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ヤンタン復活の立役者が語る、“ラジオで輝く人”の共通点

Radiotalkを陰で支える運営スタッフにスポットを当ててお送りしているインタビューシリーズ。今回は、MBSラジオプロデューサーでありRadiotalk株式会社の取締役も務める髙本慧のインタビューをお送りします。

関西エリア2府4県をサービスエリアとするMBSラジオでプロデューサーを務める髙本は、『Aマッソの両A面』『橋本愛の、今ここにしかないどこかへ』などの立ち上げを担当。今年10月からリニューアルした“ヤンタン”こと『MBSヤングタウン』(毎日22:00〜)では、22年ぶりの帯放送復活の立役者の一人でもあり、Radiotalkでも芸能人や話題の人物を起用したオリジナル番組を多数仕掛けています。

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世に放つラジオプロデューサーとして、いま考えていることとは。しゃべり手の才能を発掘する人間として、いま「ラジオに出したい」と思う人の条件とは──。髙本のラジオに対する思いをふくめ、じっくり話を聞きました。

(取材・文:天谷窓大

【髙本慧(たかもと・けい)プロフィール】
2014年、株式会社毎日放送入社。テレビ制作を経て、同社ラジオ局(現・株式会社MBSラジオ)に配属。2018年、社内のビジネスコンテスト入賞をきっかけにRadiotalkへの出資と業務提携が決定。現在はMBSラジオでプロデューサーとして勤務しながら、Radiotalk株式会社の取締役も務める。
https://twitter.com/takamotombs

「ビジネスマン」として入ったラジオの世界

──まずは最初に、髙本さんのラジオマンとしてのキャリアを詳しく聞かせてください。

髙本:最初に担当したのはラジオ営業でした。MBSラジオは西日本で開催される競馬中継を取りまとめていて、どこの競馬場で行われる第何レースを福岡のこの放送局に割り振って、ここの競馬場で行われるレースの音声素材を広島のこの放送局に送って、というように、中継音声の手配や中継権の分配や、その他CM枠の管理などを行っていました。

あとは、MBSラジオの看板パーソナリティである浜村淳さんとのコラボ商品開発も担当しました。浜村さんと開発した恵方巻を地元のダイエーで店内販売したり、「コンちゃん」の愛称で親しまれる近藤光史さんとローソンのタイアップ商品を作ったり……。

──ラジオマン、というとスタジオで仕事をするイメージがありますが、髙本さんの場合は「番組ビジネス」を手掛けるところから入っていったのですね。

髙本:まさに、ビジネスを担当する部門からラジオの世界に入ったからこそ、得られた視点は大きかったですね。

スタジオでの仕事については、テレビの制作を担当していた時期があったので、そのころのノウハウが活きたところが大きくて。その後、ラジオに配属されてから、プロデューサー的なノウハウを学ばせてもらいました。

ラジオプロデューサーとはどういう仕事なのか

──テレビプロデューサーの仕事はメディアでもさまざま見かけるようになりましたが、ラジオプロデューサーの仕事というのは世間一般にもまだまだ知られていないように思います。具体的にラジオプロデューサーとはどんな仕事をしているのでしょうか。

髙本:一言でいうと、プロデューサーとは「番組の最高責任者」。番組が立ち上がるのも終わるのも、プロデューサーの手腕ひとつなんです。番組によってはあらかじめ放送期間が決まっているものもありますが、基本的には番組をどう始めるか、どう終わらせるかという直接的な判断は、プロデューサーが下しています。

──プロデューサーとは、番組の命綱そのものを握る仕事なのですね。

髙本:そうですね。ラジオプロデューサーとは、あらゆる要因から番組を守りながら成長させていく立場です。

──具体的には、どういったものから番組を守っていくのでしょう。

髙本:番組によって、何を守らないといけないかは結構違ってきて。ただ、「この番組は何のためにあるのか」ということは、どの場合においても共通して意識しなければいけない部分ですね。

──いっけんシンプルなようで……

髙本:「聴取率はそんなに高くないけれど、利益率がすごい」という番組もありますし、逆に人気番組なのに、終わってしまう番組もあります。問題なのは、「人気番組」とされる番組の「人気」とは、具体的にどのような指標で測っているのかということなんですね。「どの界隈にどう人気の番組なのか」と。

スタッフや出演者に対して報酬を支払うのは当然のことなのですが、いくら番組そのものが盛り上がっていたとしても、ビジネスとしてちゃんと回っていなければ、誰かが我慢をすることになってしまう。そうなると、遅かれ早かれ絶対にガタがきて、終了につながってしまうんです。

──番組のビジネスモデルを考えることも、プロデューサーの大事な仕事なのですね。

髙本:はい。もっとも大事なのは、参加する関係者全員がちゃんとメリットを感じられる設計にすることだと僕は思ってます。

プロデューサーの仕事のなかでは、番組の立ち上げがもっとも大変ですね。いつ番組を立ち上げるかというタイミングが一番難しくて。このあたりのプロセスというか、仕切り方にすべてがかかっているといっても過言ではありません。さらにそこから、何をどう改善していったら番組がリスナーさんにとって嬉しくて、人気になって、利益が出て、長期的に続いて、放送局も嬉しいのかを考えていきます。

