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2024年6月20日
内閣総理大臣
岸田 文雄 様
内閣府特命担当大臣(こども政策 、男女共同参画)
加藤 鮎子 様
最高裁判所長官
戸倉 三郎 様
総務大臣
松本 剛明 様
内閣府特命担当大臣(金融)
鈴木 俊一 様
法務大臣
小泉 龍司 様
外務大臣
上川 陽子 様
文部科学大臣
盛山 正仁 様
厚生労働大臣
武見 敬三 様
国土交通大臣
斉藤 鉄夫 様
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
自見 はなこ 様
警察庁長官
露木 康浩 様
ちょっと待って共同親権プロジェクト
https://chottomatte.jp/
離婚後共同親権から子どもを守る実行委員会
https://koredeiinoka.net/
共同親権について正しく知ってもらいたい弁護士の会
https://note.com/kyodo_shinpai
問い合わせ:scjpa.staff@gmail.com
「民法等の一部を改正する法律」についての要請書
5月16日、懸念や反対の声を押し切り、「民法等の一部を改正する法律」が参議院で可決され
た。審議過程では、不備な点、曖昧な点が多数明らかになり、衆議院で附則条項を追加する修正
がなされ、衆参の各法務委員会では、踏み込んだ内容の附帯決議がなされたものである。附帯
決議等を含め課題となった事項の検討にあたり、法改正の対象となる当事者の被害が継続せ
ず、新たな被害を被る危険性のない法制度整備とするため、以下のとおり要請する。
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記
1.検討プロセスにDV・虐待の被害当事者と支援者を参画させること
DV・虐待などに係る知見を十分に反映するためには、参考人聴取ではなく、検討プロセスへの
参画が不可欠である。本改正法案を審議した法制審議会家族法制部会では、離婚後共同親権
を推進する運動団体を委員とする一方で、DV・虐待の当事者・支援者は委員とされていなかっ
た。
2.ポストセパレーションアビューズの実態把握のため体系的な調査を実施すること
法務省・裁判所は、別居・離婚後のDV・虐待・リーガルハラスメント・嫌がらせ等について、十分
な実態把握すら行っていないことが審議過程で明らかになった。2010年代の面会交流原則実施
論の被害と影響の実態など含め、体系的な調査を実施すべきである。
3.DV・虐待被害への支援が委縮しないよう、予防・対策措置を講ずること
DV・虐待からの「子連れ避難」を「実子誘拐」などと攻撃する動きが続いている。また、支援制
度・支援団体をターゲットとしたインターネット上での誹謗中傷、開示請求・監査請求なども、新た
な社会問題として対策が急務である。
実際の支援にあたる地方自治体、特に支援団体についてのダメージは深刻となることが予想さ
れる。自治体や団体の対応に委ねることなく、国として統一的な「支援の萎縮予防策」を検討し具
体的な対策を行うべきである。
※被害者と支援者保護を目的とした開示請求に対する統一対応ガイドライン策定など
4.ガイドラインやQ&A等について、確定前に、専門家や当事者の意見を聴取・反映す ること
海外の実態からも明らかなように、「離婚後共同親権」は、子どもの安心・安全に関わる問題で
ある。まさに「命に関わる」重大な問題であり、省庁間協議のみで拙速に進めてはならない。
5.DV・虐待の軽視を原因とする不十分な支援、審判、判決等についての調査と統一的な 相
談窓口の設置を行うこと
改正法成立後、「共同親権導入後まで離婚しない」という主張がされる事案が増えるなど、離別
をめぐる状況は変化していると報告されている。法案質疑では「DVや虐待」が司法機関や支援機
関等で見抜けないことによる二次被害が多発していることが明らかになったが、その状況が変わ
らない限り、子どもやDV被害者の安全は担保できない。法施行までの間にDV・虐待の軽視を原
因とする不十分な支援、審判、判決等について全国で調査を行うとともに、二次的な被害を受け
ている被害者の救済に向けて統一的な相談窓口の設置を行うことが法改正を決断した国の責務
