始める。

 

「そらそーやん!!あんな可愛いショタエルフ、ウチが見つけたら一瞬でホームに持ち帰ってソッコー恩恵刻んでウチの眷属()にしてたわー!!リヴェリアママもそう思うやろー!?」

 

 

「誰がママだ────まったく、確かにその同胞が気にならない訳ではないが……ロキの様に不純な理由では無い」

リヴェリアと呼ばれた、美しいハイエルフの女性が答える。

九魔姫(ナインヘル)】の二つ名を持つこの上級冒険者も、フィンと同様にレベル6の第一級冒険者だ。

 

 

 

はは…と苦笑いするフィンに対しても、"フィンも加入させたいと思うやろー!?"と共感を求めるロキ。

対してフィンは自身の顎に指を当てて────口を開く。

 

「………僕も加入させたいとは思うけど、戦力といういうよりは()()の観点からかな、主に闇派閥(イヴィルス)からさ」

 

 

 

「「────ッッ!!」」

 

 

────闇派閥。それはこの場に居る者達にとって、オラリオに住む者にとっても忘れられない名前であった。

今から二年前、オラリオが暗黒期と呼ばれていた時に悪逆の限りを尽くした勢力だ。

奪い、嬲り、犯し、殺す。人間の悪意を煮詰めた様なその派閥は、『大抗争』で秩序側のファミリアと全面戦争を行い、敗北し、そのファミリアは散り散りになった。

 

現在は正義を掲げる【アストレア・ファミリア】を始めとした秩序側のファミリアが残党狩りを行っており、それはロキファミリアとて例外ではない。

()()は抑えられただけで、未だに闇派閥は存在するのだ。

 

 

「今現存している闇派閥はちょうど戦力を蓄えようと躍起になっているから…可能性は大いにあり得ると考えている、以前アイズに闇派閥の【タナトス・ファミリア】が干渉した様にね────」

 

 

うーむとロキは唸ったのち、口を開く。

 

「フィンは、【銀の剣撃(シルバー・スパーダ)】をどう考えているんや?」

 

 

「暫くは様子を見るつもりさ、聞けば彼のファミリアには彼しか眷属が居ない、彼が何かしらの干渉を受ける様なら僕らの傘下に入る様に働きかける……」

 

 

 

そう言うとフィンはソファから立ち上がり、窓からオラリオの街並みを見渡す。

 

 

 

 

やっとだ、やっと迷宮都市は平穏を取り戻し、新たな英雄が産まれようとしているのだ。皆がこの平穏の中で、冒険をし、商業をし、営みを築いているのだ。

 

 

 

 

 

だから、だから────闇派閥如きに────

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう二度と、奪わせてなるものか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところでフィン、アイズたん見てない?ウチ、今日から会ってないんやけど……

あ、彼女は僕と一緒に【銀の剣撃】のランクアップ記録を見てたからね……もしかしたら触発されてダンジョンに行ったのかも……

なに!?……まったくあの娘は………私はダンジョンに行ってくる…

 

 

 

 

 

 

 

 

♢【ヘルメス・ファミリア】♢

 

旅人の宿────探索系及び商業系ファミリアである【ヘルメス・ファミリア】のホームである。その一室に、彼は居た。

端正な顔立ちに橙黄色の髪、一見美男子な優男であるが、妙に胡散臭さが拭えない。そんな神、ヘルメスが一言口にした。

 

「アスフィ、()【銀の剣撃】の調査を頼みたい」

「……分かりました、その代わり、この仕事が終わったら……ちゃんと休みを貰いますよ」

 

「……ああ、分かっているさ」

 

水色の髪に、寝不足なのか若干目に隈が浮かんでいる人間(ヒューム)の女性。ヘルメスファミリアの団長────アスフィ・アル・アンドロメダが答える。

 

「それじゃ、行ってきますよ」

 

そうしてアスフィが部屋を出た後ヘルメスは静かに考え、自身の考えを整理するかの様にブツブツと独り言を話始める。

 

 

 

「ランクアップ所用期間一ヵ月と三週間………早い、早過ぎる、過去に無い圧倒的な速度だ……彼は間違い無く英雄候補……」

 

()()は未だオラリオに来ていない……英雄は、一人よりも二人、多いに越した事はない、かぁ………」

 

 

そして考えが纏まったのか、確かに一言、期待する様な、科学者が実験をする前の心情の様に────口にする。

 

 

 

 

 

「さぁ────見定めさせてもらおう、【銀の剣撃】君が英雄の器たるか────」

 

 

 

 

 

 

新たなに生まれた上級冒険者、【銀の剣撃】ことシア。

彼は知らないうちに、様々な神の注目を集めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






◼︎ロキファミリア
闇派閥に狙われそうやな、見守っとこ。

◼︎ヘルメスファミリア
新たな英雄候補!?見定めなくちゃ……!(使命感)
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