Viewing all 783 articles
Browse latest View live

えらく具体的なムードコーラスのタイトル 佐藤よしおとブルー・セブン『新宿発23時50分』



 曲名でここまで具体的な時刻が記されていると、思わず目を奪われてしまいます。

 上の写真は1976年に発売された佐藤よしおとブルー・セブンというグループが歌った『新宿発23時50分』(作詞:水木かおる 作曲:荒井えいいち 編曲:斉藤恒夫)のシングルレコードです。

 なかなかこれが隠れた名曲です。

 歌の内容は新宿のホステスさんが主人公。毎夜毎夜、クラブがはねると少しお酒に酔いながら地下鉄の23時50分発の電車に乗り家路につく。そんな一人身の味気ない淋しい生活が続き、電車の窓に写る自分の顔もふと見ると疲れている・・・。とまあ、非常に歌詞は哀愁に満ちています。

 メロディーは典型的なムード歌謡に仕上がっています。このグループの雰囲気としてはコーラスはサザンクロスを彷彿とさせます。リードボーカル(名前不明)の方の歌唱も鼻にかかった感じで、やはり同時期のサザンクロス、ハッピー&ブルーのようなボーカルを意識したかのような歌い方です。(ただ甘さはサザンクロス、ハッピー&ブルーほどではありませんが・・・(;^_^A)

 通販限定の『ムードコーラススペシャル』というCDBOXの解説によりますと、このグループは後に同じポリドールのグリーンシャンデリアというムードコーラスグループと一つになり、ブルー・トレイン(後の最田紀彦とブルー・トレイン)というグループになったそうです。

 実はこのグループ、このレコードの他にもリリースがあるのかどうかが不明です。ブルートレインのファーストレコード発売が1979年。『新宿発~』が1976年。約3年の間がありますので、他にもレコードリリースがあってもおかしくないのですが・・・。Image may be NSFW.
Clik here to view.
ガーン
もしこのレコード1枚のみだとしたら非常に勿体ないな~とこの曲を聴くたびに思ってしまうのです。


中川博之氏楽曲紹介43 東京クリスタル『誘惑/置手紙』



 この『誘惑』という曲は、1990年に秋庭豊とアローナイツが歌ったものが有名ですが、アローナイツバージョン発売の6年ほど前の1984年に東京クリスタルという2人組のムードコーラスグループがレコードをリリースしていました。

 A面『誘惑』。アローナイツバージョンと比べましたら、ソフトなタッチの仕上がりです。レキントギター、カスタネットといった楽器編成が耳に残り、少しラテンっぽいアレンジになっています。編曲は神山純一氏。神山氏は特に80年代前半から半ばごろまで中川氏とは、主に森雄二とサザンクロスの楽曲でよくコンビを組んで作品を手掛けていました。そのため、サウンド的にサザンクロスが唄いそうな感じのムード歌謡曲になっています。
 東京クリスタルのボーカルは時々お二人のうち片方がファルセットを使うところがあり、ムードコーラスらしいところを覗かせています。

 B面『置手紙』。他の女性のそばに行った男性に対し、別れの手紙を書こうとする主人公の女性。しかし未だ恨むことが出来ず、別れ言葉が書けない。白い手紙のまま部屋を出ていく・・・という内容です。
 こちらはバラード調の楽曲です。アコーディオンが耳に残り、上品且つ洒落た雰囲気を持った作品です。



【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号:CWA-243
発売日:1984年6月20日
A面 『誘惑』 作詞:酒谷明良 作曲:中川博之 編曲:神山純一
B面 『置手紙』 作詞:新本創子 作曲:中川博之 編曲:神山純一

2組のグループが歌った名曲『波止場』

 『波止場』。作詞:志賀大介、作曲:村沢良介 によるこの曲は、4コーラス構成の楽曲です。1番から順に函館、横浜、神戸、長崎と日本を代表する主な港が舞台となっており、各港々での男女の別れを歌っています。
 別れ歌なのですが、メロディ・・・というよりこの曲のリズムのテンポが速いせいか(特に最初に紹介するシャディー・モルトバージョンが顕著ですが)あまり湿っぽさを感じさせません。

 さて、この曲は2つのムードコーラスグループによって歌われております。どちらもレコードのB面として収録されています。ヒットはしていませんが2組のグループがレコードに吹き込んだということは、それなりの評価がレコード会社ではあったのでしょうか・・・?(2組ともレコードはテイチクよりリリースされています)

 では、以下に2組の歌ったレコードを見ていきたいと思います。


高見順とシャディー・モルト 編曲:池多孝春 1976年3月発売


 CDBOX『ムードコーラススペシャル』の解説によるとこのグループは、この1枚しかレコードを出してないそうです。
 このシャディー・モルトバージョンはなかなかカッコいいのですImage may be NSFW.
Clik here to view.
グッド!
 上にも書きましたが、別れ歌ながら感傷的な湿っぽさはほとんど・・・いや、全く無いと言っていいでしょう。リードボーカルの高見順氏の歌唱も淡々としており、湿っぽい感傷を排しているのに一役買っています。しかしながら、歌の世界の情景は曲を聴いているとちゃんと頭の中に浮かんでくるので不思議です。名盤です。