である。
6.当事者の不安・危惧のリスト(別紙)に文書をもって回答すること
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1
別紙
離婚後共同親権導入に際しての当事者の不安・危惧リスト
1 内閣府
項目 疑問や不安
共通
婚姻時も子の転居や進学、医療(手術)など重要事項について父母双方
の合意を求めるのか、離婚後共同親権のみなのか
離婚後共同親権のみとした場合離婚しているか単独か共同親権かを証明
する書類は戸籍謄本か
婚姻中の共同親権の場合には戸籍を出さなくていいとなった場合の合理
的根拠はなにか
自治体・個人を問わず膨大な問い合わせが想定される。共同親権に精通
した問い合わせ対応に特化した部署を各省庁に設置すべきではないか
DV と虐待を直接の担当者が見抜く力をつけるための研修を必須とすべき
ではないか。また、その研修には DV 及び虐待の被害当事者を登用すべ
きではないか
自治体によって異なる運用があるかどうか担当省庁が確認し、全国で統
一的な対応とするべきではないか
支援団体の支援
配偶者からの暴力被害者支援団体が開示請求・監査請求による濫訴やイ
ンターネットの SNS 等での誹謗中傷・脅迫によって、必要な支援を停
滞・萎縮させないように、どのような手続きを検討しているのか
DV 加害者対策
DV 虐待加害者は認知の歪みがあり、加害の事実を否認する。むしろ被害
者意識を持ち、子連れ避難を「連れ去り・誘拐」といい、DV の訴えを
「虚偽 DV」と訴え非難する。いくら DV 虐待ケースは共同親権の対象外
と言っても争いは収まらないと想定できる。改正法施行に備えて、加害
者更生のために、どのような具体的な取り組みを想定しているのか
附帯決議には「加害者更生プログラム実施の推進」があるが、DV 加害を
認めない加害者にどのように受講させるのか。面会交流時の悲惨な事件
を起こさないためにも、加害者更生プログラム受講は DV 加害者には必
須ではないのか
DV 加害者の行為が計画的になっており、子どもに対して、母親を悪く刷
り込む、家庭内で接触をさせない、加害者の祖父母にも協力させる等を
通じて、被害者の精神的コントロールと離婚を諦めさせる行為が増加し
ている。同時に子どもに対しても、婚姻中から、母親についていかない
ようにコントロールする等、精神的虐待が過酷になっている事案が増加
している。自治体や支援機関はそうした状況に適切に対処できる知見も
予算も十分ではない。深刻化する加害に対する相談支援のあり方を国が
緊急にまとめ、自治体、支援団体に提供すべきではないか
啓発
DV 相談には、共同親権のニュースで被害者に先の見えない不安が広が
り、離婚調停中や離婚後の被害者から様々な不安が寄せられるが、どう
なるかが明確ではないので対応も難しい。弁護士も様々な助言をしてお
り不安が広がる。離婚する夫婦は増えており、国民にわかる説明をいつ
するのか
啓発
共同親権のニュースを見て、DV の証拠提示ができない場合、強制的に共
同親権になる可能性があると、不安を訴える DV 被害者にはどう説明す
るのか自治体や支援団体に示すべきではないか
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2
啓発
離婚調停中だが、共同親権の法案の関係で、共同親権を狙う加害者の動
きがゆっくりになった、また既に離婚しているが DV の証拠はすべて処
分した、これから共同親権への変更となることを考えると恐怖でしかな
いという被害者にはどうこたえるのか。広範囲の離婚経験者に大きな影
響が及ぶが、どう助言すればいいのか自治体や支援団体に示すべきでは
ないか
啓発
民法改正によって、DV 被害者支援施策は変わらないということを、誰も
がわかるように啓発する準備はあるか。特に自治体向けにはしっかりと
伝えるべきである
危険度の増加への対
応
DV 防止法は被害者保護の観点から策定され、被害者支援は相談者の主訴
を根拠にやってきたが、離婚後共同親権の導入によって、保護命令事案
以外でも「DV があったかなかったか」の認定が強く求められるようにな
った場合、今まで通りの支援の仕組みを維持できるのか。維持できない
