「スクショ」が商標登録されてしまっている件の弊害と対応について
「スクショしよ」という名称のLINEスタンプが登録商標を含むことを理由にリジェクトされたというXの投稿がありました。おそらく、最初の自動スクリーニングでリジェクトされただけなので、今後人力で審査をすれば(あるいは権利者が承諾すれば)承認されるのかもしれません。
商標法の規定として、商標権は普通名称や記述的商標(商品やサービスの特性を表すにすぎない商標)の通常の使用には及びません。「スクショ」はスクリーンショットの略語として現在では定着していますので、その意味で「スクショ」を使う分には商標権が及ぶことはありません(権利者に訴えられる心配をする必要はありません)。とは言え、こういうチェックに引っかかってしまうとちょっと面倒ですね。
では、今から、この商標登録を無効にできるのでしょうか?結論から言うと無効化は事実上不可能です。
商標法の規定上、(指定商品や役務から見た)普通名称や記述的商標は登録できない(拒絶される)のですが、登録時点では普通名称・記述的商標ではなかったが、その後に普通名称化・記述的商標化した場合には無効にできません。また、そもそも、この商標登録の指定役務である「ウェブサイトの作成又は保守」等に対して「スクショ」が普通名称あるいは記述的か否かは議論の余地があるところです。
登録時点で既に普通名称化・記述的商標化していたが、審査官が見落として登録査定を出してしまった場合には無効にできますが、それができるのは登録から5年経過後までです。それ以降は一種の時効(除斥期間)により無効にできません。この商標は2015年6月に登録されているので、登録査定の時点で普通名称・記述的商標だったという理由ではもはや無効にはできません。
権利者がこの商標権で権利行使するとは思えませんし、前述のとおり、「スクリーンショット」の略称として使用する分には商標権は及びませんのであまり心配する必要はないのですがちょっと落ち着かない状況ではあります。
さらに言うと、「スクショ」のように普通名称化していることが明らかであればまだ良いのですが、普通名称化しているかどうかはっきりしない(裁判をしてみないとわからない)という商標であるとさらに落ち着きません。しかし、これは、現在の商標制度ではどうしようもない問題ではあります。