アライ考樹と風見鶏 編曲:前田俊明 1981年3月25日発売


 シャディー・モルト盤発売から5年後に『波止場』をリリースしたのは、こちらも1枚のみしかレコードリリースがないアライ孝樹と風見鶏というグループです。
 風見鶏バージョンはシャディー・モルト盤よりテンポは遅めにアレンジされています。そのためか、この風見鶏バージョンはシャディー・モルト盤よりかは落ち着いて聴く事ができます。Image may be NSFW.
Clik here to view.
ニコニコ
リードボーカルの方(名前不明)の歌唱は、シャディーの高見氏のように淡々とした感じではなく、丁寧な感じに歌われています。しかしながら別れ歌の感傷的な雰囲気は風見鶏バージョンでもあまりありません。
 風見鶏バージョンも捨てがたいですImage may be NSFW.
Clik here to view.
ニコニコ



 余談ではありますが・・・
 シャディーモルト盤のA面曲『涙化粧』。これは南有二とフルセイルズのデビュー曲『おんな占い』のB面曲で、シャディー盤ではアレンジを変えてカバーしています。
 一方風見鶏盤のA面曲『話してごらん』は、1984年に今度はフルセイルズが『北のめぐり逢い』のB面曲としてカバーしています。

 『波止場』の片面の曲がそれぞれフルセイルズにつながる・・・。妙に因縁めいたものを感じずにはいられません・・・(・Θ・;)

広島ご当地ソング紹介31 水野ゆき『尾道で逢いたい』



 歌唱の水野ゆき氏については来歴その他詳しいことはよく分かりませんでした。このレコード以外にもリリースがあるのかどうか・・・。JASRACの作品リストでもこの『尾道で逢いたい』とB面『恋時雨』しか登録がありませんでした。ひょっとしたらこの1枚のみなのかもしれません・・・。

 このタイトルからも幾分歌の内容も察しがつくかもしれません。未練を残して別れた男性と、もう一度思い出の尾道でめぐり逢いたいと願う女性を歌っております。
 歌詞には「千光寺」という尾道の有名な観光スポットが出てきます。

 マイナー調の演歌の楽曲です。水野氏の歌唱も典型的な演歌調の歌い方です。ただ、ド演歌ではなく幾分か歌謡曲寄りのソフトな演歌という印象です。



【レコードデータ】
レコード会社:ミノルフォンレコード(徳間音楽工業)
レコード番号:KA-2054
発売日:1982年3月?日
A面 『尾道で逢いたい』 作詞:荒木忠雄 作曲:野村旬平 編曲:斉藤恒夫
B面 『恋時雨』 作詞:水木翔子 作曲:野村旬平 編曲:斉藤恒夫
 
 

広島ご当地ソング紹介32 三代沙也可『そして福山』



 『そして福山』は広島県の東の玄関口・福山市を題材にした楽曲です。「特選歌カラベスト5」という企画マキシシングルに収録されたのが初出のようです。
 
 この曲はYouTubeで聴いたのが最初だったのですが、非常に私好みの曲調でこんな隠れた名曲があったのかと驚いた次第です。三代沙也可氏の歌唱は演歌歌手らしい感じで歌われていますが、メロディ、アレンジはムード歌謡タッチで大変気に入りました。

 歌詞には「御門町」、「芦田川」、「花園まち」という地名が出てきます。また、福山はバラの街としても有名で、曲中でも「♪桜過ぎれば ばらが咲き お城に映える♪」と歌われています。

 福山を歌った曲では近年は岩佐美咲氏の『鞆の浦慕情』が有名ですが、この『そして福山』も捨てがたい名曲かと思います。



【カセットデータ】
レコード会社:キングレコード
カセット番号:KISX 8107
発売日:2006年6月7日
A面
1.『倖せもやい酒』 作詞:たかたかし 作曲:伊藤雪彦 編曲:前田俊明
2.『夜汽車は北へ』 作詞:木下龍太郎 作曲:伊藤雪彦 編曲:池多孝春
3.『盛り場ネオン』 作詞:たかたかし 作曲:伊藤雪彦 編曲:前田俊明
4.『港わかれ雪』 作詞:松井由利夫 作曲:伊藤雪彦 編曲:伊戸のりお
5.『そして福山』 作詞:助田ひさお 作曲:伊藤雪彦 編曲:伊戸のりお
B面
A面曲1~5のオリジナルカラオケ

ちょっとインパクトあるムード歌謡タイトル『捨てられ女のうらみ歌』



 『捨てられ女のうらみ歌』(作詞:大高ひさを 作曲:村沢良介 編曲:山倉たかし)は南有二とフルセイルズのLP『恋占い』に収録されている楽曲です。

 タイトルからしてもう救いがないというか・・・(^_^;)人生のどん底という雰囲気が漂ってくる歌です。「怨歌」という言葉を体現してる歌かもしれません。

 内容はそのものズバリで、命がけで惚れていた男性に捨てられた女性がつらつらと恨みごとを歌っている曲です。
 『三面記事の女』(美川憲一)のように自殺しようとするところまでは行っていません。しかし、別れの場面では強がって自分から別れなきゃ、死にたくなるよな夜だったと歌います。
 また、別れ言葉を切り出す時の男性の描写も見事で、「眉のひとつも 動かさず 訳も云わずに 行ったひと」というのは主人公の女性に対して、何の感情も持ち合わさなくなった心情をよく表現しています。