事例が報告された場合、被害者の安全確保のための対応を検討すべきで
はないか
DV 被害相談証明書
女性相談支援センター、配偶者暴力相談支援センターなどが発行する、
暴力被害を受けている旨の相談証明で、これまで通り医療保険の取り扱
い、保育料免除などの手続きができるか
法制審の適正判断
今回の民法改正において、別居親団体から法制審議会の委員が選出され
た。しかし、DV や虐待被害当事者団体・支援団体が委員として選出され
なかった。民法という全国民に関与する法制審議の場に適した選出がさ
れているかを内閣府として判断する仕組みを設けるべきと考えるが、見
解はいかがか
2 厚生労働省
項目 疑問や不安
共通
婚姻時も子の転居や進学、医療(手術)など重要事項について父母双方
の合意を求めるのか、離婚後共同親権のみなのか
離婚後共同親権のみとした場合離婚しているか単独か共同親権かを証明
する書類は戸籍謄本か
婚姻中の共同親権の場合には戸籍を出さなくていいとなった場合の合理
的根拠はなにか
自治体・個人を問わず膨大な問い合わせが想定される。DV や虐待被害者
支援に知見を持つ担当を配置し、問い合わせ対応に特化した部署を各省
庁に設置すべきではないか
DV と虐待を直接の担当者が見抜く力をつけるための研修を必須とすべき
ではないか。また、その研修には DV 及び虐待の被害当事者を登用すべ
きではないか
自治体によって異なる運用があるかどうか担当省庁が確認し、全国で統
一的な対応とするべきではないか
予防接種 父母双方が親権者の場合、一方の親が許可しない場合は、いずれの親の
意見を採用するのか。だれが判断するのか
病気・けが
どこまでを急迫の治療を要する病気であると誰が判断するのか。別居中
(共同親権)でも診察してもらえるのか。急迫ではない病気の治療方針
に父母相違があった場合、どのように判断するのか
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3
手術まで2、3か月時間があれば急迫ではないとの大臣答弁があった
が、父母の意見に相違があり家裁に持ち込んで2、3か月で結論が出な
かった場合、その時初めて急迫の事情が適用されるのか
(侵襲的)手術治療についてはどう考えているか
数年後の手術を前提に段階的に治療を進める場合において、その治療方
針への別居親の同意が得られない場合の「急迫の事情」はどのように判
断されるのか。手術は要しないが長期的な治療を要する難病等の治療方
針についてはどうか
別居親が親子交流の際に、子の定期通院先とは異なる病院を受診させ異
なる薬を処方させようとした場合、事情を把握した当該医師はそれを拒
むことはできるのか
同意の取り付け
医療機関が共同親権であることを把握するタイミング、方法、また親権
者双方に説明をし、同意を得るための調整をどうするかなど、医療機関
が混乱しないために国として具体的にどのように説明するのか 。片方
の親権者の同意のない医療行為の場合、滋賀医科大のように違法性を問
われることはないのか
緊急一時保護
被害者本人の訴えだけで、今まで通り保護してもらえるか。婚姻中は共
同親権だが、子の居所指定権を持つ一方の親から違法と訴えられた場合
の対応を検討しているか。対応方法を全国に徹底すべきではないか
共同親権の状態で、女性相談支援センターが母子を保護した場合、のち
に急迫の事情の有無が訴訟で争われ、それがないと判断された場合、セ
ンターが行った緊急時の措置まで不当なものとして扱われる可能性があ
るか。あるとすれば、支援機関の萎縮は免れないところであり、被害者
の保護を後退させない方策を検討しているか。対応方法を全国に徹底す
べきではないか
DV 被害相談証明書
女性相談支援センター、配偶者暴力相談支援センターなどが発行する、
暴力被害を受けている旨の相談証明で、これまで通り医療保険の取り扱
い、保育料免除などの手続きができるか。また、厚労省の事務連絡のと
おり、今後も DV 相談証明は、DV の事実認定ではなく、DV を相談したこ
との証明であることは変わらないか
障がい児への処方
障がい児への処方薬(ADHD 等に効用のある処方薬)は、共同親権下で親
