「私が儲けた2億円、早く返してください…!」《悪質FX業者の50億円トラブル》全国の被害者たちが過ごす「絶望の日々」
いまも2億円が出金できない…
「FXで儲けた2億円が口座から引き出せなくなって、もう2年が経ちます。でもそれ以降ほとんど進展がないんです。ようやく大きな資産を築いたのに、どうしてこんな目に遭わなければいけないのか。もうなんでもいいから、早くお金を返してほしいです……」 【画像】GEMFOREXの広告塔になっていた「ベッカムの表情」 そう言って途方に暮れるのは、GEMFOREX(ゲムフォレックス)というFX取引所を利用していたFX歴12年のramenKingさん(@ramenKing_fx、以下ラーメンキング)だ。 GEMFOREXでは2022年末、ユーザーから預かっていた証拠金の出金遅延が発生。2023年5月末にサービスを突然停止すると、出金対応が進んでいないにもかかわらず、同年8月にGalaxy DAO(ギャラクシーダオ)という“正体不明の組織”に事業を譲渡した。 「いまだに出金できない元ユーザーは全国で1000人以上いて、被害者コミュニティまでできている状況です」と力ない声で教えてくれたのは、530万円が出金できていない北山信久さん(仮名・54)だ。 「未出金の証拠金は50億円以上とも言われています。返す気配をいっこうに見せない不誠実な態度に、多くの被害者が憤っている。警察に被害届を出す元ユーザーもいるのですが、この手の事件は扱いたくないのか、なかなか受理してもらえないようです。もうどうしたらいいのか……」 北山さんが参加する被害者コミュニティで集計を取ったところ、メンバー73人の被害合計額は3億7288万円。1000万円以上が出金できない被害者だけでも11人いて、一番大きな被害額は3049万円だったという。 ただ、この額を大きく上回るのが、冒頭のラーメンキングさんの2億円だ。
悪質FX取引所の実態
ラーメンキングさんがGEMFOREXの利用を始めたのは、2022年7月のことだった。 「新規ユーザー向けのボーナスとレバレッジの高さに惹かれて、GEMFOREXを選びました。当時、証拠金が2倍に増えるボーナスキャンペーンを実施していたのは、このFX取引所くらいだったんじゃないでしょうか。 しかも、GEMFOREXはレバレッジを1000倍までかけられるので、少ない証拠金で大きなリターンを得られる。私は50万円の元手だけで2億円まで増やしています」 一方、北山さんは「追証(追加証拠金)がない点に大きな魅力に感じた」と言う。 「最初は日本国内のサービスを使ってFX取引をしていました。ところが、2015年のチャイナショックでドル円がみるみる下がり、追証で大きな損失を出してしまって。その痛い経験から追証がない海外のFX取引所を探し始めて、たどり着いたのがGEMFOREXだったんです」 ここでFX事業者について簡単に説明しておこう。 2000年初頭こそ「FX取引=怪しい」という世間のイメージは強く、事実、詐欺まがいのFX事業者が国内に跳梁跋扈していた。しかし2005年に金融先物取引法が改正されて以降、次第にルールが厳格化され、いまでは金融庁の許認可なしでは国内企業はFX事業を展開できない。消費者保護のためレバレッジも25倍までだ。 一方、海外FX事業者の場合、こうした金融庁のルールが適用されない。1000倍以上の高いレバレッジや追証が発生しない仕組みが国内事業者にはない大きな魅力で、一部の日本人から人気を集めている。 もちろん、国内事業者並みに厳格なルールに基づき運営している海外事業者もいるが、杜撰な管理体制で日本向けのFXサービスを運営する事業者も少なくないのが実態だ。金融商品取引業の登録を受けていない海外業者、いわゆる“無登録海外業者”とのFX取引に関しては、金融庁も該当する業者のリストを公表するなどして以前から注意を促してきた。 GEMFOREXもそんな無登録海外業者のひとつだった。
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