 曲調はマイナーコードのバラード調で、なかなか重い雰囲気があります。アレンジは『おんな占い』のようなサックスとエレキギターが耳に残る編成です。
 南有二氏のボーカルはむせび泣くような感じに歌われています。『おんな占い』のような色っぽい曲、『あの娘ちゃんこの娘ちゃん』のようなコミカルな曲、『捨てられ女の~』のような重厚でシリアスな曲まで歌いこなす南氏の力量はリスナーの耳を非常に楽しませてくれます。

中川博之氏楽曲紹介44 森雄二とサザンクロス『さそり座の女』



 森雄二とサザンクロスの2ndシングルです。

 A面の『夜の銀狐』は、1969年に斉条史朗氏がリリースしたヒット曲のカバーで、サザンクロスの全曲集やその他のオムニバスアルバムに幾度も収録されており、比較的手に入れる機会が多いので、ここではB面に収録され、全曲集アルバム等でもほとんど見かけることが無い『さそり座の女』をご紹介いたします。

 言わずと知れた美川憲一氏が1972年にリリースした楽曲のカバーです。

 以前の記事にも書いたことですが、この頃の菅野ゆたか氏の歌声は、現在のものと比較すると若干声質が低めに歌われてる感があり、この『さそり座の女』でもその傾向が顕著に表れています。少しだけ美川憲一氏に近いような歌声にも聴こえる・・・そんな印象を持ちました。

 伴奏は美川憲一バージョンのものと同一のカラオケを使用しています。

 この2ndシングル発売直後に『意気地なし』がリリース、ヒットし、サザンクロスはロス・プリモスに続くクラウンを代表するムード歌謡コーラスグループになっていきました。



【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号:CW-1533
発売日:1975年12月?日
A面 『夜の銀狐』 作詞:水沢圭吾 作曲:中川博之 編曲:高橋五郎
B面 『さそり座の女』 作詞:斎藤律子 作曲:中川博之 編曲:馬飼野俊一

黒沢明とロス・プリモスの地方限定盤レコード『下北の夜』『雨の十和田湖』



 『下北の夜』は、ビクター時代在籍中の黒沢明とロス・プリモスが出した地方限定版のシングルレコードです。詳しい発売年度は表記が無いため不明ですが、メンバー構成からみて1970年以降制作のレコードかと思われます。

 レコードジャケット裏には、A面B面共に「横浜町観光協会推奨」、「野辺地観光協会推奨」、「むつ市観光協会推奨」と記載されていました。

 A面『下北の夜』(作詞:長内義章 作曲:水島正和 編曲:近藤進)は、上に記載した観光協会のある町が主な舞台となっております。「野辺地港」、「馬門」、「横浜(町)」、「薬研」、「尻屋崎」、「むつ(市)」といった地名が出てきます。
 曲調はメジャー調のブルース曲に仕上がっています。ゆったりした感じの曲で、何となく旅情を誘うような感じです。さすが観光協会推奨といったところでしょうか。

 B面『雨の十和田湖』(作詞:長内義章 補作詞:麻生たかし 作曲:水島正和 編曲:近藤進)。こちらは1972年6月発売のロスプリの一般発売シングル、『未来(あした)のない女』のB面にも収録されています。
 編曲は両方とも近藤進氏が担当されていますが、このPR盤と一般発売盤では若干アレンジが違い、ボーカル、コーラスもそれぞれ異なります。
 PR盤は森聖二氏のボーカル、そしてバックコーラスは控えめで優しい感じです。一方一般発売盤は森氏のボーカルはややソウルフルかつ情熱的な感じで、バックコーラスも派手な感じに入っています。一般発売ということで、人目を引くようにインパクトを重視?したのでしょうか・・・。

 こういったPR盤はベストアルバムにはなかなか収録されません。ロスプリは他にもこのようなPR盤を残しており、願わくばそういった音源もCD化にしていただきたいものです。


少し目を引くムード歌謡タイトル 海音寺剣『傀儡ブルース』



 1973年発売のレコードです。

 『傀儡(かいらい)ブルース』(作詞曲:北原じゅん 編曲:高田弘)という曲名も(ジャケの字体がホラーチックなのも含め)インパクトがあるのですが、歌唱の海音寺剣(かいおんじけん)という芸名(?)もインパクトが大です。
 この海音寺氏の来歴は不明で、このレコード以外にもリリースがあるかどうかも判明しませんでした。

 A面『傀儡ブルース』。傀儡=あやつり人形ということから察することが出来るかもしれませんが、一人の男性のためだけに生きる女性・・・いや、その男性が主人公の女性を自分のためだけに尽くすよう仕込んだ・・・といった方が良いかもしれません。とにかく主人公の女性はその男性無しでは生きられないくらい惚れてしまっているようです。
 メロディはメジャーコード主体の曲調です。(どうでもいいことですが、曲のはじめに「♪かいらい~ぶる~す~♪」というフレーズがあるのですが、自分はどうしても「♪まえばし~ぶる~す~♪」と、森雄二とサザンクロスの『前橋ブルース』のイントネーションに聴こえてしまいます(^_^;)。)

 さて、B面はA面とはうって変わってシンプルなタイトル『電話』(作詞:小高つた子 作曲:北原じゅん 編曲:高田弘)。
 家庭を持つ男性を愛した(不倫関係にあった)女性が主人公。受話器を置くことで、二人の絆が切れたという表現があり、決して表立って男性と付き合えない、男性の世界に入ることが出来ないという二人の儚く脆い関係を表してるようにも思えます。