権者 2 名の印鑑(サイン)がないと処方されないとはならないか。特に
別居中で急迫ではないが長期的な判断から子どもに必要であると同居親
が希望した場合、処方した医療機関や判断した同居親に親権侵害と民事
訴訟を起こされないか不安である。また、医療機関が委縮して、処方を
希望しても処方してもらえないといった事案が起きないという確約が欲
しいがどこで確認することができるか
障がい児の医療機関
での療法
医療機関での作業・言語・理学療法を受ける際、親権者 2 名の印鑑(サ
イン)が必要となるのか。別居中に療法を希望する際に、一方の親権者
の印鑑(サイン)がないと受診できないといった、子どもの利益に反す
ることがないような仕組みをどのように考えているか。現状でさえ、地
域差で受診待ちでなかなか受診できないことが起きている。受診待ちで
すら、エントリーできないといったことがないようにしてもらいたい
妊娠中絶 18 歳未満のこどもの妊娠中絶の合意は共同親権者のサインが必要か
女性支援(DV) 若年女性の相談や保護について、従来は自治体はどうしても親権者に連
絡をして許可を取ってきたが、1女性支援法施行後は、親の許可を取ら
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4
ずに積極的に当事者の意思を尊重するのか 2親の許可を取る場合はど
ういう場合で、片方の親権者ですむのか
調査 海外での親権問題によって引き起こされている事案を調査・報告する検
討をしているか
国民健康保険証の作
成
離婚前に婚姻費用や扶養手当の支払いを受けている状況で別居した場
合、夫側の扶養から抜いて国民健康保険証を作成することが難しくなっ
ているが、そうした場合、保険証を継続して利用すると夫に居所が知ら
れてしまうこととなるが、被害者の安全を確保するために、従前通り市
民課等において職権で扶養を外し国民健康保険証を作成することが可能
か
通知において「被保険者と当該被害者が生計維持関係にないこと」の申
出書とその確認が追加されているが、それ以降安全を脅かされる被害者
が多く出ている。実態を調査しているか。実態に沿って通知の改定等対
応すべきではないか
住居確保給付金申請 同居親が子どもとともに申請する際に別居親のサインが必要か、扶養照
会がいくのか
生活保護申請 同居親が子どもとともに申請する際に別居親のサインが必要か、扶養照
会がいくのか
病院での面会
別居している親権者が面会を求めてくることを同居親が拒否依頼できる
のか。拒否理由を示す証明を求められた場合に、何を証明すればいいの
かを想定しているか
通院・入院の契約
親権者による訴訟を避けるため、通院・入院時に誓約書を求められるの
か。また、親権者問題を理由に通院・入院が拒否されることがないよう
に、どんな仕組みを検討しているのか
保険加入 国内旅行の保険加入の際、親権者の確認が必要となるのか。監護者の証
明で足りるのか
アルバイト
履歴書に記載する際、親権者 2 名を記載、印鑑(サイン)が必要となる
のか
父母双方が親権者の場合、一方の親がアルバイトを許可し、他の親が
許可しない場合は、いずれの親の意見を採用するのか。だれが判断する
のか
宿泊契約 未成年者の宿泊は保護者の同意が必要であるが、共同親権の場合、2 名
の親権者の印鑑(サイン)等が求められるか
エステ・サロン 未成年者がエステ・サロンに通う場合に保護者の同意が必要であるが、
共同親権の場合、2 名の親権者の印鑑(サイン)等が求められるか
医療脱毛
未成年者が医療脱毛のカウンセリング・施術を行う場合に保護者の同意
が必要であるが、共同親権の場合、2 名の親権者の印鑑(サイン)等が
求められるか
ピアッシング 未成年者がピアッシングをする際、保護者の同意が必要であるが、共同
親権の場合、2 名の親権者の印鑑(サイン)等が求められるか
子どもに不利益が生
じた場合の申し出先
共同親権が可決したあと、「親が二人で決めることが子どもの利益だ。
期日内に決まらなかったらそういう親のところに生まれたと思ってあき
らめろ。」という人がいた。親の共同親権によって子どもの重要なこと
が決まらず子どもが困っている場合の相談先とその解決策(単独親権に
変更する)などの子どもを救済する体制を作るべきではないか