【Ave Mujica12話】「きゅうり」→「ゴーヤ」
いま、とても混乱しています。
10話から12話にかけての祥子の心情の変化――それが、私にはどうしても掴みきれない。
丁寧に描かれていることは分かるし、作品としての完成度も高いと感じている。
それでも、私の中ではいくつものピースがまだ繋がっていなくて、どうしたって整理が追いつかないのです。もう少し時間が必要です。
本当なら、12話全体の感想を書くべきなのかもしれません。
でも、今の私にはそれができない。
たぶん、最終回を観たあとでも、この混乱はすぐには収まらない気がしています。
だから今回は――「きゅうり」の話だけ、します。
きゅうり
Ave Mujica 12話の中で、静かだけどとても印象的な場面があった。
睦が、きゅうりの次はゴーヤを育てると話す場面だ。
ほんの一言、なんてことないセリフに見えるかもしれない。でも、私にはこのセリフが、睦と祥子の関係の変化を象徴しているように感じられた。
これまで睦は、祥子のことを「壊れそうだから守らなきゃ」という気持ちで支えてきた。
実際、物語の中でも祥子は何度も不安定さを見せてきたし、睦のその姿勢はごく自然なものだった。しかし、12話の祥子の精神面の変化は目に見えて変わっていた。
「きゅうり」は、育てるのにとても手間がかかる植物だ。
毎日の水やり、温度管理、病気のケア――少しでも手を抜けばすぐに弱ってしまう。
一方、「ゴーヤ」は暑さにも強く、少しくらい放っておいてもぐんぐん育つ、たくましい植物。花言葉は「強壮」。
睦が「ゴーヤを育てようかな」と言ったのは、単なる気まぐれじゃない。
私はそこに、彼女の中での“祥子との関係の再定義”があったように思う。
これまでの睦は、祥子のことを「壊れないように」気を遣い、見守り、支え続けてきた。
でも今、睦は気づいたんだと思う。
祥子は、壊れやすいものではなく、ちゃんと“育つ力”を持っている存在なのだと。
そしてそれは、睦自身の気持ちもまた変化しているということ。
「世話をしなければいけないから一緒にいる」んじゃない。
「一緒にいたいから一緒にいる」
そう思えるようになったことの、小さくて大きな証。
たった一言のセリフだったけど、私はこの「ゴーヤ」の言葉に、ふたりの関係が優しく、でも確かに変わっていく兆しを感じた。
そして、そんな変化を描くために植物というモチーフを使った脚本のさりげなさに、心を打たれた。
静かなワンシーン。
でも、心に残るセリフだった。



コメント