 私は『傀儡ブルース』を初めて聴いたのはラジオだったのですが、その時の歌唱の海音寺剣氏のイメージはそのボーカルと名前から、厳つい感じの男性を想像していました。後にレコードを手に入れジャケットにある海音寺剣氏の顔を見たときには、意外にもソフトな顔立ち且つ想像よりもお若い方だったので、ちょっとそのギャップには驚きました。(^_^;)

トリオ時代の好企画アルバム 敏いとうとハッピー&ブルー『グッドバイ・マイ・ラブ』



 ウィキペディアによると1978年にリリースされたLPのようです。

 私のツイッターのフォロワーさんお二方がこのLPを立て続けに手に入れられ、あまり見かけないアイテムなので運が良いな~と思ってた矢先、オークションにこのLPがひょっこり顔を出しておりましたので即座に入札・落札して手に入れることが出来ました。

 他アーティストの楽曲のカバーを中心に構成されたLPです。以下に収録曲をあげておきます。

A面
1.「グッドバイ・マイ・ラブ」
2.「別れの朝」
3.「忘れないわ」
4.「誰もいない海」
5.「五月のバラ」
6.「別離」
B面
1.「ミスター・サマータイム」
2.「片想い」
3.「あいつ」
4.「恋心」
5.「そっとおやすみ」
6.「今日でお別れ」
リードボーカル:森本英世(A-1~4、6 B-1~6)、篭島敏男(A-5、B-5


 このLPを全体を通して聴いてみますと、センスの良さが光るアルバムだと思います。ムード歌謡コーラスグループのカバー作品と言えば、どちらかといえば歌謡曲・演歌寄りの楽曲が多くなりがちですが、このLPではポップス寄りの楽曲もいくつかカバーされており、普段とは趣の違うハッピー&ブルーを見せています。
 しかしそのようなポップス色の強い楽曲でもハッピー&ブルーらしさを出しながら、決して楽曲の魅力を落とすことなく素晴らしいカバーに仕上げている所は、このグループの実力を物語っているような気がします。(これは多分にリードボーカルの森本氏、篭島氏の名ボーカリストがあってこそ・・・という見方もありましょう)

 個人的には「今日でお別れ」がお気に入りです。森本氏の優しく且つ切ない歌唱が耳に残ります・・・。

中川博之氏楽曲紹介45 菅野ゆたか・真咲よう子『むかし恋人いま他人』『都会川』



 森雄二とサザンクロス解散後1987年にソロデビューした菅野ゆたか氏が、ソロ転向後2年目の1988年に真咲よう子氏と出したシングルレコードです。

 A面『むかし恋人いま他人』。これはデュエットムード歌謡の隠れた傑作といっても良いかと思います。さしずめ、中川博之作品における『別れても好きな人』、といった趣を呈しています。(歌詞の内容・シチュエーションも似たところがあります)
 中川博之氏作曲によるムード歌謡好きのツボを抑えた軽いノリのリズムに乗ったマイナー調のメロディ。これが菅野氏と真咲氏のボーカルにピタリとハマっており、素晴らしい相乗効果を上げています。
 つくづく中川博之氏のメロディと菅野ゆたか氏のボーカルは相性が良いなということを再確認させられる作品です。
 
 一方B面曲の『都会川』はA面と打って変って、演歌寄りの作品に仕上がっています。
 サザンクロス時代を含め「中川博之+菅野ゆたか」コンビネーション作品でここまで演歌的な作品も珍しいと思ったのですが、それでも菅野ゆたか氏そつなく歌いこなしています。流石です。



【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号CWA-488
発売日:1988年11月21日
両面とも 作詞:里村龍一 作曲:中川博之 編曲:前田俊明 唄:菅野ゆたか、真咲よう子

中川博之氏楽曲紹介46 山川登とベストセラーズ『さようならは五つのひらがな』『意気地なし』



 今回ご紹介する2曲は、山川登とベストセラーズのLP『世間知らず~有線ベスト・ヒットを唄う~』に収録されているものです。

 A面6曲目に収録されている『さようならは五つのひらがな』は、黒沢明とロス・プリモスが1968年にリリースした楽曲です。
 オリジナルのロス・プリバージョンと比べて、このベストセラーズバージョンは全体的に滑らかというか、軽いタッチの雰囲気になっています。特にリードボーカルの歌唱はアクが無く、サラッと歌われています。ロス・プリの森聖二氏と比べると艶っぽさ・色っぽさは及ばないですが、聴きやすさという点では、ベストセラーズに分があるかな?と思います。

 B面4曲目に収録されている『意気地なし』は、1976年に発売された森雄二とサザンクロスのヒット曲です。
 こちらもサザンクロスバージョンと比べますと軽いタッチの仕上がりです。ただ多少こちらの方がオリジナルに近い雰囲気を持ってますが。これもそれほどアクはなくすんなりと聴ける感じです。ただ、サザンクロスの唄に慣れた人には少々物足りない?かと思いますが・・・(;^_^A

 2曲とも1980年代のムードコーラスらしい楽曲に生まれ変わったという感じを受けました。つまり、鼻にかかったようなボーカルでホスト的な雰囲気を前面に押し出した・・・という感じなのですが。