個人的には、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』は、Creepy Nutsを始めとするパーソナリティ陣のイベント開催などを大事にされているのだろうな、と感じています。レギュラーの番組スポンサーがガッツリつくということがなかなか難しい時代において、何をモチベーションにしてどんな座組の番組を作るか、ということが、プロデューサーの役割としては非常に求められていると感じます。

「ヤンタン復活」の舞台裏

──今年10月から『ヤンタン』が月〜日の帯番組として復活しましたが、そのキッカケを作ったのは髙本さんだと聞きました。その背景を、ぜひ教えて下さい。

髙本:勿論僕一人で何かをやり遂げた訳ではなく、あくまでキッカケになったに過ぎないのですが。ことの発端は、2018年の8月にさかのぼります。ヤンタン50周年を記念して、明石家さんまさんがパーソナリティを務める『MBSヤングタウン土曜日』(毎週土曜22:00〜)の公開収録をユニバーサル・スタジオ・ジャパンで行いまして。僕が担当者としてゼロから立ち上げをした初めての大型企画だったんです。

当時はラジオの営業を担当していましたが、ある日「ヤンタンって、いつ始まったんだろう」と考えたことがあって。調べてみると、来年50周年だと。でも、あまりそれが社内認知されていなくて。編成や制作に「ヤンタン、来年50周年です。何かやりませんか」と持ちかけてみたところ、「いいね、なんかやろうよ」と賛同してくれて。

「じゃぁ、何ができたら楽しいかな」と、自分なりに考えて。「やっぱり大阪の放送局だし、さんまさんとUSJで公開収録できたら楽しいんじゃないか」と。これがちょうど2017年のことだったのですが、そこから1年間、これを実現するためにめちゃくちゃ準備して。さんまさんをはじめ、吉本興業やUSJなど、いろんな大人がめちゃくちゃ動いてくれた結果、実現することができて、これがのちの「ヤンタン復活」の布石となりました。

──そんなドラマチックなきっかけだったとは……。

髙本:これをきっかけに、「『ヤンタン』ブランドをもうちょっと復権させてもいいんじゃないか」という流れになり。その後2019年に、編成会議の席で「ヤンタンを帯で復活しませんか」という提案をしたという経緯です。

──まさに「ヤンタン復活」のキーマンが、髙本さんだったと。

髙本:まぁあくまでもキッカケの一人という感じですが。それはともかく、そこから新しいヤンタンのメンツをどう決めていくか、ということをこの2年間、ずっと練り続けてきました。

──現在のヤンタンの布陣は、どのようにして決まったのでしょうか?

髙本:ヤンタンの大沼耕平プロデューサーを筆頭に「チームMBSラジオ」ということで、営業、編成、制作ふくめて「新生ヤンタンのパーソナリティは誰がよいか」という話をして。いろんな事務所さんとも交渉をした結果、オーイシマサヨシさんと若月佑美さん、工藤遥さん、Aぇ!groupさん、そしてかねてから『Aマッソの両A面』を担当していたAマッソさんという布陣が出来上がりました。

──この2年間、山之内すずさんや橋本愛さん、鞘師里保さんなど、さまざまな芸能人の方がMBSラジオで冠番組を担当してきました。この一連の流れも、ヤンタン新メンバーの起用を想定した流れだったのでしょうか。

髙本:やはりラジオ局として新しい才能を探さなければ、ということで、ヤンタンとはまた別に、いち放送人として「この人と番組をやってみたい」という人たちと、さまざまな番組をMBSラジオでやらせてもらったり放送枠がないときにはRadiotalkのライブ配信で番組を始めてもらったりしていました。

いろんなタレントさんがラジオでしゃべったらどうなるか、この人がラジオをやったらどうなるか、ということは、いまも毎日ずっと考えていて。それぞれ番組テーマも作り方も全然違いますが、どこかで「この人でヤンタンいけるか」という気持ちはずっとありましたね。

「心が優しい人としか、番組をしたくないんです」

──Aマッソについては、月1回で放送されていたレギュラー番組からの「昇格」となり、番組メールアドレスも前番組のものがそのまま使われていますね。前番組を含め、起用にいたった経緯を教えて下さい。

髙本:もともとコンビとしてのAマッソが大好きでして、注目していたんですが。調べてみたら、まだどこも地上波でレギュラー番組やっていなかったので「これは今相談するしかない」と思って事務所にご連絡させて頂きました。

──ブッキングにあたって、Aマッソにはパーソナリティとしてどんなことを期待していましたか?

