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2025年4月22日火曜日

カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第44回 FT新聞 No.4472

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カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第44回
「商人」
(中山将平)
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 おはようございます。
 大阪万博に行ってきたイラストレーターの中山将平です。 
 見たいものが一通り見れましたし、実に楽しい経験でした。

 様々なコンテンツを見るうち、「物語の表現」というものについて様々な様態がありうることをひしひしと感じてきました。
 僕は「絵」や「漫画」、ゲ−ムブックやTRPGなどの「アナログゲーム」をその表現方法として使いがちなのですが、考えてみると手段は他にもたくさんあるはずです。
 それは彫刻や木彫りのような造形作品かもしれません。
 または、踊りや歌、演技のようなパフォーマンスかもしれません。
 朗読やトークショーのような様態を取ることもきっとあるはずです。
 もちろん、それらの合わせ技ということも多々あるでしょう。
 そもそもアニメや影絵、砂絵等々例を挙げ続けるなら枚挙にいとまがないと思います。
 
 実はこんなことを考えていたのは、「FT書房の作っている物語を表現し、紹介していくこと」について、様々な方法があるだろうといつも検討しているためです。
 表現方法は様々にあるのですが、考えれば考えるほど「方法ごとに得意不得意」が感じられるようにも思えてきました。
 僕がよく使う「絵」は、「一瞬で種類や魅力などの情報を伝える」ことはとても得意な一方、それだけで「時間の経過や多面的な出来事」を表したり「物事の内面の機微」を表すのは簡単ではないと感じています。
 これについてはあくまで自分の得意不得意もあるのだと思うのですが……。
 そういうわけで、この「表現方法」のうち特に「歌」について活用できないかと考えていました。
 短い時間で心に届きやすいと感じたためです。
 僕自身にはこの作成能力が全然ないので、どうしようかと悩んでいる現状です。
 読者の方が何かのアイデアを下さることも多々あるので、ひとまず書いてみました。

 さて、それはそれとして、今日のテーマは「商人」。
 ファンタジーのTRPGやゲームブックにおける「物売り」の存在について思うところを書いてみようと思います。
 というのも、実はカエル人のTRPGのシナリオを作成する際、僕はこの要素の細部に対してとても悩んだ経験があるのです。
 「商人って便利で楽しい存在だから、シナリオの中に1人くらい登場させたい!」と思っていても、それは簡単なことではなかったんです。
 なぜ、簡単ではなかったのか。
 そしてどう考えてその創作を行ったのか。
 
 それを書いてみようと思います。
 この記事が、ファンタジーを楽しまれている方にとって有益な物であれば幸いです。
 それでは、具体的に見ていきましょう。

◆ 「商人」を取り巻く違和感
 早速ですが、ダンジョンの中で出会う行商人に対し、僕は多くの場合違和感を捨てられずにいました。
 危険な場所で商いをすること自体はあり得ると思うのですが、「どうやって身を守っているのか」という問いが解決しないためです。
 より詳しく考えると、このことについて覚えた違和感は次の二つに分類できることに気づきました。

 ・ なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。
 ・ 商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか。

 それぞれについて、語ろうと思います。
 
◆ なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。
 まずは、「なぜ主人公たちは商人を襲わないのか。」ということについて。
 これは、そもそも襲うことができる前提がある場合も多いと感じています。
 そもそも冒険の中で出会う商人って、信用できるか怪しい場合も多くないでしょうか。
 商人と見せかけておいて、油断を誘い襲ってくる敵かもしれないはずです。
 そんな相手を判別できないなら、「怪しい」ということを根拠に相手を制圧することがそれほど不思議とは思えません。
 主人公側が重要な使命を帯びているなら、なおのことという風に感じます。
 そもそも敵の根城で商人と出会ったなら、その相手は「敵と商売をしている」「敵側の存在である」ことも大いにあり得るはずです。
 
 条件がそろっていた場合、実は「こちらから襲い掛かる」選択肢は最適解なのかもしれません。
 しかし、ここで忘れてはいけないのは「主人公たちがどんな存在であるか」という視点だと思います。
 主人公側が「正義」を掲げる存在であったり、ゲーム自体が「ヒロイック・アドベンチャー」なのであるならば、疑いが即攻撃になるのは速すぎる気がします。
 無垢な人物を信じ、尊重してこそ主人公たちはヒーローたりえるのではないでしょうか。

 一方カエル人のTRPGでは、主人公たちはケロナイツと呼ばれる「傭兵」や「用心棒」に近い立場です。
 彼らはカエル人のコミュニティの守り手でもあるため、旅の途中出会ったカエル人を「ただ疑わしいというだけで」攻撃することにはためらいがある設定です。
 しかし、相手が他種族であれば状況は違います。
 もしかしたら危険かもしれないと危惧される場合には、警戒心を持って商人とも向き合わなければならないわけです。
 
 そういうこともあって、カエル人TRPGのシナリオ内で出会う商人は非常に優秀な防御力と逃走力を持っていることが多くなりました。
 穴の中から出てきて、危険があれば素早く土中に撤退する「ホシバナモグラ人」の商人などがこれに当たります。

◆ 商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか。
 もう一つの話題、「商人は主人公たち以外からどうやって身を守っているのか」について。
 こちらについての一つの解は、先ほど話題に上げた「敵側の存在だから」というものが当てはまるかもしれません。
 少なくとも、敵側や「誰とでも」取引をするタイプの商人は周囲から保護されていても違和感はないように感じます。

 とはいえ、そのどちらでもない場合はやはり何か「特別な方法を用いている」と考える方が自然ではないでしょうか。
 例えば危険が迫った際に姿を隠すことのできる魔法や道具などの手段があるとか。
 常に巨漢の護衛と共に行動しているとか。
 
 商人をシナリオに登場させるとき、この部分は特別気を配りたいと感じていました。
 それは、その人物との「取引」そのものがどのような意味を持つか考えなければならないと感じたためです。

◆ まとめ
 この話は、実はそういった背景の細部が物語に命を吹き込むと感じる……というものでもあります。
 「神は細部に宿る」とよく聞きますが、作らなければ興ざめというものではなく、作ると心がアツくなるものを求めていきたいと願っています。
 
 それでは、今日はそろそろこのあたりで。
 よきファンタジー・ライフを。

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