 このLPは上記2曲以外にもムード歌謡の名曲が収録されており、選曲のセンスが光っています(彼らのオリジナル2曲を含む)。
 特に、『たった二年と二カ月で』や『コモエスタ赤坂』なんかは個人的に好みで、何回も聴いてしまいます。

 このLPもCDでの復刻を熱望する1枚です。



【レコードデータ】
レコード会社:ワーナー・パイオニア
レコード番号:L-12028W
発売日:1981年5月25日
A面
1.『世間知らず』 作詞:吉法かずさ 作曲:徳久広司 編曲:神山純一
2.『愛のふれあい』 作詞:山北由希夫 作曲:小町昭 編曲:神山純一
3.『抱擁』 作詞:荒川利夫 作曲:山岡俊弘 編曲:神山純一
4.『ベッドで煙草を吸わないで』 作詞:岩谷時子 作曲:いずみたく 編曲:神山純一
5.『酒場にて』 作詞:山上路夫 作曲:鈴木邦彦 編曲:神山純一
6.『さようならは五つのひらがな』 作詞:星野哲郎 作曲:中川博之 編曲:神山純一
B面
1.『たった二年と二カ月で』 作詞:阿久悠 作曲:水森英夫 編曲:神山純一
2.『コモエスタ赤坂』 作詞:西山隆史 作曲:浅野和典 編曲:神山純一
3.『ガッカリしてるの』 作詞曲:三浦弘 編曲:あかのたちお
4.『意気地なし』 作詞:高畠じゅんこ 作曲:中川博之 編曲:神山純一
5.『よせばいいのに』 作詞曲:三浦弘 編曲:神山純一
6.『別れても好きな人』 作詞曲:佐々木勉 編曲:神山純一

ゲストナレーション:夏純子


*歌詞カード表記では全曲神山純一氏の編曲となっていましたが、『ガッカリしてるの』はシングル盤と全く同じ音源でありシングル盤のクレジットでは編曲者はあかのたちお氏と表記されていました。ここではシングル盤に乗っ取ってあかのたちお氏と表記しました。

中川博之氏楽曲紹介47 タン・ラン『愛の灯を消さないで』



 歌唱のタン・ラン(THANH-LAN)氏という方は、ジャケット裏のプロフィールによりますと、1953年ベトナム生まれの方で、このレコード発売時では、サイゴン大学文学部英文学科在学中の学生さんだったようです。
 芸歴はこのレコード発売の3年前からプロ歌手として、レコード、テープを出しており(レコードジャケットの上には「ベトナムの星~THE TOP SINGER IN VIETNAM」と書かれております)、映画、テレビ、演劇にも進出と書かれていました。

 さて、『夢見る世代』のB面に配された『愛の灯を消さないで』。
 主人公の女性が愛する男性に対し、どこまでもいつまでも愛し続けるということを切々と歌っているものです。作詞はなかにし礼氏。私個人的な印象ですが、この方の詩はひと癖ある恋愛観の歌が多いというイメージですが、この歌に関しては安心して(?)聴く事ができる曲かな、と思います。(;^_^A
 中川氏お得意のマイナー調のメロディです。ただ、ムード歌謡の成分は若干匂わせておりますが、どちらかといえば普通の歌謡曲に近いタッチです。

 このレコードの発売はビクターレコードですが、当時はクラウン専属の中川氏がご本名で作曲者名にクレジットされている稀有なケースの曲です。



【レコードデータ】
レコード会社:ビクターレコード
レコード番号:SV-1175
発売日:1974年?月?日
A面 『夢見る世代』 作詩曲:PHAM DUY 訳詞:なかにし礼 編曲:土持城夫
B面 『愛の灯を消さないで』 作詞:なかにし礼 作曲:中川博之 編曲:土持城夫


*上記データは中川博之氏作品リストた行歌手編にもアップします。

 

トリオ時代の好企画アルバム 敏いとうとハッピー&ブルー『星降る街角』



 1971年にテイチクのユニオンレーベルからデビューした敏いとうとハッピー&ブルーが、1977年にトリオレコードに移籍してリリースした最初のLPが上に掲載しました『星降る街角』でした。

 ハッピー&ブルーはユニオン時代、そして後のキャニオン時代等でのカバーは、他のムードコーラスグループ同様、演歌・歌謡曲が中心になるのですが、このトリオレコード時代は、以前記事にしましたLP『グッドバイ・マイ・ラブ』にも象徴されるように、ポップスのカバーも積極的に手掛けておりなかなか意欲的にレパートリーを広げていってる感じがします。

 シングルでもそういった傾向があり、特に1978年発売の『あれも嘘なの』のアレンジは目を見張るものがあり、ムードコーラスというより、ポップス系のグループか?と思わせるようなロックっぽいアレンジに仕上がっています。(今回この記事を書くにあたり、聴き直したところボーカルは森本英世氏+篭島敏男氏のダブルボーカル!でした。)

 さて、このトリオ第1弾LP『星降る街角』ですが、以下に収録楽曲を記載しました。

A面
1.「星降る街角」
2.「わたし祈ってます」
3.「心のこり」
4.「許して下さい」
5.「津軽海峡・冬景色」
6.「雨やどり」
B面
1.「昔の名前で出ています」
2.「青春時代」
3.「一年待ちました」
4.「君に捧げるほろ苦いブルース」
5.「失恋レストラン」
6.「フィーリング」
リードボーカル:森本英世(A-1~5、B-1~4、6)、篭島敏男(A-1、6、B-2,5)