髙本:別に単純に面白いお便りやコメントがラジオにおいての絶対正義ではないと思ってまして。全然筋の違うお便りやコメントが来ても「いやそういう事じゃない!」とツッコミで成立させる優しさというか…。そうした役目を、まさにAマッソのふたりには期待していました。

僕、心が優しい人としか番組をしたくないんです。口調とか、そういう表層的な意味ではなく、根本の部分で。「この人、人として冷たいな」と思う人とは、絶対にラジオをやりたくないんです。

やっぱり僕としては、自分が聴きたいと思うものとか、人の優しさを大事にしたいなと思っていて。なので、起用にあたっては「優しい人」かどうか打ち合わせの席でも、その人が持っている思想の部分に突っ込んで話を聞くようにしています。

──リスナーに対して、愛があるかどうか。

髙本:たとえば橋本愛さん。Instagramのストーリーのコメントの長さを見て、この人めちゃくちゃ優しいなと思ったんです。ファンからの相談ごとに「がんばれ」とだけ送るのではなくて、たとえば「好きな人がいます。どうしたらいいですか」みたいな質問に対して、数十秒という表示時間では読みきれないぐらい、びっしりと長文で答えていて。

これだけ誠実に自分の事を応援してくれる人と向き合えるって、本当にすごいなと。そういうところを、めっちゃ見ていますね。人として相手のこと、リスナーのことをちゃんと考えられる人かどうかは、非常に大事な要素だと思います。

「ラジオで輝く人」に共通すること

──インフルエンサーと呼ばれる人を起用した番組も多く見かけます。SNS上で影響力を持っていないと、地上波でパーソナリティになることは難しいのでしょうか。

髙本:いまどきはSNSのフォロワー数を起用の基準としている向きもありますが、僕はそれが全てではないと思っています。フォロワー数が少なかったとしても、そのパーソナリティが人としてとても魅力的であるなら番組をやるべきだと思いますし、その中でどうマネタイズするかという部分こそ、プロデューサーの責務なのではないかと思っています。

──髙本さんはラジオプロデューサーとして、魅力的なパーソナリティの卵を、どのような方法で、どのような目線で探していますか。

髙本:魅力的なパーソナリティを探す場としてメインになっているのは、やはりRadiotalkですね。アップされる新着のトークやライブ配信はよくチェックしていますし、Twitterで「面白い」とシェアされた番組や、ちょっと気になるような上手いタイトルを付けている番組は必ず聞くようにしています。現にラジオトーカー(Radiotalk配信者の総称)の方々とは何度も特番をやらせて貰ってますが、いずれも僕らスタッフ側の想定より何倍も良い内容になったので、ラジオトーカーは本当にレベルが高いと思います。

──パーソナリティとして「ラジオで輝く人」に感じる要素を教えて下さい。

髙本:ひとつは、先程も挙げた「優しさ」ですね。いまラジオで長く人気を保っているパーソナリティは、多かれ少なかれ、この要素を必ず持っていると思います。

パーソナリティとは、「その人がいたことで、リスナーの誰かが救われる」存在でもあるんです。別にそれが何万人といなくてもよくって、ひとりでもいい。誰かの心を救ってあげられる力を持っている人がまだまだこの世の中にはたくさんいると思っているので、そういう人にラジオパーソナリティをやってもらいたいと思っています。

あとは、「自分はこう思っているんだ」という確固たる思想があること、かつそれを整合性を保った状態で、表情豊かに伝える技術ですね。

たとえば、ある映画に関する感想を見るとします。面白いと思ったか、思わなかったかはそれぞれ意見があっていいと思うのですが、僕がラジオプロデューサーとして着目するのは、たとえば大多数が「面白い」という感想であふれているなか、「面白くなかった」という感想を持っていて、かつその内容に筋が通っている人の存在です。

──自分なりの目線や感性をいかに言語化して伝えられるか、ということなのですね。

髙本:先程の言葉だけだと「じゃぁ、“あまのじゃく”であればいいのか」と思われてしまうかもしれませんが、そうではなくて。その中に真理があるか。その人が自分なりに見出した価値観があるかどうかですね。

──パーソナリティにおいて、プロとアマの違いはどこにあると思いますか。

髙本:Radiotalkやポッドキャストなども流行って来て、プロ・アマの違いなどは年々薄くなって来ていると思いますが強いて言うなら「本気かどうか」ですかね。

何十年とラジオを続けてきている大御所の方でも、毎週「何をしゃべるか」はちゃんと考えてきてらっしゃいますし、ラジオスターになるうえで「話で人を楽しませたい」という熱量は、やっぱり欠かせないと思います。
毎週レギュラーだったら、次のオンエアまでの1週間に何があったかをストックしておく。何もなかったら行動してみるということが自然にできるかどうか。

──なるほど。

髙本:テレビに比べてラジオのギャラは格段に安いですし、手に入る知名度だって比べ物にならないでしょう。ただそれでも「本気でリスナーと向き合う」という事を続けてきたのが明石家さんまさんであり、伊集院光さんであり、オードリーの若林正恭さんだと思うんです。

ラジオというメディアを愛している人、自分の番組を愛している人でないと。いくら有名な人でも片手間にやっているようなラジオが人気になることって、まずないんですよ。結局は「愛」が勝つのだと思います。

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