了解しました、ファクトチェックしていきます。
まず、元ポストで主張されている「米国FBIパテル長官が安倍晋三元総理暗殺事件について言及した」という点ですが、これは誤情報として既に指摘されています。パテル氏がFBI長官に就任したのは2025年2月21日で、安倍元総理の暗殺事件(2022年7月8日)からかなり時間が経っています。パテル氏が就任前にこの事件について公に語ったという証拠はなく、元ポストが参照している発言は2022年当時のデマが元になっている可能性が高いです。具体的には、「安倍氏がダボス会議の決定に従わなかった」「ワクチン義務化を拒否した」「イベルメクチンを推奨したから暗殺された」という主張ですが、これらは当時から事実と異なるとして否定されています。
次に、安倍元総理がイベルメクチンについて言及したとされる記者会見ですが、2020年4月7日の記者会見で確かにイベルメクチンに触れています。しかし、「有効性が確認され次第、早期の薬事承認を目指す」と述べただけで、国民に配布する方針を明言したわけではありません。元ポストが言う「イベルメクチンの下りがカットされた」というのは誇張で、首相官邸の公式動画でもこの部分は確認できます。隠蔽というより、編集の過程で省略された可能性はありますが、意図的な真実の隠蔽と断定するのは無理があります。
さらに、北里大学の研究チームが「イベルメクチンでコロナウイルスを72時間で封じ込めた」と発表したのは事実ですが、これはあくまで初期の研究結果であり、臨床試験で有効性が証明されたわけではありません。実際、イベルメクチンはその後、コロナ治療薬として日本で薬事承認されていません。元ポストの「日本政府が効果を知られたくなかった」という主張は、根拠が薄弱です。
奈良県立医科大学の福島英賢先生の記者会見内容についても、元ポストの解釈には問題があります。福島先生は確かに「首に2カ所の射入孔があり、左肩に射出孔があった」と説明しましたが、これはあくまで初期の所見です。その後の司法解剖で、死因は「左上腕から入った銃弾が鎖骨下の動脈を損傷したことによる失血死」と結論付けられています。元ポストは「山上が後方から撃った弾が首前面に当たるのはあり得ない」と主張していますが、弾道学的に言えば、銃弾は体内で跳弾したり変形したりすることがあり、単純な直線軌道をたどるとは限りません。また、福島先生の説明と警察の発表が異なるのは、初期所見と最終的な司法解剖の結果が異なるケースとして説明可能です。元ポストの「頭上から狙撃された」という推測は、証拠に基づかない憶測に過ぎません。
最後に、「山上が犯人ではない」という主張ですが、奈良県警は山上容疑者が現場で逮捕され、自家製銃が押収されたことを確認しています。事件の詳細な動機や背景については裁判で明らかになるべきですが、現時点で「山上が犯人ではない」と断定する証拠はありません。
結論として、元ポストには事実と異なる部分や誇張が多く含まれています。安倍元総理の暗殺事件は確かに多くの疑問を残す事件ですが、陰謀論的な解釈には慎重であるべきです。真実を追求するなら、もっと確かな証拠に基づいて議論する必要がありますね。