 彼らのセルフカバーや演歌系のカバーもありますが、当時流行していたポップス路線の曲もいくつか収録されています。


 A面1曲目はユニオン時代に鳴海たかし氏のリードボーカルでリリースした『星降る街角』を森本氏、篭島氏のツインボーカルでセルフカバーしたもので、一般的にはこちらが有名なバージョンでしょう。

 『わたし祈ってます』もセルフカバー。74年発売バージョンと比べるとアレンジもボーカルもややソフトな感じに仕上がっています。

 A面6曲目『雨やどり』とB面5曲目『失恋レストラン』は篭島氏のリードボーカルもの。彼特有のハイトーンボイスが堪能できる稀有な楽曲。

 B面2曲目『青春時代』は、オリジナルのトップギャランより幾分テンポは落とし気味ですが、『星降る街角』に続く森本+篭島コンビによるツインボーカルが◎。

 B面6曲目『フィーリング』は、森本氏の本領発揮といった感じで、優しく甘いムードたっぷりに歌い上げています。まさに森本英世氏にぴったりの楽曲に仕上がっていると思います。


 これだけの名盤名作なのですが、残念ながらトリオ時代の音源はなかなかCD化に恵まれません。この作品もいつの日か再販されることを切に願って止みません。





黒沢明とロス・プリモス、唯一(?)かと思われるテレビドラマ出演作

 黒沢明とロス・プリモスはデビュー当初はクラウンレコードに在籍していましたが、1970年代はビクターレコードに移籍し活動していました(後、再びクラウンに戻りますが)。

 そのビクターレコード移籍第一弾として1969年8月5日にリリースされたのが『夜霧のインペリアル・ロード』だったのですが、実はこの発売直後にロス・プリモスはとあるテレビドラマに出演していました。

 それは、1961年から1977年までNET(現:テレビ朝日)系で放映されていた刑事ドラマ『特別機動捜査隊』の第407話「雨の中の女」です。



 この「雨の中の女」が放映されたのは1969年8月20日。『夜霧のインペリアル・ロード』の発売が1969年8月5日。どういう経緯でこの番組に出演することになったのかは不明ですが、レコード発売からそれほど間を置かずに放映されていますので、ビクター移籍第1弾レコード発売としてのキャンペーンの一環だったのか?と思わずにはいられません(^_^;)。

 「ドラマ出演」といっても特に話に絡むことは無く、またセリフも無く、ただクラブの歌手として歌っているシーンのみでした。(この歌の時もレコード音源に合わせた口パクではありましたが・・・(;^_^A)。しかしながらビクター期の動くロスプリの貴重な映像には間違いないでしょう。

 ではどんな感じに出演していたかのか見てみましょう。



 まず、ロスプリが唄ってるクラブの名前が「クラブ・インペリアル」です(^o^;)。このシーンから『夜霧のインペリアル・ロード』のイントロが流れてきます。「何か聴いたことあるメロだな」と初見の時は思いました。

 場面が変わるといきなり森聖二氏のアップです。「♪とおきょっ あかりは♪」と歌いだします。これを最初見たときは驚きましたね~。

 続いてメンバー全員のショット。

 コーラス隊の皆さんのショットから・・・

 再びメンバー全員のショットへ・・・。

 「♪あ~わ~い~夜霧の~ インペリアルロ~ぉド~♪」と森聖二節が冴えわたっています(レコード音源ですが・・・(;´▽`A``)。

 エンドテロップでは「特別出演」として名を連ねていました。


 この『特別機動捜査隊』では、よく当時(大半が無名)の歌手を実際の名前でキャバレー、スナック、クラブの歌手の役として出演させておりました。
 ムードコーラスグループでは、東映チャンネルの放送で確認できたのは東芝の花菱エコーズというグループも出演していました(ただしクラブではなく団地内の広場か公園で歌ってるシーンでしたが・・・(;^_^A)。
 
 無名歌手の登場が多い本作でこのロスプリは出演は意表をつかれました。どうせなら、レコード音源の口パクではなく、本作のために歌った『夜霧の~』を聴いてみたかったという思いが一ファンの私としてはありますが・・・。

 しかしながらロスプリは当時こんな感じで夜のお店とかで歌ってたのかな?なんて想像を掻き立てられる貴重なシーンでした。


名優が唄った隠れたムード歌謡の名作 天知茂『なごやブルース』



 昭和を代表するハードボイルド俳優(と、個人的には思っております(^_^;))、天知茂氏の1981年にリリースされたレコードです。

 天知氏はウィキペディアによると、1964年~1968年にはレコードを既に何枚かリリースされていましたが、本格的に歌手として認知されたのは、1973年に放映が開始された「NET(現:テレビ朝日)+東映制作」による刑事ドラマ『非情のライセンス』の主題歌・『昭和ブルース』のヒットからだと思います。
 『昭和ブルース』のヒット以降、天知氏はポリドール(現:ユニバーサルミュージック)から10数枚のシングル、LPも8枚ほどリリースしております。

