【第35回】<補適法第23条解説>「実地検査」は絶対ではない―“行政の限界”と違法な立入検査の見分け方
✅ 「検査に来たから何でも見せなきゃ」は誤解です
補助金を受けた事業者に対して、ある日突然、
「行政職員が来て、立入検査を行います」と言われたとします。
あなたならどうしますか?
・事業に関係ないものも含めて全書類をその場で提示?
・写真撮影もOK?
・調査員が私物やPCを触っても黙認?
実はその対応、法律に照らすと間違っている可能性があります。
✅ 補助金等適正化法 第23条とは?
この条文は、行政が補助金支出の適正性を確保するために、
「報告」「立入」「検査」「質問」を行う権限を定めています。
📌【第23条】
各省各庁の長は、補助金等に係る予算の執行の適正を期するため必要があるときは、
補助事業者等や間接補助事業者に対して、報告・立入・帳簿書類等の検査・質問を行うことができる。
✅ これは“行政調査”であって、“捜査”ではない
法律上、補助金に関する立入検査は「行政調査」に位置づけられ、
次のような**明確な制限(限界)**があります。
ポイント
❌ 犯罪捜査に使ってはならない→ 第23条3項が明示的に禁止。令状なき捜査ではない
❌ 相手の同意なく強制できない→ 抵抗を排除する物理的強制はNG(即時強制に該当しない)
❌ 身分証を提示しなければ無効→ 要求があれば必ず提示義務あり(第2項)
❌ 必要最小限であること→ 質問・撮影・検査は“過剰でないこと”が原則(比例原則)
つまり、補助金の実地検査といえども、
**「好き勝手に調べられるものではない」**というのが本来の法律の立場です。
✅ 立入検査の「ルール」と「限界」
法的に認められる立入検査には次のような条件があります:
目的 補助金の適正な執行状況を把握するために限る
(例:精算確認、財産確認など)
対象 補助事業者または間接補助事業者に限定
(外部委託先や一般顧客は対象外)
方法 必要最小限の立入り、帳簿閲覧、関係者への質問に限る
義務 職員は身分証を携帯・提示しなければならない
禁止 相手の同意なく実力行使や即時強制はできない
(鍵をこじ開ける、無断撮影など)
✅ 検査官にもルールがある。「調査だから何でもOK」ではない
学説や判例でも、以下のような見解が示されています:
「即時強制や令状なしの捜査的行為は、違法性を帯びる」(塩野宏『行政法』)
「立入検査は補助金目的の範囲に限られ、相手方の同意なしに物理的強制を行うことは許されない」(兼子仁『行政法総論』)
つまり、事業者には「受忍義務」がある一方で、
検査官側にも厳格な行動ルールがあるのです。
✅ 実地検査で「やってはいけない」行政の行為例
補助金等適正化法の趣旨を踏まえると、以下のような対応は違法または逸脱の可能性があります:
🔴 「協力しないと補助金が止まる」などの脅し
→ 職権濫用・不当干渉に該当。刑法上の違法性も。🔴 個人用PC・スマホの閲覧・撮影要求、またはログインパスワードの要求
→ 必要最小限を超え、私権侵害や個人情報保護法、不正狭小防止法違反の可能性あり🔴 根拠を示さず“すべての取引履歴”を要求
→ 行政調査の限界(濫用の禁止)に反する🔴 書面ではなく“口頭で事実認定”してしまう、一方的な録音をする
→ 記録性・説明責任に欠け、後の処分に使えない場合も
✅ 当社が受けた「実地検査」の違法性とは?
実は私たちも、過去に補助金事業における実地検査で
明らかに補助金等適正化法第23条の限界を超える調査を受けました。
具体的には:
”中小企業庁の職員”(しかも某中国地方の市役所からの出向地方公務員であり、事務作業の補佐しかできないはず)が、売上の実態があるかどうかをテナントオーナーに確認すると告げる
”中小企業庁の職員”が、「協力しないなら取消になる」と告げる
”中小企業庁の職員”が、一方的に録音をしてこちらには録音をするな、するなら検査妨害とすると威圧
補助事業に関係のない範囲の総勘定元帳や通帳のスキャンの徴求
質問の意図や範囲を説明しない、さらには従業員の発言していない内容を報告(=虚偽報告、公文書偽造の疑い、しかも同行した中小企業庁、中小機構の職員も承認した)
こうした行為は、明らかに補助金行政における「調査の正義」から逸脱していました。
私たちはその後、あまりにも異常な検査でしたので弁護士を通じて抗議し、その後のやりとりを一任して記録化に努めました。
✅ 今後、実地検査がある方へ:重要ポイント5つ
身分証明証の提示を求める(必ず確認してください)
調査目的・範囲の明示を求める(何のために何を調べるのか)
過剰な撮影やデータ閲覧には同意しない(必要最小限を超えたらNO)
議事録や録音を残すことを検討(後日の証拠化のため)
疑問点は事前に専門家へ相談(法律上の制限があるため)
✅ まとめ:「調査」とは、行政のためであり、事業者を痛めつけるためではない
補助金等適正化法 第23条は、
補助金が適正に使われたかを確認する“監督権限”を定めた条文です。
しかし、そこには明確な限界と要件があり、
行政の立入検査は「何でもできる魔法のチケット」ではありません。
だからこそ、調査に臨む事業者にも「守るべき権利」があるのです。
📢「調査される側」であっても、あなたには知る権利と守る手段があります。
Q1: 実地検査で「補助金事務局の者です」と言って現れた場合、どのように確認すればよいですか?
→ 必ず「身分証明書(証票)」の提示を求めましょう。補助金等適正化法第23条第2項により、職員は証票を携帯・提示する義務があります。
Q2: 調査中に写真を無断で撮られたり、デジタルデータの複製を要求されたらどう対応すればいいですか?
→ 「目的との関連性」を確認し、「記録として理由と対象を明示してください」と返すのが適切です。無断複製は拒否可能です。
Q3: もし違法な調査があったと思ったら、どこに申し立てればよいですか?
→ 中小企業基盤整備機構、中小企業庁庁、または第三者通報制度(内部通報制度)があります。また、必要に応じて弁護士と連携し、行政不服審査や報告義務違反として異議申立ても可能です。
Q4: もし補助事業に関係のない質問や既存事業との併用をしていると誤って言わせるような質問をされたら?
→ 「拒否」するのではなく、「確認のため保留したい」と冷静に対応。
また場合によっては、その場で警察や弁護士を呼ぶことも可能性として合ってもよいかもしれません。
📢 実地検査が入ると連絡を受けた方へ
「どこまで見せなきゃいけない?」
「同行者や弁護士をつけるべき?」
「違法な振る舞いにどう対応すべき?」
こうした疑問に、私たちは過去の対応経験をもとにサポートできます。
行政の誤った調査から、あなたの事業を守るためのアドバイスをいたします。
「調査は受ける。でも、不当には従わない。」
それが、補助金行政における正しい“付き合い方”です。
ご希望があれば、当社では、
「立入検査対応マニュアル」や「質問時のチェックリスト」などの資料も併せてご提供できます。
同行している実地検査では相変わらず違法行為を行っており、これに基づいた不法な要求が行われる可能性があります。
「行政監視」は重要です。
必要でしたらお気軽にお申し付けください。


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