 さて、この『なごやブルース』(作詞:桜井幸介 作曲:土田啓四郎 編曲:京建輔)は天知氏の出身地・名古屋を舞台にしたムード歌謡です。
 
 メロディは甘いムード歌謡調なのですが、歌唱ご本人のキャラクターが歌にも出ており、全体的に甘さが薄らぎ、渋~~いムード歌謡となっております。
 
 3コーラス編成の楽曲で、「広小路」、「栄町」、「今池」、「東新町」、「納屋橋」、「柳橋」と名古屋の繁華街などの地名が登場します。

 名古屋には札幌、東京、大阪等と比べ、大ヒットしたムード歌謡はこれと言って無い印象ですが、こういう隠れた名曲が埋もれているので油断なりません。

 この曲は残念ながら天知氏のベストアルバムCDには収録されておらず、恐らくこのレコードのみでしか聴く事の出来ないものと思われます。

中川博之氏楽曲紹介48 黒沢明とロス・プリモス『涙とともに』




 50周年!

 1966年4月1日。ちょうど50年前のこの日、中川博之氏は『涙とともに』と『ラブユー東京』の2曲で歌謡曲の作曲家としてデビューを果たし、その第1号歌手としてレコードデビューしたのが黒沢明とロス・プリモスでした。

 本来ならこのような超メジャー曲はこのブログではあまり扱わないのですが、50年という節目を(勝手に)記念して今回はこのデビュー盤について記事にしたいと思います。

 なお、以下に紹介する出来事は1999年放送の「中川博之の歌は国境(おか)を越えて」というラジオ番組で中川氏ご自身が語られていたものです。


 まずは当初はレコードのA面だった『涙とともに』。

 中川氏とロスプリの出逢いは、まだロスプリが無名の時代、銀座のキャバレーでラテン音楽を中心に歌ってた頃。中川氏の当時の下宿先の大家の娘さんにキャバレー「銀巴里」に連れられて、紹介されたのがきっかけだったそうです。

 楽屋に行くと当時のマネージャーが、ロスプリのためのオリジナル曲の制作を中川氏に依頼。中川氏は当時はCMソング作曲家ではありましたが、ほとんど無名に近い立場。ロスプリと共にこれからの売り出し方等を色々模索していきます。そこに加入したのが森聖二氏(それまでは大川公生氏がリードボーカルをとっていました)。ここでロスプリサウンドが決定的に固められたと言っていいでしょう。

 そんなある日中川氏は当時のマネージャーやスタッフと共に、お酒を飲んで部屋の電気を消し、スタッフが即興で詩を作り、それに中川氏がアドリブでメロディをつけるということをやっていました。そしたら意外にも良い曲が出来、それをロスプリのテーマとして歌わせることにしました。その曲が『涙とともに』でした。

 実際にステージでこの曲を歌うと大変評判が良く、中川氏はビクターレコードに売り込みに行きますが、当時は和田弘とマヒナ・スターズがいたため、レコーディングに踏み切ってくれなかったそうです。

 次に創立間もないクラウンレコードに中川氏は売り込みに行きます。そこで出会ったのがムード歌謡等洒落た音楽に理解があった当時のディレクター牛尾真造氏。ここでやっとレコーディングが実現されたわけです。


 ちょっと長くなりましたので、『ラブユー東京』はまた次の記事でご紹介したいと思います。

中川博之氏楽曲紹介49 黒沢明とロス・プリモス『ラブユー東京』



 前回の記事では中川博之氏歌謡曲作曲家デビュー&黒沢明とロス・プリモスレコードデビュー50周年と勝手に記念し、『涙とともに』にまつわるエピソードをご紹介しました。

 今回は『涙とともに』のB面に配された『ラブユー東京』をご紹介いたします。以下にご紹介するエピソードは、ラジオ・「中川博之の歌は国境(おか)を越えて」とNHKFMで1997年か1998年頃に放送された「私の歌心の歌」にて中川博之氏ご自身が語られたものを元に書いております。


 中川博之フリークの方ならご存知のエピソードですが、『ラブユー東京』はロス・プリモスのために書き下ろされた作品ではなく、あくまでストック作品だったもの。

 中川氏が何度目かの恋の後失恋をし、傷心を抱きながら下宿の2階の出窓に座って何を思うことなくギターを弾いていたそうです。すると下の露地で子供たちがシャボン玉遊びをしていて、そのシャボン玉が中川氏の目の前で割れていきました。そこで中川氏は無意識のうちに以下のフレーズがメロディとともに一気に頭の中に浮かんだのだそうです。

「♪七色の虹が 消えてしまったの シャボン玉のような あたしの涙♪」

 
中川氏は慌ててスケッチを入れ、後に構成などを行い曲を整えます。こうしてできたのが『涙の東京』、レコード化の際に『ラブユー東京』と改題される、ムード歌謡を代表する1曲が誕生しました。

 『涙とともに』と一緒にこの『ラブユー東京』もデビュー前のロスプリモスにステージで歌ってもらい、『ラブユー東京』の評判も良かったようです。

 そして1966年4月1日念願のレコード発売に至りますが、ヒットするまでの道のりも苦労の連続だったようです。

 まだ無名の作曲家と歌手ということもあってか初回プレス枚数はたったの500枚。そのためロスプリのマネージャーは有線放送に自分は勿論、お店のお客さんに頼みこんでロスプリの曲のリクエストをしてもらったりしてたそうです。

 また、中川氏はCMソング作家時代から親交のあった内田康夫氏とともに、毎週月~金の午前0時からの5分間のラジオ番組制作に携わります。

 その番組はロスプリのメンバーが毎日交代でおしゃべりをし、売れてる曲をかけるという構成の番組だったのですが、ここでロスプリの曲を流します。

 当初はラジオ局の営業から「何で知らない曲をかけたんだ!」とクレームが来ましたが、サクラのハガキを見せて「こんなにリクエストがきてるんだ」と言って説得したりしたそうですが、そのうち本物のリクエストハガキが来るほどの反響を呼び、1966年の暮れごろからレコードも売れ行きを伸ばし始め追加プレス盤を作るまでに至ります。(この時に『ラブユー東京』をA面扱いしたジャケットに切り替わります)


 このような紆余曲折を経て生まれた『涙とともに』『ラブユー東京』。あれから50年の歳月が流れてしまいましたが、今もなお歌い継がれてる作品で、まさに永遠の名曲の名に相応しい楽曲であります。





【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号:CW-460
発売日:1966年4月1日
A面 『涙とともに』 作詞:木村伸 作編曲:中川博之
B面 『ラブユー東京』 作詞:上原尚 作編曲:中川博之

中川博之氏楽曲紹介50 松平直樹・櫻井まり『愛をありがとう』『ふたりのトーキョー』



 2009年に中川博之氏作曲生活45周年記念CDとして中川氏ご自身が歌われ、リリースされた『ソウル・愛ふたたび』のカップリングに配されていた『愛をありがとう』。

 中川氏の三回忌(2016年6月11日)をめどにして、この『愛をありがとう』を複数の歌手によって競作という形でCDを発売するという企画。その第一弾として4月6日にリリースされたのが、松平直樹&櫻井まりのコンビによるバージョンです。

 松平氏は名門・和田弘とマヒナ・スターズのオリジナルメンバー。中川氏から提供を受けたオリジナル作品は、マヒナ脱退後に結成した松平直樹とブルー・ロマン時代に『幸せになってね』(後の『わたし祈ってます』)を1970年と1972年の2度リリース(1972年バージョンではB面『銀座のクラブをやめてから』も提供されています)。その後1975年に『生きてゆきます』とB面曲『男嫌い』の2曲の提供を受けています。
 そんなわけで松平氏にとっては、今回は約40年振りにリリースされた中川作品ということになるでしょうか。

 さて、松平&櫻井コンビによる『愛をありがとう』。
 アレンジは中川博之バージョンを踏襲しており、それほど曲の雰囲気・イメージは変わっていません。櫻井氏は松平氏とはラジオの共演がきっかけで、ともに音楽活動をされてこられた方だそうです。そのため、二人のデュエットもいい塩梅でムードも良い感じです。

 カップリング『ふたりのトーキョー』。
 こちらは中川氏の未発表曲だったものと推察されます。大変軽やかなリズムの曲で、『たそがれの銀座』的な雰囲気を持ち合せた楽曲です。
 東京都内をデートするカップルを歌った曲で、「西麻布」、「六本木」、「乃木坂」、「赤坂」と言った場所が登場します。
 こういう良い曲がまだ埋もれていたのかと思うと一ファンとしては、未発表曲をこれからも発掘していただきたいと切に思うのであります。


【CDデータ】
レコード会社:日本クラウン
CD番号:CRCN-1954
発売日:2016年4月6日
トラック1:『愛をありがとう』
トラック2:『ふたりのトーキョー』
両曲とも 作詞:高畠じゅん子 作曲:中川博之 編曲:池間史規


*上記データは中川博之氏作品リストま行歌手編にもアップします。

ちょっとインパクトのあるムードコーラス 『あなた以外はみんなバカ』



 CDBOX『ムードコーラススペシャル~秘密のカクテル~』にも収録されている『あなた以外はみんなバカ』(作詞:西沢爽 作編曲:荒木圭男)。ジョーヤ増渕とアフロ・アミーゴスというグループが1969年にリリースした曲です。

 タイトルのインパクトがあり目を引くレコードですが、ヒットは・・・しなかった模様です。

 曲の内容はタイトルからも推察できるかと思いますが、主人公の女性が一人の男性にとことん惚れておりまして、その男性以外は全てバカだと歌っております。(゜д゜;) 結構ストレートな曲です。

 「♪雨が降ってもかまわない 車なんかはほしくない♪」
 「♪なぜか散りたい つまれたい 女ごころをさっしてね♪」


 こんな調子の歌詞が4コーラス続きます。(;^_^A

 メロディはお座敷で唄われるような小唄ものの楽曲になっています。この小唄の曲調がこの曲を艶っぽいものにさせており、色っぽい雰囲気を漂わせています。

 また、リードボーカル(どなたかは不明)もやけに色っぽい唄い方です。特に「♪あなった以外は みん~なっぁ~バっカ~~~ン~~♪」というところが非常に印象に残ります。(;^ω^A 聴けば聴くほどクセになってしまいそうな曲です。

 このグループはラテン音楽がベースのバンドで、その演奏は大変なものらしく、彼ら自身が演奏しているインストルメンタルのLPレコードも何枚かあるそうです。機会があれば一度聴いてみたいものであります。
 
Viewing all 783 articles
Browse latest View live


<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>